歩ける足を守る。あなたの生活を支える

閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化症(ASO)は、足の血管が動脈硬化で狭くなったり詰まったりすることで、歩くと足が痛む・しびれる・冷たくなるなどの症状が現れる病気です。「末梢動脈疾患(PAD)」とも呼ばれています。

進行すると、安静にしていても痛みが出る・傷が治らない・壊疽にいたることがあります。

さらに重要なのは、足の血管が悪い方は、心臓や脳の血管にも動脈硬化が進んでいることが多いという点です。心筋梗塞や脳卒中のリスクが高い恐れがありますので、足の治療だけでなく、全身の動脈硬化の管理が重要です。

こんな症状はありませんか?

  • 歩くとふくらはぎや太もも、お尻が痛くなるが、休むと楽になる
  • 以前より歩ける距離が短くなった
  • 足が冷たい・しびれる
  • 足の傷が治りにくい
  • じっとしていても足が痛い(特に夜間)
  • 足の色が悪い(紫色、黒っぽい)

一つでも当てはまる場合は、早めの検査をお勧めします。

病気の進行段階

閉塞性動脈硬化症は、ステージにより症状が変わります。

分類 状態 症状
Ⅰ度 無症状 しびれ、冷感はあるが歩行に支障なし
Ⅱ度

間欠性跛行

歩くと足が痛くなり、休むと楽になる

Ⅲ度

安静時疼痛

じっとしていても足が痛い(特に夜間)

Ⅳ度

潰瘍・壊疽

足に傷ができる、組織が壊死する(黒くなる)

進行を止めるには、早期診断が最も効果的です。

閉塞性動脈硬化症になりやすい方
  • 喫煙(最大のリスク因子)
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症(コレステロール、中性脂肪が高い)
  • 慢性腎臓病・透析
  • 高齢(65歳以上)

検査方法

検査名 内容
ABI検査 腕と足首の血圧比を測定。0.9以下で閉塞性動脈硬化症の疑い
簡単で痛みの少ない検査

血管エコ―

超音波で血管の狭窄や閉塞を確認。被曝がなく繰り返し検査が可能

CT血管造影

造影剤を使用し、全身の血管を3D画像で詳しく評価。手術計画に必要

血管造影

カテーテルから造影剤を注入し、血管を詳細に観察。治療も同時に行える

治療方針

患者さんの症状や血管の状態などを総合的に判断し、適した治療法を選択します。

【1】薬物療法・運動療法

治療の基本となります。

使用する薬
  • 抗血小板薬:血液をサラサラにして血栓を防ぐ
  • 血管拡張薬:血管を広げて血流を改善する
  • スタチン(コレステロールの薬):動脈硬化の進行を抑える
運動療法

歩行訓練は非常に効果的な治療法です。

痛みが出るまで歩き、休んで回復した歩行を再開することを繰り返すと、側副血行路(バイパス血管)が発達します。

【2】カテーテル治療(血管内治療)

傷が小さく、身体への負担が少ない低侵襲治療です。足の付け根や手首などからカテーテル(細い管)を入れ、狭くなったり詰まったりした血管を内側から広げます

主なカテーテル治療
  • バルーン拡張術(PTA):風船(バルーン)を血管で広げる
  • ステント留置術:金属の筒(ステント)を留置して血管を支える
  • 薬剤コーティングバルーン/ステント:再狭窄を伏せず薬剤を塗布
メリット
  • 傷が小さい(数㎜程度)
  • 局所麻酔で行えることが多い
  • 入院期間が数日~1週間程度
  • 高齢者やハイリスクの方にも適応可能
当院では循環器内科と心臓血管外科が連携し、適応を慎重に判断します。

【3】バイパス手術

詰まったり狭くなったりした血管へのカテーテル治療が難しい場合に、新しい血液の通り道を作る手術です。患者さんご自身の静脈(大伏在静脈)や人工血管を用います。

主なバイパス手術
手術名 内容
大腿-膝窩動脈バイパス 太ももから膝裏へのバイパス(自家静脈使用)

大腿-下腿動脈バイパス

太ももから膝下へのバイパス

腸骨動脈-大腿動脈バイパス

お腹から太ももへのバイパス(人工血管使用)

腋窩-大腿動脈バイパス

脇の下から太ももへ(回復困難な場合)

自家静脈を用いたバイパスは長期開存率が高いとされ、重症例で特に有用です。

【4】血栓内膜摘除術

血管を切開し、動脈硬化で硬くなった内膜や血栓を直接取り除く手術。限られた範囲の病変に対して有効で、バイパス手術と組み合わせて行うこともあります。

重症虚血肢(CLTI)への対応

安静時疼痛、海洋、壊疽が足にある状態で、適切な治療を行わなければ、足の切断の可能性があります。当院では「足を守る」ことを最優先に、重症虚血肢の患者さんに対する集学的治療を行っています。

多職種による集学的アプローチ
  • 心臓血管外科:バイパス手術、血行再建
  • 循環器内科:カテーテル治療
  • 形成外科:創傷治療、皮膚移植
  • 糖尿病内科:血糖コントロール
  • リハビリテーション科:歩行訓練
  • フットケアチーム:傷の管理・予防
当院の閉塞性動脈硬化症治療

【1】バイパス手術や血栓摘除術など、豊富な手術経験がある

【2】複雑な病気に対して、カテーテル治療をバイパス手術を同時に行う「ハイブリッド治療」にも対応。

【3】循環器内科との緊密な連携

【4】透析センターと連携し、透析患者さんにも対応

【5】切断回避を最重要視した「足を守る」ための全力サポート

予防と生活で大切なこと

  • 禁煙:最重要。喫煙は動脈硬化を急速に進行させます
  • 血糖コントロール:糖尿病の方は特に重要です
  • 血圧・コレステロール管理:薬は忘れずに服用を
  • 毎日の歩行運動:無理のない範囲で継続しましょう
  • 足の観察とケア:毎日足をチェックし、清潔に保ちましょう
  • 定期的な検査:症状がなくても定期的なフォローが大切