被曝量低減プログラム

被曝量を低減した心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)

~ 最新式の撮影機器『D-SPECT』を導入 ~

中国四国地方では他に先駆けて最新式撮影機器を導入しました

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)について

心筋シンチグラフィーは、放射性同位元素を注射し、心臓の筋肉(心筋)に取り込まれた放射性同位元素から放出される放射線を撮影することにより、心筋の血流や心筋のダメージの程度を評価する検査です。
近年、画像診断技術の進歩により、心臓CTや心臓MRIが当院でも使用可能となっておりますが、心筋シンチグラフィーには50年以上の歴史があり、膨大な経験とそれに基づくエビデンスが確立されており、現在でも年間2,000例以上の検査が実施されております。

当院での心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)の特徴

最新式の撮影機器『D-SPECT』の導入により、下記の点が改善され、より良い医療を提供できるようになりました。

診断精度の向上

これまでの機器と比べて感度:10倍、分解能:2倍、収集速度:10倍と飛躍的に性能が向上しました。

撮影時間の短縮

これまでの機器と比べて撮影時間が1/2となりました。

被曝量低減
検査時の圧迫感・苦痛緩和

これまでは臥位での撮影でしたが座位での撮影が可能なりました。

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)の目的

当院では、主に狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対して、虚血の部位、範囲と程度を明らかにして心臓カテーテルの必要性や冠動脈バイパス術の適応などの方針を決定するために、施行します。

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)のメリット・デメリット

メリット
  • カテーテル検査に比べ、身体への負担が少なく、安全に実施できます。
  • 造影剤を使用しないため、カテーテル・CT・MRIと比べ、アレルギーや腎機能低下を認める患者さんにも安全に実施できます
  • 息止めが不要のため、ご高齢の方でも検査が可能です
  • 円背等で、仰臥位が困難な患者さんも、座位で検査が可能です
デメリット
  • 透視やCT検査と同等ではありますが、若干の被曝をします。
  • 2度撮影が必要となりますので、CT/MRIと比べ、検査時間がやや長くなります

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)の実際

基本的に、心臓に負荷をかけた状態と、安静の状態の2回に分けて撮影を行います。
負荷方法には ①運動負荷 ②薬物負荷 の2種類があります。
※運動が難しい方でも、臥床で薬物を投与することで、問題なく負荷検査を行うことができるので、ご心配いりません。

  1. まず負荷を行い、放射性同位元素を注入後、撮影を行います。 (負荷時)
  2. その後、約3時間程度あけて、安静時の撮影を行います。 (安静時)

※使用する放射性同位元素の種類により、時間や投与方法は多少異なります。

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)の判定

正常な場合

心臓の血流が正常な方は、負荷時も安静時も、放射性同位元素の心筋への取込みが正常(良好)であり、心臓の陰影がきれいに描出されます。

狭心症の場合

狭心症では、下図矢印のように、負荷時に血流低下を認める領域(狭心症の領域)の放射性同位元素の取込みの低下を認め、数時間後の安静時には正常領域と同様の取込みを認めます。

心筋梗塞の場合

心筋梗塞では、上図矢印のように、負荷時も安静時も取込みの低下を認めます。

画像比較

以前に機器で撮影したものとD-SPECTで撮影したものとの画像比較です。
D-SPECTで撮影した画像の方が飛躍的に綺麗になっていることがわかります。