IBD(炎症性腸疾患)センター

多職種を含めた横断的な総合診療を提供

IBD(炎症性腸疾患)とは主として潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指します。日本では潰瘍性大腸炎罹患者が22万人以上、クローン病罹患者が7万人以上存在します。人口の約0.2%に相当し、1,000人に2~3人が罹患している計算になります。専門的な治療が必要なIBD診療で、多職種を含めた横断的な総合診療を提供します。

IBDセンターのご紹介

概要

炎症性腸疾患(IBD)とは主として潰瘍性大腸炎とクローン病を指します。日本では潰瘍性大腸炎罹患者が22万人以上、クローン病罹患者が7万人以上存在し、これは日本の人口の約0.2%に相当し、1,000人に2~3人が罹患している計算になります。

今後もIBD患者は増加傾向が続くと見込まれており、IBD診療の需要は増すものと考えられます。また、IBDは若年発症が一般的であり、成人だけでなく小児期の発症が少なくありません。そのため、幅広い患者層に対して的確な診断と治療を行うことが求められ、就学、就労、結婚、妊娠・出産などのライフイベントにも配慮が必要となります。

このような特徴を有するIBD診療は専門的でありつつ、多職種を含めた横断的な総合診療を提供できる施設が必須となります。そこで、ハイボリュームセンターである当院でIBDの診療体制をより強固なものにすべく、炎症性腸疾患(IBD)センターを2023年7月に開設しました。

2024年4月には日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)指導施設の認定を受けました。

診療内容

当院では2023年6月時点で、潰瘍性大腸炎約300人、クローン病約150人の患者さんを診療しており、地域の医療機関の方々から毎年多くの患者さんをご紹介いただいております。なかでも近年では小児期発症のIBD患者さんの紹介件数の増加が目立ちます。その理由として、以下の点が挙げられます。

①当院では小児科医と消化器内科医に連携により、小児であっても安全で負担の少ない上下部内視鏡検査が施行可能で、さらに小腸カプセル内視鏡検査や小腸ダブルバルーン内視鏡検査、小腸X線造影検査、小腸MRI検査などIBDの病状を把握する画像検査すべてに対応でき、腸管狭窄による外科手術を回避するための内視鏡的バルーン拡張術も積極的に行っています。また、病理診断や放射線画像診断、遺伝診療の専門医が常勤しており、速やかなIBD診断が可能です。

②近年のIBDに対する内科的治療の進歩は著しいものの、内科的治療の限界がある症例も多く、またクローン病患者さんは頻繁に肛門病変を併発しますが、そのような内科的治療に抵抗性の肛門および腸管手術において高い技術を持つ外科医が在籍しています。

③当院には小児科、小児外科、総合周産期母子医療センターがあり、小児期発症例やIBD合併妊娠・出産例に対しても対応が可能です。

活動内容

①IBD専門外来

IBD専門医が外来を務めるIBD専門外来を開始します。IBDの治療は近年急速に進化しており、生物学的製剤をはじめ多くの新規治療薬が登場し、内科的治療が飛躍的に進歩しました。一方で、複雑化する診療のため適切な治療選択や、患者さんへ分かりやすく治療内容を説明するには高度の専門知識が必要となります。初診や治療抵抗性のIBD患者さんを対象とした専門外来です。

②IBD多職種カンファレンス

IBD診療に関わる診療科の医師(消化器内科、外科、小児科、小児外科、リウマチ膠原病内科など)、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどで構成するメンバーが定期的に集まり、症例検討や各部門の改善点などを検討します。センター開設の大きな目的の一つは、職種や診療科の垣根を超えたチーム医療の実践です。IBD患者さんに「専門的で総合的な診療」を提供するために、チーム医療を軸とした多職種のサポートで支えていきます。

③IBD教室

最適な診療・治療を行うには、患者さんやご家族に疾患や治療の理解を深めていただく必要があります。最近では小児期発症の患者さんが増加していることもあり、患者さんやご家族から患者同士での意見交換ができる場を求める声も多くなってきました。私たちはIBD教室を開催することで啓発活動の一環としたいと思っています。また、相談窓口としての機能も果たせるものと期待しています。年2回程度の開催を目標にしています。

スタッフ


IBDセンター センター長
消化器内科 部長
日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)専門医・指導医
下立 雄一

専門分野

消化管の内視鏡診断と治療、炎症性腸疾患、ESD


外科 部長
横田 満

専門分野

大腸癌、腹腔鏡下手術、ロボット手術


小児外科 部長
片山 修一

専門分野

小児外科


小児科 医長
濱端 隆行

専門分野

小児血液、腫瘍