神経内分泌腫瘍(NET、NEN)とは

神経内分泌腫瘍は10万人あたり3.5人の稀少疾患に属し、世界的には徐々に増加しています。主に消化管、膵臓、肺みられますが、子宮頸部、前立腺、胆管など全身の臓器から発生します。ホルモンを過剰に産生する機能性腫瘍の場合もあり、消化性潰瘍、低血糖、下痢など多彩な症状を合併します。また、腫瘍の悪性度は多彩で非常におとなしい腫瘍から、急速に増大、転移する悪性腫瘍までさまざまです。まれに遺伝性腫瘍の場合もあります。そのため、多診療科で診療にあたる必要があり、当院では腫瘍内科、消化器内科、外科はもちろん、放射線診断科、病理診断科、放射線治療科、内分泌内科、遺伝診療部など多診療科で診療にあたっています。

神経内分泌腫瘍専門外来

希少疾患であり、多臓器に発生し、内分泌症状の合併、遺伝性腫瘍の可能性もあることから診療に難渋することがあります。また、治療はいわゆる殺細胞薬から分子標的薬、さらに最近では放射線内照射療法であるPRRT(ペプチド受容体核医学内用療法)が始まりました。PRRTは2021年6月に本邦で保険承認されたことをきっかけに2022年2月より倉敷中央病院でも導入をいたしました。神経内分泌腫瘍に発現しているソマトスタチン受容体を放射線診断で確認し、ソマトスタチン受容体に結合する放射線核種(177Lu―オクトレオテート)を投与することで、放射線核種を腫瘍に選択的に届けることで抗腫瘍効果を発揮します。これは入院による点滴治療ですが、当院では2泊3日で行っています。PRRTは2ヶ月に一度の入院治療を4回行うことで治療が完了します。今後、神経内分泌腫瘍の治療の中心になることが期待されています。この神経内分泌腫瘍という希少疾患の患者様の窓口となるよう2023年4月1日より「神経内分泌腫瘍専門外来」を開設しました。

倉敷中央病院の神経内分泌腫瘍(NET、NEN)診療

倉敷中央病院では神経内分泌腫瘍外来での外来診療とともに、神経内分泌腫瘍の初回治療や治療変更の際には、週一回のオンコロジーボードで腫瘍内科、外科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、各臓器の診療科、内分泌内科、遺伝子診療部、薬剤部など多診療科、多職種で治療方針を決定いたします。オンコロジーボードでは神経内分泌腫瘍診療ガイドラインに携わっている医師も加わっており、全国の最新情報を元に診療を進めています。

多くは内視鏡的切除、外科的切除での根治術を行いますが、遠隔転移を来している患者さんについては、切除の選択肢も考慮しながら分子標的薬、がん化学療法、PRRTといった様々な選択肢を腫瘍の悪性度に応じて治療を行っています。当院では「神経内分泌腫瘍専門外来」にて、PRRT、治療選択等、神経内分泌腫瘍診療の困りごと全般についてご紹介を受け付けております。また、セカンドオピニオンも対応しております。

受診方法

神経内分泌腫瘍外来

月曜日の午後に開設しています。

臨床腫瘍外来(毎週火曜日)

臨床腫瘍外来の受診について

参考ページ

がん診療サービス 膵・消化管内分泌腫瘍