肋骨を切らずに行う、小開胸アプローチの取り組み

当院では胸骨を切らずに、肋骨の間から小開胸で行う心臓手術(MICS)を2008年から開始しました。対象は主に、僧房弁に対する手術と先天性心疾患(心房中隔欠損症)の一部です。小切開という小さい傷(6㎝)から手術操作を行うため、専用の器具を用います。

当院のMICSの特色

対象疾患の拡大

手技を習熟するにつれて、対象疾患を徐々に拡大しています。

3D内視鏡の導入

2017年に3D内視鏡を導入しました。3D内視鏡を用いることで、病変の立体構造を把握しやすくなり、手術操作向上に寄与することが期待されます。僧帽弁形成術では、形成の仕上がり度合いが患者さんの長期経過に影響し得るため、術野の見え方や操作性の改善は重要な要素と考えています。

また、内視鏡の使用で創部を大きく広げる必要が少ないことから、術後の疼痛が少なく、職場復帰までの期間が短いことが利点もありますが、術後経過には個人差があります。

大動脈弁に対する右小切開MICS(AVR)

当院では2019年にスーチャーレス人工弁を導入したことを契機に、大動脈弁置換術に対する右小開胸手術を本格的に開始しました。
大動脈弁の症例では大動脈の性状がよくないことが少なくないので、当院では上行大動脈から送血する方法を標準手術の一つとして用い、患者さんの状態に応じて術式や手順を検討しています。

手術の流れですが、右胸に7㎝の切開を加えて、第3肋間または第2肋間からアプローチします。人工心肺を使用して心臓の動きを一時的に止めたうえで、上行大動脈を切開し、大動脈弁を確認しながら人工弁を留置します。
さらに、2025年からは3D内視鏡を用いた完全内視鏡下大動脈弁置換術にも取り組み、低侵襲アプローチの選択肢を広げています。

右小開胸MICSは、2025年までに346例に施行しています。