カテーテルアブレーション(Radiofrequency catheter ablation:RFCA)とは、カテーテルという直径2mm程度の細い管を、足の付け根の大腿静脈(または動脈)から心臓に挿入し、不整脈発生部位にカテーテルを当てて暖め、不整脈を根治する治療法です。
初めに足の付け根(穿刺部位のページを見る)を局所麻酔し、その後カテーテルを心臓にすすめて、レントゲンと心電図を見ながらケント束にカテーテルを持っていきます。足の付け根に麻酔を施す時は若干痛みを伴いますが、カテーテルが心臓に入ってきても多少動悸がする程度で痛みはありません。また検査中発作が起きドキドキする場合がありますが、すぐ止めることが可能です。
実際のアブレーションは背中に対極板を貼って、心房の中に入れたカテーテル先端との間で高周波エネルギーを流すことでカテーテル先端の温度を60度程度まで上昇させることで組織の壊死を作成します。1回あたりの通電は30秒間から60秒間くらいで、通常は数回程度焼灼しますがが、焼灼している間は、軽い痛みがあったり胸が熱くなったりします。
カテーテルアブレーションの治療時間は平均約1〜2時間ですが、心房細動や心室頻拍などの病気の場合には3〜4時間以上になることもあります。治療後は数時間安静後から歩けるようになります。
入院期間は2日間ですが、心房細動でカテーテルアブレーションをおこなった場合の入院期間は4〜5日です。退院後は運動や食事などに制限はありません。
カテーテルアブレーションは、メスは使いませんが異常部位を物理的に焼灼する一種の手術ですので、それによる合併症はゼロというわけではありません。合併症として、カテーテルにより心臓にごくわずかな亀裂を生じる心タンポナーデや正常な電線に障害が及ぶ房室ブロックなどがあり、手術やペースメーカーが必要な場合もあります。
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クライオアブレーションは、高周波に代わる新たな心房細動アブレーション治療法としてヨーロッパでは数年前から使用されてきましたが、本邦では2014年に保険償還され、当院では2015年10月から導入しています。
クライオアブレーションでは、液化窒素ガスを利用した直径3cmほどのバルーン形状のカテーテルを用いて、肺静脈の入口部をマイナス40℃以下に冷却し心筋を冷凍凝固させます。手術方法は極めてシンプルであり、確実かつ迅速な肺静脈の一括隔離が可能になります。従来の高周波アブレーションにおける熱エネルギーと異なるため、患者さんの感じる痛みが少なく、安全性が高いといった利点に加えて、再発が少ないことも期待されています。平均手術時間は約80分であり、従来の方法よりも30分以上短縮されました。一方で横隔神経麻痺といった特有の合併症も報告されており、それらを避けるための様々な工夫も行っています。