消化器内科

消化管グループ

消化器内科消化管グループは、食道、胃、十二指腸、大腸の疾患を扱う管(くだ)グループと、胆道、膵臓疾患を扱う胆膵グループが協力し合って診療にあたっています。管グループでは、胃癌、大腸癌をはじめとする腫瘍性疾患、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患を含むさまざまな疾患に加え、消化管出血などの救急疾患の診断と治療に取り組んでいます。胆膵グループも同様で、膵癌、胆のう癌、膵炎など腫瘍性、炎症性疾患とともに、胆石、閉塞性黄疸など救急疾患に対する診断と治療に力を注いでいます。

内視鏡を活用しての内視鏡治療の重要度は益々増加しており、当院では最新の設備と技術を駆使して高度な技術で対応しています。癌の深達度診断に極めて有用と考えられる最新式の超音波電子内視鏡システムEU-ME2と超音波ガストロビデオスコープGF-UE290を導入し、既存のミニチュアプローブと共に使用しています。また、EUS-FNA用に超音波装置EU-ME2とファイバースコープGF-UCT260を使用しています。上下部内視鏡診療では、最新式のEVIS X1システムを導入し、4Kハイビジョンの精細な画質でNBIを中心とする特殊光による拡大内視鏡観察を行うことで、食道癌、胃癌、大腸癌の精密な診断、高度な内視鏡治療が可能になっています。

内視鏡手術として、潰瘍出血の止血、早期食道癌、胃癌、大腸癌の粘膜下層剥離術、食道胃静脈瘤硬化療法、内視鏡的総胆管結石治療、内視鏡的減黄術、内視鏡下胃瘻増設、金属ステントによる癌性狭窄解除などを、多数の症例で行っております。安全、安心で、QOLを重視した、患者さんにやさしい治療を目指して、病院内外の連携も一層深めていきたいと考えています。

診療内容

消化管出血に対する緊急内視鏡による診断と治療は24時間可能であり胃、十二指腸潰瘍出血に対してHSE局注、クリップ法、ヒートプローブ止血法、アルゴンプラズマ凝固止血法等の内視鏡的止血術を使用、胃潰瘍止血は96%の高い止血成功率を得ています。

ヘリコバクターピロリの除菌療法 胃十二指腸潰瘍、低悪性度MALTリンパ腫、早期胃癌内視鏡治療後、ヘリコバクターピロリ感染胃炎、胃過形成性ポリープなど、さまざまなピロリ菌関連疾患に対して除菌治療を行っています。P-CABを用いた除菌レジメで高い除菌率を確保し、自費診療によるペニシリンアレルギー患者の除菌治療や、3次除菌治療にも対応しています。

早期胃癌の治療として、絶対適応病変、適応拡大病変とも、ガイドラインに沿って粘膜下層剥離術(ESD)による治療を積極的に行っています。胃粘膜腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術も、外科と協力して積極的に行っています。

早期食道癌の粘膜下層剥離術による治療も行っています。進行食道癌については、手術が不可能な局所進行症例、手術に耐えられない症例を中心に、放射線治療科と連携して放射線治療と抗がん剤を組み合わせた治療(化学放射線療法)を行っています。

嚥下困難患者に対する経鼻チューブ栄養に代わるものとして内視鏡下胃瘻造設を行っています。30分程度で済み、患者QOLの点で有利です。

癌性食道狭窄に対して食道ステント挿入を行っています。また、術後の瘢痕狭窄、種々の癌性狭窄、アカラジアに対して内視鏡下バルーン拡張術を行っています。

大腸癌の内視鏡による粘膜切除術、粘膜下層剥離術(ESD)も多数行っています。10mm以下の小ポリープに対しては、通電しない粘膜切除術、cold EMRを行っており、その有用性、問題点を明らかにするためにいろいろな臨床研究を行い、論文、学会発表を積極的に行っています。

小腸疾患の診断・治療は、カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡検査を駆使して取り組んでおり、論文として成果を発表しています。

腸閉塞に対しては、内視鏡によるイレウスチューブの挿入、また適応を慎重に選んで、ステント留置を行っています。

総胆管結石の内視鏡治療としては、基本的に内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)を行ったうえで必要に応じて内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)、ラージバルーン拡張術(EPLBD)も併用して効率的な結石治療を目指しています。巨大結石に対しては経口胆道鏡を用いた電気水圧式結石破砕術(EHL)も行っています。

膵臓癌・胆道癌等による悪性胆道狭窄、胆管結石などによる良性胆管閉塞に対して、胆管炎や閉塞性黄疸の状況に応じて内視鏡的胆道ドレナージ術(EBD)を行っています。

悪性胆道狭窄に対しては積極的に金属ステント(SEMS)の留置を行い、長期間の自宅療養を目指しています。従来の経乳頭治療(ERCP関連処置)で治療困難な患者さんには超音波内視鏡を使用した治療(Interventional EUS)も行っています。

消化管壁外の悪性腫瘍に対しては超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を行い、病理学的な確定診断を行い治療方針の決定を行っています。

慢性膵炎による膵石に対しては内視鏡治療だけでなく、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)および内視鏡による膵管ステント留置術(ERPD)も行っています。

食道静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤硬化療法を行っていますが、肝不全、腎不全、出血傾向を伴った症例には内視鏡的静脈瘤結紮術を行っています。

胃腎シャントを有する孤立性胃静脈瘤に対して緊急出血例には、®ヒストアクリルを硬化剤として内視鏡的静脈瘤硬化療法を行っています。

潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患の診療にも注力しており、難治性潰瘍性大腸炎症例には、生物学的製剤による治療や、血液治療センターの協力を得て血球成分除去療法を行っています。クローン病に対しては成分栄養療法を中心にして、5−ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤による薬物療法を行っています。また潰瘍瘢痕狭窄による通過障害に対してバルーン拡張により非侵襲的加療を行っています。
また、当院でIBDの診療体制をより強固なものにすべく、IBDセンターを開設しました。
https://www.kchnet.or.jp/departments/ibd_center/