臨床検査技術部

当部の特色

草創期

技師長 中川 尚久

創始者大原孫三郎氏の高邁な理想にもとづいて建設された本院は、 臨床医術の練磨の傍らその基礎と臨床研究の研鑚も求められ、大正12年開設当初から研究室が併設されました。
わが国における臨床検査の先達者であり指導者となられた柴田進氏が昭和22年、医師として初めて「研究室主任」となり現在の検査部の礎を築かれました。その後、昭和26年には中川定明氏が中央検査室制度の導入を企画しました。
昭和34年、検査技術員を病理、細菌、血液型、梅毒、化学の4検査に分けて専従させ、昭和35年には、従来、内科の一部で行われていた一般検査、血液検査、心電図検査が組織的に研究室に移管され検査の中央化を発展させました。

発展期

昭和38年、病院創立40周年を契機に研究室は「臨床医学研究所」となり、検査部門は「検査センター」と改称されて臨床各科の診療のサポ-トをすることとなりました。昭和56年には、検査センターは病理、 検査の2つに分離独立し、平成元年にはそれぞれ臨床検査科と病理検査科の2科に分かれました。
昭和55年頃から、産科の要望により、京都大学産婦人科の指導を受けつつ染色体検査を開始しました。その後、染色体検査室として血液内科を肇とする各科の血液細胞、腫瘍組織の染色体検査まで拡大利用され、本検査部門の特異的な存在となって活躍しています。
昭和38年に6部署14名で臨床検査センターとして発足した技術陣は、その後病院の拡張と検査の需要の急速な膨張を受けて益々発展し、60周年に当たる昭和58年には新築と成った3000m2の検査フロア-に11検査室と100名余の職員を抱えるに至りました。医療水準の高度化と疾病構造の変化に伴い、臨床検査科で扱う検体数も年毎に増加の一途を辿っていき、平成11年度には年間検体数が8百万件、生理検査では8万件、時間外検査は22万件を超えるに至り、その後も増加の一途を辿っています。

現在

臨床検検査技術部で行う検査は大きく検体検査系と生理検査系に分けられますが、現在は検体検査グループと生理検査グループに分けて効率的運営を行っています。
臨床検査技術部は全体で165名(パート勤務16名含む)の臨床検査技師を有し、検体検査で年間約800万件、生理検査で約17万件の検査を行っており、病院に属する検査部門としては日本有数の規模を誇っています。規模のみならず、検査の質についても常に日本の最前線を目指しています。検査技師の業務内容の拡大にも積極的に取り組み、外来採血や一部病棟の出向採血や早朝採血を担当しています。検査部門以外にもセンター部門など要所要所に検査技師を配置して他職種との緊密な連携を図り、各診療科の円滑な診療業務と患者さんの満足度向上に貢献しています。また、2017年9月14日付でISO15189の認定を取得しました。今まで以上に品質の維持・向上に努め、患者さんのためにより良い検査データを提供できる臨床検査室として、継続的に改善を進めています。また、臨床検査技師の業務内容の拡大にも積極的に取り組み、外来採血や一部病棟の早朝採血を含めた出向採血を担当し、2020年7月より2交替業務開始とともに、救命救急センターへ夜勤帯に1名出向しています。検査部門以外にもセンター部門など必要各所に臨床検査技師を配置して他職種との緊密な連携を図り、各診療科の円滑な診療業務と患者さんの満足度向上に貢献しています。

将来

急速な人口の高齢化に伴う医療・介護に必要な費用の増大など取り巻く環境が著しく厳しさを増している中、「病院完結型医療」から地域全体で治し、支える「地域統合型医療」への転換が「医療提供体制の確保に関する基本方針」の中で求められています。更に、ポストコロナの方向性としては、新型コロナウイルス感染症対応により得られた知見を踏まえ、新興感染症等が発生した際の影響にも留意しつつ、「地域統合型医療」エコシステム構築のハブ病院として中心的役割を果たすためのふさわしい検査部門体制を構築する必要があります。効率的かつ多能的な検査業務の遂行や更なるタスクシフト/シェア業務に向けて意識改革を図り、検査部門内・外の連携を高めるために業務拡大とチーム医療の推進に取り組んでいます。