はじめは歩いた時に足の痛みやしびれを伴うようになりますが、歩くのをやめると症状はよくなります。ひどくなると、安静にしていても、しびれや痛みが出現するようになり、さらに潰瘍ができたり、壊死したりすることもあります。
特に高齢の方にとって、“歩く”という能力はQOLまた生命予後の観点からも非常に重要でありますが、高齢であるが故に、年齢相応の足腰の弱り・筋骨格系の痛みとして捉えられ、医療機関への受診に至らないケースも多いと考えられます。
毎週金曜日午前に、専門医により動脈硬化専門外来を開設しています。 足が冷たい、足先の色が悪い、歩くと足がだるくなる(痛くなる)、足の傷が治らない、といった症状が気になったらぜひご相談ください。
末梢動脈疾患(PAD)は、動脈硬化によって動脈の内腔が狭くなったり、つまったりすることで血液の流れが悪くなり、「足の色が悪い」「歩くと足が痛くなる」といった症状が出現する病気です。高齢化や食生活の欧米化に伴い末梢動脈疾患の患者さんは増加しています。放置していると、下肢の壊死から下肢を切断しないといけなくなることもあり、早期の診断、治療が重要です。
末梢動脈疾患の患者さんは体全体(心臓・脳血管)の動脈硬化が進行していることも多く、足の血管だけでなく、全身の他の血管の動脈硬化の進行がないかを調べることが重要です。
足の動脈(そけい部、ひざ裏、足背)の脈を触れることで分かる場合もありますが、専門的には、下肢エコー検査、ABI検査、SPP検査、CT検査、MRI検査で総合的に評価を行います。
● 下肢エコー検査
● ABI
● SPP
● 造影CT
● MRI
造影CT画像:左浅大腿動脈閉塞症例
治療の基本となるのは薬物療法です。薬物療法としては、血管を拡張したり、血液を固まりにくくしたりすることで血液の流れの改善を期待する薬が使用されます。 しかしながら、重度のPADに対しては、カテーテル治療またはバイパス治療が選択されます。
カテーテル治療についてはこちら
末梢動脈疾患の患者さんは体全体(心臓・脳血管)の動脈硬化が進行していることが多く、これらの合併疾患が原因で死に至る場合が多いといわれています。そのため、当院では、足の血管だけでなく、全身の他の血管の動脈硬化進行がないか精査を行い、他の疾患(狭心症、心筋梗塞等)が見つかればそれらの治療を行い、また、動脈硬化進行予防のための生活習慣病コントロールを行っております。
PADで足の指の壊疽を認める場合には集学的治療が重要で、循環器内科だけではなく、心臓血管外科や形成外科、麻酔科(ペインクリニック)、腎臓内科、糖尿病内科、リハビリテーション科といった診療科間の連携に加え、フットケアナース、理学療法士、栄養士、生理検査技師などと、多職種でタッグ(フットケアチーム)を組んで治療にあたり、より良い“歩く”能力の温存と、長期的な予後改善に取り組んでいます。