放射線治療科

診療内容

当診療科ではがんや良性腫瘍に対しX線や電子線を用いた放射線治療を行っています。高エネルギーの放射線を患部に集中してあてることで、がん細胞を効率よく殺します。放射線治療は、切らずになおすことを目指す根治治療から、骨転移による痛みを和らげる緩和治療まで、がんの診療のなかで様々な役割をはたしています。がんの状況によっては放射線治療と手術や化学療法を組み合わせた治療(集学的治療)を必要とすることもあり、積極的に各診療科と連携しながら治療を行っています。放射線治療技術の進歩は日進月歩ですが、スタッフ一丸となって放射線治療の高精度化に取り組んでおり、患者さんの負担の少ない治療を目指しています。

当院のがん診療

画像誘導放射線治療:IGRT

治療直前に外部放射線治療装置(リニアック)に搭載されている診断用X線装置を用いてX線写真やコーンビームCT(CBCT)を撮影し、治療計画時の基準画像と比較することにより、寝台位置のわずかなずれも確実に検出して修正を行うシステムです。IGRTは2010年から全装置で臨床稼働しています。

強度変調放射線治療:IMRT

図1 前立腺IMRT線量分布図

図1 前立腺IMRT線量分布図
矢印:直腸後部の線量を低減

同じ照射野内での放射線の強度をあえて不均一に変える(変調する)ことにより、病変への線量集中性を高めようとする治療法です。これにより腫瘍に多くの線量を集中させ、その近傍にある正常臓器の線量を最小限にすることが可能です(図1)。治療を行う際には十分な経験と事前検証が必要です。当科では2005年より前立腺がん、頭部及び頭頸部の腫瘍に対してIMRTを開始し、のべ2000件以上のIMRTを実施しております。重篤な副作用を減らすなどIMRTによるメリットが大きく期待される症例については、腹部や骨盤領域および胸部領域でも積極的にIMRTを取り入れています。

定位放射線治療(1回照射:SRS、分割照射:SRT)

図2 定位放射線治療の例

定位放射線治療の例 肺がん

肺がん

定位放射線治療の例 肝臓がん

肝臓がん

多発脳転移

多発脳転移

定位放射線治療は多方向から腫瘍のみを狙って線量を集中させ、1回大線量を投与する治療法で、通常の治療よりも高い精度が求められます。当院では1995年から頭部の定位放射線治療に取り組んできました。また2005年からは体幹部の定位放射線治療を開始しています。当科の定位放射線治療はドイツの認定機関(Novalis Certified)の認定をうけており、世界基準を満たす治療、機器設備の管理、スタッフの教育を行っていることが評価されています。

多発脳転移に対する定位放射線治療はこれまで1か所ずつしか治療できませんでしたが、2017年9月より複数の脳転移を同時に定位照射することが可能となりました(図2)。これまで1時間以上かかっていた照射が30分以下で照射できるようになり、患者さんの負担が少なくなりました。

体幹部の定位放射線治療は小さな肺腫瘍、肝腫瘍が主な対象です(図2)。必要な患者さんには呼吸性移動対策を行うことで正常肺や正常肝への放射線線量を低減でき、より体への負担が少ない治療を実施できます。

小線源治療

イリジウムから放出されるガンマ線を用いて、体内から放射線を照射し、治療を行います。当科では遠隔操作でイリジウム線源を送り出す、リモートアフターロディングシステム(RALS)を使用し、子宮頸がんの根治照射を行っています。正常臓器への放射線線量を最小限にするため、治療時に毎回CT画像を撮影し、イリジウム線源を停留させる位置と時間を調整しています。

RI内用療法

RI内用療法とは放射線を放出する薬剤(RI)を体内に投与(注射あるいは内服)することで行う放射線治療です。体の中に入った放射線を放出する薬剤が目的の腫瘍部位に集まることによって、治療効果を発揮しつつ副作用の少ない治療が可能となります。当科では骨に転移した去勢抵抗性前立腺癌に対しラジウム-223(ゾーフィゴ)による治療を泌尿器科と連携して行っています。また、2022年から腫瘍内科、消化器内科、外科などの複数の診療科と連携して神経内分泌腫瘍に対するルテチウムオキソドトレオチド(ルタテラ)による治療を行っています。