第5次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)

第5次中期経営計画の方針とありたい姿

1.行動指針(組織を貫く基本姿勢)

  1. 職員の成長(自己変革): 新たな自分への挑戦、成長できる組織
  2. 透明性の確保: 金魚鉢の中の医療*5
  3. 効率化・高機能化: 高価値医療の提供
  4. 共創性の推進: 他職種・他組織との共創、イノベーション
  5. 価値観の共有: 文化・風土の醸成

2.基本方針(第7次院長基本方針)(前中期からの継続)

理念を実践するための主要な指針

  1. システムとして総合的・包括的な医療の提供を行う
    医療の専門性が強まる中で、職員協働によるシステムとして統合された医療を提供する。 
  2. 協力の科学としてチーム医療を実践する
    いつでも誰にでも協力、助けを求められる組織風土の中で職員間の信頼と敬意の念に根ざしたチーム医療を実践する。
  3. 患者安全を優先した高品質な医療を行う
    安全を最優先する組織文化の定着をはかり、測定することにより、患者安全と質改善をはかる。
  4. 説明と誠意ある医療を行う
    医療のリスクを十分説明し、患者の理解を得て、医療への参加を推進する。
  5. 人材育成に根ざした医療を行う
    高い専門技術と豊かな人間性を育みながら職員が自らの成長を感じられる医療を行う。
  6. IT活用を推進し、効率的に価値ある医療を提供する
    業務負荷が増大する現場を、IT活用を推進し、効率的に価値ある医療を提供する。
  7. 地域住民の安心できる暮らしを地域で連携する医療機関と構築する
    地域連携医療機関と安心して暮らせる環境を構築し、予防医療を通して、地域住民の健康維持・増進に貢献する。

3.ありたい姿 当院の強みを活かしたコア事業(前中期からの継続)

  1. 高度先進医療
  2. 救命救急医療
  3. 高度なトリアージ
  4. 「デスティネーション医療*4」を提供できるチームづくり
  5. 「予防医療」を活用した先制医療

第5次中期経営計画として病院全体で推進する重要課題

地域統合型医療"地域医療エコシステム"構築*2ハブ病院*1として中心的役割を果たす 

<方針>

「地域統合型医療」への転換を進めるため、ヒト・情報の相互交流を進め、地域医療全体の質向上と効率化を図る。
働き続けたい職場環境づくりとして、いつでも誰にでも助けを求められる組織風土をつくる。
双方向のコミュニケーションを深めるために、「わかりやすく、やりやすく」標準化や可視化を進める。
厳しい医療財政の中で、高度急性期事業を継続できるために生産性をアップする。

<キーワード>

「地域全体として医療の質・効率化推進」
「ヒト・情報の相互交流」
「わかりやすく・やりやすく、標準化・見える化」
「現有資産・ヒトの生産性アップ」

最優先課題

現有資産である、施設、場所、人員情報等の最大活用・生産性向上

  1. 病棟・職員の効率性・生産性アップ
  2. 手術・カテ優先の体制・運用

優先課題

  1. 人材育成・働き続けたい職場づくり
  2. IT推進・広報
  3. 地域医療連携のためのプラットフォームづくり
  4. デスティネーション医療*4・高度先進医療
  5. 先制医療・予防医療

 

*1.ハブ(つなぐ)機能: ハブ(hub)とは、車輪やプロペラなどの中心にある部品や構造のことで、転じて、中心地、結節点、集線装置などの意味で使われています。結節(つなぐ)という意味から、患者にとって切れ目のない医療・福祉サービスを安心して受けてもらえるため、人・情報を集約して全体をつなぐ機能です。
*2.地域統合型・医療のエコシステム 地域全体を相互補完的な大きなネットワークと見立て、地域の中の各々の医療機関が得意とする領域での技術・ノウハウ・知見を持ちよって、患者に切れ目のない医療を提供する仕組みです。
*3.「ポストコロナ改革優先課題」 10年先に想定していた構造的な環境変化がコロナ禍ですでに現実化している厳しい状況を、「ピンチをチャンスに」と捉え、倉敷中央病院ならではの5つの機能(救急・高度トリアージ・高度先進・デスティネーション・予防先制)を果たし続けるため、病院全体の変革を促すために掲げた、優先して取り組むべき課題です。
*4.デスティネーション医療 デスティネーション(destination)は英語で「目的地」を意味します。体調に不安を抱えているのにどこからも診断のつかない患者さん達に、診療科の枠を超えて包括的かつ迅速に診断・治療し、当院を含む適切な医療機関につなぐという実績を蓄積していくことで、当院がこういった患者さん達にとっての「最終目的地となる医療」を目指します。
*5.金魚鉢の中の医療 金魚鉢は360°ガラス張りの透明なタイプの水槽を意味し、常に周りから見守られる様子を表現しています。透明性の確保による治療の見える化によって、いろんな角度の専門家が見守ってくれて、疑問を聞くこと、助けを求めることが強く推奨されている環境を目指します。      
(イラスト)360°ガラス張りの透明なタイプの金魚鉢

第5次中期経営計画のイメージ

2023年度の重点課題

地域統合型医療"地域医療エコシステム"構築にハブ病院として中心的役割を果たす​

  • “院内外の“標準化”に合わせ、地域とともに質が高く継続可能な仕組みを構築する
  • 変革を成長(自己変革)に実感できる組織
1. 人間味のある地域医療エコシステムへの
基盤整備

患者

  • 入院に繋がる紹介患者の確保、急性期に関連する外来への集約
  • 地域全体の救急医療体制の再構築
    地域医療エコシステムの基盤整備を統合的・戦略的に推進


    情報
    • 地域全体の質・効率のための情報連携基盤
    ヒト
    • 人間味のある人的交流の体制統合
    2. 質向上・患者安全
    1. 優先IPSGのモニタリング
    2. 標準化を起点にし、地域とともに患者安全・質向上
      • 優先する5項目の標準化パス
      • ボーダレス医療
    3. コンサル・必要な検査が即可能なコーディネートシステム
    1. IPSG(国際患者安全目標)の遵守
    2. 標準化を起点にした質向上
    3. その他改善活動(科はパス・フロント毎の活動)
    4. 臨床研究の推進
    3. 魅力的なワークと挑戦・成長できる組織
    • A水準の見極め、職場全体で主旨を理解・納得し浸透させる
    • チームSTEPPS、GoodJob浸透による「誰にでも助けを求められる組織」
    • タスクシフト・タスクシェアの推進による働き続けたい職場環境整備
    • 変革の達成感から「働きがい」につなげる
    • 新技術(AI、ロボット、ゲノム)やイノベーションを取り入れた高度医療
    • 相互敬意の組織、感謝する風土
    • 働き方改革の適応(A水準)に向けた準備
    • 変革による達成感、新技術への挑戦を「働きがい」に
    4. 急性期医療資源の生産性向上・効率化

    進めてきた改革の成果を可視化し、実質的なものへ定着させる

    • 救急・新入院・集中治療・手術・カテなどの整合運営による機能強化

    • 外来の抜本的改革

    • 世間の“標準化”に合わせた仕様を進めDX推進
      ⇒タスクシフト、IT活用を通じた ムリ・ムダの削減

    • ローカルルール排除、種別・種類の削減
      • ムダな業務手順・資産圧縮、削減
    1. 人員・施設などの保有資産の生産性・効率性向上
      • 手術・カテ優先の体制・運用
      • 病床運営効率化のため病棟再編 臓器別→重症度別
    2. 効率的な安定稼働と職員の負担軽減
    3. 補助金に頼らない収益体質確保のための
      ムリ・ムラ・ムダの削減、5S