妊孕性(にんようせい)温存
男女ともに、若い年齢で、がん、あるいは良性疾患でも、抗がん剤や放射線療法によって、精巣や卵巣にダメージが起こり、将来の妊娠に悪い影響を及ぼす可能性があることがあります。
男性の場合:精子を保存する
女性の場合:卵子や、パートナーのおられる方では胚(受精卵)を保存する
といったことを行い、将来の妊娠の可能性を高くする方法があります(必ず妊娠できると約束できるものではありません)。
当院で可能な妊孕性温存
男性の場合 |
〇マスターベーションによる精子を保存する 〇精巣から精子を取り出して保存する(TESE:精巣精子回収術) |
|---|---|
女性の場合 |
〇排卵誘発をして卵を採取し、卵子として保存、あるいは受精させて胚として保存 ×2026年4月現在、卵巣組織凍結は実施しておりません。(国内である程度集約化したほうがおそらく良好な成績につながるであろうと考えております。) |
がん治療を行う総合病院で生殖医療も行っている病院が減ってきております。
当院産婦人科では当院あるいは他院のがん治療科と、密接な連絡をとり、多くの妊孕性温存を実施しております。
年間男性6例、女性6例程度をご紹介いただき、安定した実績を持っております。
妊孕性(にんようせい)温存のご紹介
院内からでも院外からでも、がん治療科から産婦人科の本田徹郎か田中 優に電話で(院内の場合はメールでもよいです)ご相談ください。男性患者でも産婦人科にご相談ください。必要に応じて産婦人科から泌尿器科に相談します。医師に直接電話しにくい場合には、がん相談支援センターにご相談ください。
| お問い合わせ先 |
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産婦人科 本田徹郎・田中 優 |
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がん相談支援センター |
妊孕性(にんようせい)温存をしたけど、実際にどうしたらよいの
男性でも女性でも
- 若い時に “親に勧められるまま” 精子や卵子を保存した
- がんも治ったみたいだし、将来子供を持つこともそろそろ考えるようになった
- 実際、どうしたらいいの?
という思いを持たれるかたが多いです。
精子・卵子を保存するときには、がんの宣告を受けてショックを受け、「自分は生きていけるのか」「勉強や仕事はどうなるのか」などが最大の問題であり、将来の家族設計を考える余裕はないケースがほとんどです。
小児・若年のがん患者さんが、がん治療の進歩によって長生きされるようになりました。日本がん生殖医療学会でも、精子・卵子を保存されたかたが、実際お子さんを持つ場合、どうしたらよいのかわからない、という問題が起きていると報告されております。
われわれ生殖医療医師も反省すべき問題です。がん診断時には「精子・卵子を保存しておくとよいですよ」の説明に追われ、実際に将来どうしたらよいのかと説明することに時間を取っていないのが実情かと思います。
以下、男性と女性に分けてお話しします。
男性の場合
がん治療が5年以上行われていない場合、「寛解(ほぼ治っただろう)」とみなされます。まずはお近くの泌尿器科・産婦人科で精液検査をしてください。
異常がなければ自然妊娠が可能です。
精液検査に異常がない場合、凍結してある精子保存を廃棄することも選択肢になりますが、これはがん治療科とよくご相談してください。5年以上を経て再発するがんもあるからです。
精液検査に異常がある場合、精子保存を続けることを勧めます。
検査時点での精液所見によって異なりますので一概には言えないのですが、凍結精子を用いた妊娠には、貴重な精子を有効に使うために「人工授精」(数百万の運動精子が必要)よりも「体外受精・顕微授精(ART)」(少ない運動精子で妊娠可能)を勧めます。
くわしくは当院産婦人科でご相談ください。
女性の場合
がん治療が5年以上行われていない場合、「寛解(ほぼ治っただろう) 」とみなされます。
まずは産婦人科でエコーあるいはAMH*採血検査を受けてください。
卵巣に残っている卵の数を調べます。
*AMH:抗ミュラー管ホルモン:卵巣に残っている卵の数が多いか少ないかをみます。 この場合、産婦人科は生殖医療をよく理解している病院・クリニックをお勧めします。 未婚の方の場合、AMHは保険適応外のため、受診料に加えて約8,000円かかります(2026年4月現在、当院)。
卵巣予備能に問題がない場合、卵子保存を廃棄することも選択肢になりますが、これはがん治療科とよくご相談してください。5年以上を経て再発するがんもあるからです。
卵巣予備能に異常がある場合、卵子保存を続けることを勧めます。
無月経の場合、子宮が小さくならないように、女性ホルモン・黄体ホルモンの補充が望ましいです。
保存した卵子・胚で妊娠を考える場合には体外受精・顕微授精(ART)が必要です。
くわしくは当院産婦人科でご相談ください。






