当科には、手術を必要とする心臓血管系の疾患を抱えているものの、全身麻酔に耐えられるだけの体力がないという理由から手術に踏み切ることのできない方も訪れ、その数は今後も増えていくことが予想されます。
先日、当科に92歳の腹部大動脈瘤の方が紹介で来られましたが、ご高齢で、かつ呼吸機能が悪く全身麻酔のリスクは高いと考えられました。しかし、もともとはほぼ毎日畑仕事に出られるほど元気な方で、ご本人、ご家族ともに治療希望があり、ステントグラフト治療を局所麻酔下で行いました。術後経過は良好で、手術の3日後に紹介先の病院へ転院されました(圧迫骨折のリハビリのため)。傷は足の付け根に数ミリから数センチのもので済み、抜糸も基本的には必要ありません。このように、全身麻酔リスクが高く、これまで手術を受けられなかった方でも安全に手術を受けられ、今後ますます必要となる手術方式です。
術前のCT画像
術後の造影
病棟にて