2020年、倉敷中央病院救命救急センターには157件の重症外傷搬送がありました。
病気の予防にはお薬の服用や運動療法などありますが、すぐに効果がでるものではありません。 しかし、ケガは予防の意識があれば避けられるケースが多いです。
「事故無く、今の生きがいや楽しみが続くようにお過ごしいただきたい」 救命救急センターの願いを届けたいとサンタクロースがやってきました。 外傷・急性期外科を専門としている当院救急科 医長 田村 暢一朗医師と一緒に楽しい年末年始を過ごすためのポイントを見ていきましょう。
重症に至るケガを防ぐには?
次のような事故は重症に至るケガにつながります。
交通事故
交通事故は患者さんにかかるエネルギーが大きく、重症となるケースが多いです。
特に乗用車と接触した歩行者や自転車の方は大きなエネルギーが直接身体にかかり、頭、胸、腹部、骨盤、四肢の多岐にわたる重度のケガを負われ救急搬送されます。
思わぬ事故に出会わないように、気を付けたいポイントを5つお伝えします。自転車やバイク、自動車に乗られる方もぜひ、お願いします。
1つめ。「もしかして」と思うこと
2つめ。危ないと思ったら、とまること
3つめ。左右を見て確認すること。
4つめ。危ないと思ったら待つ。
5つめ。確かめる。
屋内などでの転倒
高齢の方や骨粗鬆症の方は、ちょっとした転倒でも頭、頚椎、骨盤に重度の損傷を負われることがあります。高齢の方は若い方と比較して骨のまわりの支持組織が弱いため、同じ骨折でも出血量が多くなります。特に血をさらさらにするお薬を飲まれているとその傾向が顕著です。
住み慣れた自宅で過ごし続けるために、おすすめの行動をご紹介します。
階段は一段ずつ。
床はスッキリ。床の上の物はできるだけ少なくしましょう
慌てずゆっくり。体勢を変えるときは落ち着いてゆっくり動きましょう
浴室の出入りはゆっくりと。湯気で視界が悪いので、濡れた床や段差に注意しましょう。
転落
屋根など高所からの転落では、頭、頚椎(首の骨)、四肢、骨盤などに重度の損傷を負い救急搬送されます。なかには脊髄損傷で手足の動きに大きな障害を残す方もおられます。秋には、庭に実った柿を収穫しようと木に登ったところ、枝が折れて転落され搬送された方もおられました。
安全に高所作業を行っていただくためにできることを、一緒に見てみましょう。
ハシゴを固定する。屋根に対して傾斜してたてかけ、滑り止めも使いましょう。
ヘルメットを着用。滑りにくい靴、手袋も着用しましょう。
悪天候時に屋根に上らない。わが家を守りたいお気持ちもわかります。でも、あなたが安全であることが一番大事です。
農作業中の事故
例年、農機具に手足を巻きこまれた、農機具ごと土手から転落した等の救急搬送があります。農機具の歯は鋭く、また土などの汚染もあり、重度の手足の機能障害が残る方も多いです。農機具の警告ラベルが、皆さまがお使いの農機具に貼られているかと思います。
農作業に欠かせない機械を安全にお使いになるために、今一度ご確認ください。巻き込まれにくい服装、ヘルメットの着用もお願いします。
最後に
事故無く、今の生きがいや楽しみが続くようにお過ごしいただきたい
重症のケガを負われる方が少なくなることを心から願っています。
それでもある日突然「まさか」の事態に遭われ、私たちの元に救急搬送されたときは、救命に全力を尽くします。