ボーダレス医療チーム

当院では各診療科、各部門において専門性の高い高度な医療の提供に努めています。 それとともに、 診療科や部門の隔てなく存在する患者さんのいろいろな課題に対して、 専門的な知識やスキルを持ったさまざまな職種で構成される専門医療チーム「ボーダレス医療チーム」が治療やケアに参加し、病院として全人医療を提供しています。

 多職種協働をITで支援-タイムリーに情報共有できる環境作りを進めています

緩和ケアチーム
PCT:Palliative Care Team

対象
がん・非がんにかかわらず重い病を抱え、苦痛症状緩和の難しい患者さんおよびそのご家族
チームの目的
より専門的な知識や技術をもって、患者さんやそのご家族の苦痛症状を緩和し日々の生活が穏やかに過ごせるよう努めます。
チームメンバー
医師(緩和ケア科、外科、麻酔科、精神科)、看護師(がん看護専門、緩和ケア認定、がん性疼痛認定)、薬剤師(がん専門、緩和薬物療法認定)、臨床心理士、作業療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、歯科衛生士
活動内容・特徴
入院病棟では、主治医や病棟スタッフからの求めだけでなく患者さんの希望に応じて、患者さんの病室にお伺いし、治療提案、薬剤調整、ケアの工夫、精神的サポート、相談支援などを行い、痛みを始めとする身体の苦痛、心理的・社会的な苦痛などを緩和する事に努めています。
また、外来では、緩和ケア外来やがん看護外来、がん相談支援センターなどでさまざまな苦痛緩和への対応をしています。
当院の緩和ケアについて

周術期管理チーム
PMT:Perioperative management team

対象
・18歳以上
・1ヶ月以内を目処に全身麻酔・脊髄クモ膜下麻酔での手術が予定されている以下の診療科患者
① 消化器外科/乳腺外科、② 泌尿器科、③ 産婦人科、④ 心臓血管外科、⑤ 整形外科、⑥ 呼吸器外科、⑦ 耳鼻咽喉科/頭頸部外科、⑧ 口腔外科、⑨ 消化器内科
チームの目的
手術が予定されている患者さんの医療上、社会上のさまざまな問題点について、外来の時点で多職種で検討し、情報共有を行いながら対応することで、患者さんに安全にかつ安心をもって手術を受けていただき、予定通りの入院日程で地域社会へ帰っていただくことを目的とします。
チームメンバー
医師(麻酔科、外科系(PMT対象診療科)循環器内科(PMT代行紹介先)糖尿病内科・DIST(PMT代行紹介先))、看護師(PMT看護本部長認定看護師、手術センター、手術看護認定、集中治療専門、皮膚・排泄ケア認定、糖尿病看護認定)、薬剤師、管理栄養士、歯科医・歯科衛生士、ケースワーカー、入力アシスタント・事務
活動内容・特徴
PMT外来では、約240人/月の術前患者さんに対し全身状態、服薬状況、栄養状態、口腔衛生、社会的背景の把握と評価をPMT看護師が行い、麻酔科医が最終チェックをして手術のリスク回避を行います。また、歯科・糖尿病内科・循環器内科・薬剤師・管理栄養士・医療ソーシャルワーカー・入退院サポート外来など他部門と連携した介入を行っています。PMTで集約した情報は、患者に関わる医療スタッフ全員で共有し、問題点の把握、継続看護につなげています。

栄養サポートチーム
NST:Nutrition Support Team

対象
入院中の患者さん
チームの目的
入院患者さん全員に対して効果的な栄養療法を選択・実施すること。栄養に問題がある患者さんに対して適切な栄養療法により治療効果を高めること。
チームメンバー
医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、歯科衛生士
活動内容・特徴
各診療科(現在24)単位でNSTを組織し、毎週1回以上多職種合同で検討会を行っています。栄養状態や食事療法に問題のある患者さんを速やかに発見し、遅滞なく多職種総合的に栄養介入することが可能となっています。

呼吸ケアサポートチーム
RST:Respiration Support Team

対象
人工呼吸器を装着している入院患者さん
チームの目的
人工呼吸器管理中の患者さんに対して、管理の標準化や人工呼吸器からの早期離脱、合併症予防など質の高いケアを提供する。
チームメンバー
医師(集中治療科、麻酔科、救急科、呼吸器内科)、看護師(急性・重症患者看護専門、集中ケア認定、皮膚・排泄ケア認定)、臨床工学技士、理学療法士、歯科衛生士
活動内容・特徴
毎週月曜日、一般病棟で人工呼吸器管理をおこなっている患者さんへの回診を行っています。人工呼吸器管理のチェックや人工呼吸器早期離脱に向けたディスカッションを多職種でおこない、一般病棟スタッフと情報共有することで質の高いケア提供に繋げています。また、月1回の会議では継続介入が必要な患者情報の共有や定期的な勉強会の企画などについて話し合い、病院全体の呼吸ケアの質向上や標準化に向けた取り組みをおこなっています。

