リウマチセンター

リウマチ疾患の集学的治療を実践

本リウマチセンターは、全身の関節炎をきたす、関節リウマチおよびリウマチ性疾患の集学的治療を実践するために設置し、院内の各診療科、近隣の各病院、学会や官公庁などと協力して関節リウマチおよびリウマチ性疾患の包括的な診療を行います

リウマチセンターのご紹介

背景

関節リウマチ治療への期待(2020年リウマチ白書より)

関節リウマチ治療への期待(2020年リウマチ白書より)

関節リウマチは、その患者数が全国で70万人以上と推定される「ありふれた疾患」(Common Disease)です。近年、強力な治療薬が使われるようになったことにより、関節リウマチの方の痛みや障害を大きく改善することができるようになっています。また関節リウマチに近いさまざまな疾患も徐々に明らかになり、それらの疾患に特別に有効な治療薬も使えるようになったため、それらの診断も重要となっています。

しかし現在の最も新しい治療を有効に活かすには、なるべく早く診断し、適切な治療を早期に開始することが必要です。これらの関節リウマチや関連する疾患は、骨や関節が障害されるために手術を含む整形外科的治療やリハビリテーションも重要です。また免疫学的な機序により内部臓器を侵されることも多いため、免疫学的見地からの内科的な合併症・副作用対策や治療も求められます。さらに、これまでに上市された多くの薬物治療の使用法は確立したとはいいがたく、副作用対策を含めて十分なデータをもって検討すべきですし、今後使用可能となる多くの新規薬物治療についてもエビデンスを構築する必要があります。

一方、薬物治療が進歩した現状でも手術治療を必要とする患者さんは多く、これらの新しい薬物治療下での手術の有効性と安全性についてはまだデータが不十分です。さらに新しいインプラントや手術法の開発にも取り組む必要があります。一方、関節リウマチとその関連疾患の診療には、薬物治療と手術だけでなく、リハビリテーションや看護ケアを含めたトータルケアが非常に重要で、そのためにはリウマチ膠原病科と整形外科の共同体制を中心とし、それのみでなく、関節リウマチの合併症や薬剤の副反応を熟知した薬剤師、リウマチ専門看護師、理学療法士および作業療法士の育成が急がれます。限られた医療資源で最先端の関節リウマチ治療を実現させるためには、診療部門ごとの縦割りの構造ではなく、関節リウマチ診療に関わる医師、コメディカルおよび研究者が協力するセンター組織の設置が非常に重要と考えられます。

これまで倉敷中央病院では、内分泌代謝・リウマチ内科が中心になり、それに整形外科が協力する形でリウマチ性疾患患者を診療してきました。しかし2021年秋から整形外科でもリウマチ外来が開設され、整形外科で独自に薬物治療を行う例も増えています。両科はお互いに良い協力関係にありますが、それぞれが診断、治療を別個に行っていることは必ずしも効率的とはいえず、また近隣病院との連携も統一して行うことが望ましいため、新たにリウマチ性疾患を総合的、集学的に扱うセンター組織が求められていました。

(公開日:2023年9月1日)

目的

関節リウマチおよびリウマチ性疾患の集学的治療を実践するために倉敷中央病院リウマチセンターを設置し、院内の各診療科、近隣の各病院、学会や官公庁などと協力して関節リウマチおよびリウマチ性疾患の包括的な診療を行うことが本センター設立の目的です。さらに、レジデントを含めた医療者の教育のみならず、患者とその家族および一般市民に、関節リウマチおよびその関連疾患を認知していただくことは、関節リウマチの治療を進め、また社会的なサポートを得るために非常に重要であり、そのためには系統だったセンターが必要です。

当センターでは関節リウマチに限らず多くの関節炎をきたす疾患(リウマチ性疾患)を総合的に扱い、その診断、治療、研究を推進することを目標とします。さらに遠方に在住で頻繁に受診できない方が多くおられることも考慮し、その方の状態や治療内容に応じて、岡山県西部地区を中心に近隣の病院と連携・協力して治療を提供したいと考えています。すなわち、関節炎をきたす、関節リウマチおよびリウマチ性疾患に関する集学的な治療、系統だったデータ解析に基づいた効率的な研究、近隣病院との密接な医療連携の実践がこのセンター設立の目的です。

活動内容

当院における関節リウマチの手術件数(2022年)

当院における関節リウマチの手術件数(2022年)

本センターでは、関節炎をきたす種々の疾患の診断と、分子標的薬を含む最新の治療法を実践し、QOLを高めるための集学的「診療」を行い、同時にリウマチ性疾患患者のデータベースを構築し、それらを利用した基礎的および臨床的「研究」を推進し、近隣病院と密接に連携し、データを共有して治療を行う「医療連携」を行います。また臨床および研究の両面で、病院内、地域内あるいは広域で他部門、他施設との連携を積極的に行います。

このように、関節炎をきたす関節リウマチを中心とするリウマチ性疾患に特化した、専任の倉敷中央病院リウマチセンターを設置することで、より効率的な集学的治療が可能となり、また現在使用されているものだけでなく、今後新たに開発・導入される治療薬、検査法、手術インプラントなどのデータ採取と解析が容易になり、結果を対外的に発信していくことが可能となります。一般診療所では診療困難な患者を、岡山県西部および近隣全域から受け入れ、院内で診療科横断的に診断・治療し、紹介病院と連携して治療していくことで、地域医療に対する貢献度もきわめて大きいと考えられます。リウマチセンターの設立によって、これらの成果を迅速に成し遂げていくことが期待されます。

受診を希望される患者さんへ

当センターでは、最新の科学的知見に基づいた正確な診断および有効な薬を用いた治療のみならず、手術を含めた整形外科的な治療、リハビリテーション、看護や介護を含めた包括的な治療を目指して、リウマチセンターを設立しました。また遠方に在住で頻繁に受診できない方が多くおられることも考慮し、その方の状態や治療内容に応じて、岡山県西部地区を中心に近隣の病院と連携・協力して治療を提供したいと考えています。

これまで関節リウマチなどの正確な診断をうけていない患者さんへ

関節が痛い、関節が腫れているなどの症状がしばらく続くようでしたら、かかりつけの先生に紹介状を書いていただき、当センターの外来を受診してください。専門医が、痛い関節や腫れている関節を診察し、血液検査やX線などの検査を行って、科学的根拠に基づいて的確に診断します。

他の医療施設で関節リウマチなどの診断・治療を受けている患者さんへ

すでに他の医療施設で診断を受け、また治療を受けておられる方でも、当センターでの診断ないし治療をご希望であれば、受診していただくことが可能です。現在治療をうけている先生ないしかかりつけの先生から紹介状をいただいてください。また、当センターを頻繁に受診できない場合、普段は近くの医療機関で診療を受けていただき、間隔を空けて、あるいは特に症状に変化があったときに当センターを受診していただくことも可能です。 関節の痛み、腫れ、変形でお困りの方は、是非一度当センターの外来を受診してみてください。お待ちしています。

外来担当医

リウマチセンターの診察は、整形外科外来で行います。
患者さんのご紹介については、下記の紹介手順をご参照ください。

月曜日午前:4診 西田優理(リウマチ・膠原病科)
金曜日午後:1診 伊藤 宣(整形外科)

ご紹介手順

関連リンク

日本リウマチ学会

日本リウマチの外科学会

日本リウマチ財団

日本リウマチ友の会