デバイス治療について
治療方法
徐脈に対するペースメーカー
従来、左(右)鎖骨下からリードを挿入し、皮下ポケットを作成する経静脈ペースメーカーが主流でしたが、2017年から大腿部アプローチにて植え込み可能となったリードレスペースメーカーを導入しています。どちらのデバイスを選択するかは、患者さんの背景、心臓の解剖、徐脈の種類などによって決めています。経静脈ペースメーカーについても心房中隔ペーシングや左脚領域ペーシングなどといったより生理的なペーシングが行えるようになりました。
2017年9月~
心臓再同期療法 (CRT)
現在、薬の治療によって症状の改善しない重症心不全に対しては心臓移植といった治療手段もありますが、臓器提供者の慢性的な不足等により進んでいなのが現状です。
このような状況下で重症心不全症状を改善する治療として心臓再同期療法 (CRT=Cardiac Resynchronization Therapy) があります。
この治療は、(右心房と)右心室に加え、全身に血液を送り出す左心室にも、ほぼ同時に電気刺激を与えて心臓の機能を高めることで、①心不全の予防や改善、②生命予後の改善、③生活の質(QOL)の改善を目的としており、7割くらいの方で心機能の改善がみられます。
植込型除細動器 (ICD)
さらにこの様な心機能が高度に低下した患者さんは、心室性不整脈を併せ持っておられることが多く、また致死的な心室性不整脈が出現することがあります。
植込み型除細動器 (ICD= Implantable Cardioverter Defibrilator) は、突然死をもたらす重症の不整脈を治療するための体内植込型治療装置です。不整脈を予防するものではありませんが、自動的に不整脈を監視しすばやく発作に反応して治療を行い不整脈発作による突然死を防ぎます。
2016年から血管内へのリード挿入を必要としない皮下植え込み型除細動器(S-ICD=subcutaneous ICD)が導入され、若年患者さんやペーシングを必要としないブルガダ症候群などにおいて積極的に使用しています。
2016年1月~
両心室ペーシング機能付埋込型除細動器 (CRTD)
2006年8月より本邦でも両者の機能を持ち併せた両心室ペーシング機能付埋込型除細動器 (CRTD)の使用が可能となりました。
本体は、数センチ大で(重さ約75g)電池とマイクロコンピューターが搭載されたチタンでできています。それにつながるリード線が血管(静脈)を通って心臓内にその先端が置かれ、心臓が発する電気情報を絶え間なく本体に送り、致死的不整脈の発作が起きたときには、本体からの電気刺激を心臓内に伝え治療を行います。そして正常な拍動を取り戻させる働きをします。
当院ではこれらのデバイス治療を現在のところ年間400例程度(交換術含む)行っております。