精神科リエゾンチーム
PLT:Psychiatric liaison team

対象
せん妄や抑うつを有する患者さん、精神疾患を有する患者さん、自殺企図で入院した患者さん
チームの目的
入院中の患者さんの精神症状の評価および緩和を目的とし、多面的で全人的なサポートを目指します。
チームメンバー
精神科医師、精神看護専門看護師、公認心理師
活動内容・特徴
入院中の患者さんやその家族のニーズに応じて精神科的治療やケア、心理的支援を提供しています。日々の変化に迅速に対応できるよう、チームメンバーはそれぞれが違う日に介入し、週に1回はカンファレンスを行い、経過報告や今後の介入方針について相談を行います。また、患者さんの治療にかかわる医療者へのコンサルテーション活動も行っています。

認知症サポートチーム
DST:Dementia Support Team

対象
認知症の患者さん(原則的には日常生活自立度がⅢ以上を対象にしています)
チームの目的
認知症の患者さんが、安心して医療を受けられるように、病棟スタッフと情報共有しながら多職種の専門性を生かした助言を行い、療養生活を支援します。
認知症に関する臨床倫理的な問題の対応を支援をします。(準備中)
チームメンバー
医師(認知症専門医(脳神経内科1人、精神科1人))、認定症看護認定看護師、看護管理職、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士、事務管理職
活動内容・特徴
週2回病棟回診を行い、医療スタッフからの相談に迅速に対応しています。認知症患者さんの、身体的・精神的・生活に関連した問題を支援できるように、脳神経内科・精神科の医師とともに、多職種チームで入院中のケア、服薬調整、身体機能・生活機能の評価・維持、社会サービス利用・療養先の相談、院内デイサービス・個別レクリエーションの利用などのアドバイスを行っています。また認知症に関する臨床倫理的な問題の対応の支援ができるよう準備をしています。

糖尿病サポートチーム
DIST:Diabetes Inpatient Support Team

対象
糖尿病を有する外科系入院患者さん
チームの目的
対象患者さんのうち血糖コントロール不良の患者さんを抽出し、糖尿病治療介入を行うことで、周術期の血糖管理を改善させる
チームメンバー
糖尿病専門医、糖尿病看護認定看護師(糖尿病療養指導士)、管理栄養士(糖尿病療養指導士)、薬剤師(糖尿病療養指導士)、事務(糖尿病内科秘書,情報システム課)
活動内容・特徴
急性期病院として、周術期の血糖管理は極めて重要です。私たち糖尿病サポートチーム(以下DIST)は、外科系入院患者さんのうち血糖コントロール不良疑いの患者さんを、血糖コントロール状況(随時血糖値とHbA1c)から抽出し、必要に応じて治療介入します。具体的には、週2回のDISTカンファレンスで血糖測定やHbA1c測定の要請、食事変更・栄養指導、薬物療法の指示や糖尿病内科への往診依頼などの介入を行っています。

急変時対応チーム
RRT:Rapid Response Team

対象
バイタルサインが急激に悪化しており、放置すべきではないと考えられる患者さん
チームの目的
入院患者さんが重症化する前に危険な兆候を発見し、チームの早期介入により予後を改善する。
チームメンバー
医師(救急科、集中治療科、循環器内科、小児科、麻酔科)、看護師(急性・重症患者看護専門、救急看護認定、集中ケア認定)
活動内容・特徴
院内での心肺停止や急変を防ぐ目的で2015年からRRS、2018年12月から小児患者さんのRRSも開始しました。活動としては、一般病棟看護師からRRS起動基準に基づいたコンサルテーションを受け、医師・看護師で構成されるRRSチームが患者さんの急変前に介入をおこない重症化予防に努めています。また、異常の早期発見につながるように一般病棟看護師を対象にした教育を定期的に開催しています。

褥瘡対策サポートチーム

対象
褥瘡リスク、褥瘡のある患者さん
チームの目的
院内の褥瘡発生要因分析、その結果から適切な環境整備や院内教育、褥瘡の予防・早期発見と早期治癒に努める。
チームメンバー
形成外科医、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床工学技士、事務
活動内容・特徴
病棟からの褥瘡対策への支援と、毎週火曜日の回診で褥瘡治療、適切な体圧分散マットレスの選択、ポジショニング、栄養管理、薬剤面から褥瘡ケアのカンファレンスを開催している。また、褥瘡発生の情報発信、予防用具の適性使用の管理等の実施。院内教育(ベーシック)の開催と、アドバンスコース開講により褥瘡ケア院内認定看護師の育成を図っている。

