院長挨拶

 当院は1923年に倉敷紡績株式会社社長であった大原孫三郎氏により開設され、昨年創立100周年を迎えました。設立時の理念は「治療本位(研究目的でない、真に患者のための治療)」「病院くさくない明るい病院」「東洋一の理想的な病院」の3つですが、時代に応じて形を変えながら脈々と受け継がれています。当院はすべての診療科を有する総合病院として真摯に医療を実践してきた歴史がありますし、「病院くさくない明るい病院」は当院のアメニティーをご覧になれば納得していただけると思います。最近の厳しい国家医療財政の環境の中で「東洋一の理想的な病院」とまではいきませんが、世界水準の医療を地域住民に提供する病院を目標としてやってきました。

 現在、当院は岡山県西部の中核医療機関として高度急性期医療および高度先進医療(高額医療機器が必要な医療、高難易度の治療、希少疾患に対する専門的治療など)を担っています。併設する救命救急センターでは、あらゆる重篤な救急患者さんを24時間体制で受け入れる体制を整えています。また、当院は全国的にも有数の臨床症例数があるため、全国各地の大学医学部を卒業した数多くの若い医師達が教育・研修の場として集まってきてくれています。当院は、国際的医療機能評価機関(JCI)の認定(JCI認証)を2016年から取得しています。JCIは、患者安全が担保されているか、高品質な医療が提供されているか、院内に継続した改善活動が行われる仕組みを有しているかを世界基準で審査します(日本国内でのJCI認証は現在30施設ほど)。JCI受審を通じてレベルアップした患者安全を日常業務として定着させるとともに、医療の質の向上を継続的に推進しています。

 今後は岡山県西部でも少子高齢化による人口減少が徐々に進んでいきます。厳しい医療財政環境下で当院が確保できる医療人材には限りがありますので、周辺の医療機関とお互いが得意とする医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期など)や診療分野を分担・協力しながら地域医療連携(エコシステム)を推進していくことが当院の目指すべき姿であると考えています。そのためには、最近は国も医療分野のDX推進本部を立ち上げていますが、当院としても患者情報の共有化や病院連携のためのIT化を推進していきたいと思います。もちろん社会貢献として救急医療体制もさらに充実させていきます。

これからも患者の皆さまに信頼される病院としてあり続けたいと決意しておりますので、当院へのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

令和6年4月
院長 寺井 章人