小児科

小児外科部門

 倉敷中央病院小児外科はこどもの病気の外科疾患を担当しています。現在スタッフ3名で担当しており、24時間365日対応しています。消化器疾患のみならず、呼吸器疾患、婦人科疾患、泌尿器疾患など幅広く対応し、小児科の先生方と協力しながらこどもの治療にあたっています。
 外来で診察することの多い疾患は鼠径ヘルニア、停留精巣など手術が必要になる疾患から、便秘症など日常でよく見る疾患もあります。また、時に珍しい症状、疾患で来院される方もいらっしゃいますが、必要あれば他科と連携しながら診察を進めています。我々は当日受診も原則断らず診察を行っています。両親や保護者の方々は、ご自身の都合をつけてこどものために来院されているのですから、なるべく当日中に診察を終わらせることが、家族全員の安心につながると考えています。

小児外科手術について

手術風景

手術風景

 小児外科の手術は年間約300件ほどです。手術内訳についてはこちらをご覧ください。これらのうち頻繁に行う手術は、外来で診察する疾患と同じく鼠径ヘルニア、停留精巣、臍ヘルニアなどであり、これらの手術で小児外科手術の約40%を占めています。残りは小児がんの手術や小児呼吸器、婦人科、泌尿器領域と幅広い手術となっています。我々は外科の中の「小児」を担当しています。幅広い領域をカバーすることが、こどもの医療を実践するために必要だと考えています。
 子どもは体が小さいこともあり、内視鏡手術は成人ほど行われていません。ですが我々は現在内視鏡による手術に重きを置いています。2017年は全体の16%ほどしか実施していませんでしたが、現在は40%弱まで増えています。これにより傷を目立たなくすることができ、将来の子どもの心のケアにもつながると考えています。
 2021年4月より小児におけるデイサージャリーの体制が整い、当日入院、当日手術という流れで治療できるようになりました(退院は翌日になることもあります)。原則23日までの3歳以上のお子さんを対象とし、安全性を最大限考慮しての出発でしたが、実際にご両親からは良好な反応をいただいています。帰宅後に合併症も発生していません。背景には術前の小児PMT外来でお子さんのリスク評価および本人とご両親の不安を取り除く努力を行い、麻酔科受診でもリスクをしっかりとケアし、入院直前に外来看護師が状態の確認を行う、という一連の流れがしっかり機能しているからだと思います。
 こうした実績を積み上げ、2022年1月からデイサージャリーの適応を拡大しました。1歳以上で、今まで2泊3日以内で手術していたすべての疾患としました。疾患を挙げると鼠径ヘルニア根治、臍ヘルニア根治、精巣固定、良性腫瘤摘除、副耳摘除、耳瘻孔摘除、外尿道口切開、包茎根治などです。1歳の児は完全に日帰りできるわけではありませんが、今まで前日入院だった1,2歳の患者さんも当日入院し、その日に手術を受ける体制を整えました。コロナ禍でどのような形が時代に沿った最適な医療になるのかということを考えた結果、入院当日に手術を行うという流れは多くの方々に恩恵があると確信しています。上記の条件に当てはまっても日帰りできないという判断になる場合もありますので、その都度主治医と相談してください。

日帰り手術、術後当日短期入院

移行医療

 小児外科は一般的に16歳未満の児を診察治療していますが、時に大人になってもかかわっていくことがあります。先天性疾患で生まれてから機能異常がある場合、成人科の医師には理解しにくい病態のため外来フォローが敬遠されがちです。我々は現在外科の中に小児外科があり、成人外科医と自然と連携できており、小児期から成人期への移行(トランジション)も行っています。

小児外科外来

 現在小児外科外来は月、水、木に行っています。火、金は手術日となっています。ですが、原則当日紹介された患者さんは手術日でも引き受け診察させていただきます。しかしながら、場合によっては多少お待ちいただく時間もあるかもしれないことをご了承ください。

小児外科処置外来(通称胃ろう外来)

 口からご飯が食べられないお子さんも少なからずいらっしゃいます。口から栄養を取れないお子さんは鼻から胃管を通して直接胃に栄養剤を投与することもできますが、長期間鼻にチューブを入れる必要があること、チューブが抜けた場合救急外来を受診する必要があることなど、制約も多くなります。そのような場合胃ろうという、直接おなかから胃に穴をあけて栄養を与える方法があります。小児の胃ろうは定期的に交換する必要があります(現在コロナ禍で2か月に1回変更まで間隔を伸ばしています)。今まで小児の胃ろうは小児外科外来や小児科外来で交換していましたが、2019年12月より胃ろう外来を設け、そちらで時間を設けて個別に胃ろう交換を行うことになりました。
なるべく待ち時間を減らすことにより、お子さんの病院に滞在する時間を減らしたいと考えています。
将来的には気管切開を当科で行った患者さんの気管ファイバー検査などもこの外来で行えるようにする計画です。

最後に

 受診される患者さんの中には手術を受けないと治らない病気もあります。小児は成人と違い、悪性の疾患が少なく、そのほとんどが先天性のものや感染症などです。結果として手術を受けるお子さんの病気としては摘出する手術より形成する手術が多数を占めます。したがって手術を受けた患者さんは元気になって帰られることが圧倒的に多く、手術した部位をなるべく目立たなくすることによる精神的な負担を軽減する必要があります。医療者皆が努力し、結果患者さんたちも含めて皆でハッピーになっていただける、そのような気持ちで診療を行っています。子どものための医療をこれからも実践していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

外来風景

外来風景

手術風景

手術風景