嚥下サポートチーム
SST:Swallowing Support Team

対象
誤嚥リスクのある嚥下障害が疑われる入院患者さん
チームの目的
誤嚥リスクのある入院中の患者さんの適切な嚥下機能評価を行い、安全な経口摂取を支援する。
チームメンバー
医師(耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、脳神経外科)、歯科医、言語聴覚士、看護師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士、診療放射線技師、医療ソーシャルワーカー、事務
活動内容・特徴
嚥下サポートチームは院内の嚥下機能が低下した患者さんに、適切な評価と指導を行うことを目的に発足しました。現場が抱えている患者さんの経口摂取に関する不安や問題点に対しては、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などを行うことでより明確化することができ、その結果をもとに日々のケアやリハビリを計画することで医療の質の向上や窒息事故防止などにつなげていく、といった支援を行っていきます。

感染制御チーム
ICT:Infection Control Team

対象
患者さん、訪問者、職員、学生、ボランティア、提携業者など
チームの目的
病院に出入りする全ての人を医療関連感染から守る。
チームメンバー
医師(感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、結核・抗酸菌症指導医)、看護師(感染管理認定看護師、認定看護管理者)、薬剤師(感染制御専門薬剤師、抗酸菌症エキスパート)、臨床検査技師(感染制御認定臨床微生物検査技師)、事務
活動内容・特徴
多職種で協働しながら以下の活動を行っています。
① 感染管理システムの運用・評価・改善
② 感染症情報の収集と解析
③ 医療関連感染に関する事例、課題への介入、解決
④ 職員・患者・訪問者に対する感染対策の周知、教育と啓発
⑤ 感染管理に関するコンサルテーション対応
⑥ 職業感染の防止
⑦ 施設における感染対策
⑧ 他施設と連携して地域における感染対策の実施

抗菌薬適正使用支援チーム
AST:Antimicrobial Stewardship Team

対象
感染症が疑われる患者さん
チームの目的
患者さんの予後を改善し、耐性菌の出現を未然に防ぐために、感染症の診断を的確に行い、最適な抗菌薬治療の提案を行う。
チームメンバー
感染症科医師、感染管理看護師、感染制御専門薬剤師、感染制御認定臨床微生物検査技師
活動内容・特徴
人に対する抗菌薬の不適切な使用を背景として、薬剤耐性菌が世界的に増加しており、薬剤耐性菌の問題は国際社会でも大きな課題となっています。抗菌薬適正使用支援チームは、血液培養や髄腋培養など、無菌検体から微生物が検出された場合や、主治医より相談を受けた場合に、適切な感染症の診断、治療が行えるよう診療支援を行っています。

口腔ケアサポートチーム
OCT:Oral Care Support Team

対象
口腔内環境に異常がある、人工呼吸管理中である、誤嚥リスクがある、がん治療等による口腔粘膜傷害がある等の口腔ケアを必要とする入院患者さん
チームの目的
各病棟スタッフや他の専門医療チームとの連携によって入院患者の口腔機能の維持・回復を図り、早期の経口摂取開始や早期 退院に貢献する。
チームメンバー
歯科医師、歯科衛生士、看護師
活動内容・特徴
病棟での口腔ケア介入を拡大し、口腔ケアの均てん化を図ることを目標として以下の活動
を行っています。
① 病棟スタッフに対し口腔ケアに関するコンサルテーションを行う。
② 歯科衛生士・歯科医師による病棟ラウンド。
③ 気管挿管患者・嚥下機能が不良な患者への早期歯科介入。
④ 他のボーダレス医療チームとの連携推進。
⑤ 1~2か月に1回、口腔ケアチーム会議を開催する。
⑥ 関連職種や他の医療チームを対象とした口腔ケアに関する教育活動。
⑦ がん治療に伴う口腔有害事象・口腔ケアに関する情報発信。

オンコロジー・サポートチーム

対象
がん患者さん
チームの目的
がんの治療方針やケア全般に関して職種横断的に柔軟かつ迅速に対応するチームを目指す
チームメンバー
医師(臨床腫瘍科、画像診断医、放射線治療医、病理診断医)、がん専門看護師、がん専門薬剤師、がん相談支援室ソーシャルワーカー、リハビリ、がん登録担当者、事務
活動内容・特徴

現時点ではオンコロジー・ボードで原発不明癌の迅速な診断および担当診療科の振り分けを多職種横断的に検討しています。さらに悪性腫瘍を抱える患者さんの様々な悩みに対応すべく、オンコロジー新聞を発行してがんのケアに関する全般的なインフォメーションを提供する。