臨床検査技術部

心臓生理検査室

主に循環器内科・心臓血管外科の外来検査として以下の検査を行っています。

1. 心電図検査

12誘導心電図

心電図検査心臓から発生する微弱な電気信号の変化を心電計を用いて波形として記録します。不整脈、心肥大、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、電解質異常などの診断に有用です。

運動負荷心電図

トレッドミル

運動により心臓に負荷をかけることで、安静時の心電図ではみられない虚血性心疾患の評価や運動誘発性不整脈などの診断に有用です。
2段の凸型階段を昇降するマスター運動負荷試験や電動式のベルトの上を運動するトレッドミル運動負荷試験を行っています。

自律神経機能検査

心電図を100心拍記録して、R-R間隔の変動から自律神経機能の働きを調べる検査です。

加算平均心電図

心筋梗塞や心筋症などによる心室局所の障害で心室興奮伝導に遅れが生じる場合があります。この遅延した微小な心室遅延電位(Late potential)を体表面から非侵襲的に加算平均して記録する方法です。心室遅延電位測定により心室頻拍や心室細動などの重症不整脈発生の危険を予測します。

血圧脈波(ABI/CAVI)

四肢の血圧を同時、又は片側ごとに測定することにより、ABI(足関節上腕血圧比)、CAVI(心臓足首血管指数)、TBI(足趾上腕血圧比)などを算出します。ABIは、四肢末梢の動脈硬化の程度や狭窄の有無の判定に有用です。PWVは、血管壁の硬さの程度が把握できます。 CAVIは、血管の老化度の程度が把握できます。TBIは足関節に高度の動脈石灰化を認める場合や足関節より末梢での動脈に狭窄、閉塞を疑う場合に有効です。

Head-up Tilt試験(起立負荷試験)

起立負荷試験失神やめまいなどの原因が自律神経調節性失神(血管迷走神経性失神)であるかどうかを調べます。患者さんを仰臥位より80度まで起こした時の症状や血圧・脈拍などの変化を観察します。

2. ホルター心電図検査

ホルター心電図

ホルター心電図携携帯型の心電図記録機器を装着して一日(24時間)の心電図を連続記録します。通常の短時間での心電図検査で捉えられない一過性の不整脈の診断に有用です。他には人工ペースメーカの機能評価および抗不整脈薬の薬効判定にも有用です。
また、3誘導しか記録できないホルター心電図の欠点を補う12誘導ホルター心電図や、心電図と合わせて24時間血圧測定を行う検査(血圧ホルター)という検査もあります。

携帯型発作時心電図 (イベントレコーダー)

取り外し可能な携帯型心電図記録機器を患者自身が装着し、自覚症状出現時に患者さんがイベントボタンを押すだけで簡単に症状出現時の心電図が記録できます。当院では、最大2週間の長期間で施行し、ホルター心電図でも捉えられない自覚症状の原因精査を目的とした不整脈や虚血性心疾患の診断に有用です。

また、患者さんがイベントボタンを押すことができなくても、不整脈出現時の心電図が自動で記録されるため、より確実に不整脈の検出が可能です。

3. 心臓超音波検査

※ 小児領域は、呼吸生理検査室:心臓超音波検査参照

経胸壁心エコー図法

心エコー経胸壁心エコーとは、人には聞こえないほどの高周波超音波を心臓に発信し、返って来たエコー(反射波)を受信し、心臓を画像として描出して診断する検査です。心筋壁運動異常、心臓(心房、心室、大動脈)の大きさ、心筋壁の厚さ、弁の形態、短絡などの診断に有用です。更にドップラを用いれば、心臓の推定内圧の測定も可能です。疾患としては心筋梗塞、弁膜症、心筋症、先天性心疾患、大動脈疾患などがわかります。
被曝の心配は全くないので胎児、乳児、妊婦の方まで安全に安心して検査を受けていただくことができます 。

経食道心エコー図法

経胸壁心エコーでは、診断が困難な左心耳内血栓の診断をはじめ、僧帽弁位人工弁の評価、感染性心内膜炎の診断や大動脈解離の診断に有用です。手術中のモニターおよび評価にも有用です。

3次元心エコー図法

大動脈弁の3D経食道心エコー法で得られた平面画像情報を元にして立体画像を構築します。心臓をリアルタイムに3次元表示することで、従来より容易に形態異常などの立体的な評価が可能です。カラードプラーと組み合わせた3D Colorなどの表示もでき、僧帽弁逸脱例の術前評価に期待しています。

 

末梢血管の検査

頚動脈や腎動脈をはじめ、上肢・下肢の動脈や静脈を描出し、狭窄、プラーク、血栓等の検索を行います。動脈硬化性病変、腎動脈狭窄症、下肢静脈血栓症、カテーテル検査後の穿刺部観察等に有用です。

運動負荷心エコー

心筋ストレイン評価エルゴメーターやトレッドミルの運動をしながら心エコー検査を行い、安静時では認められない異常所見を検出する検査方法です。虚血性心疾患の局所壁運動異常、肺高血圧の程度、弁膜症の重症度評価、弁膜症に対する手術適応の評価などに有用です。

4. システムおよび機器

システム

  • 生理・放射線情報システム
    放射線科と協力して部門システムを立ち上げています。現在、病院情報システム(HIS)と課金システムとの連携をとっています。
  • 心電図データマネージメントシステム
    1989年、データファイリングシステムを導入し、開業医等にオーバーリードサービスなどを行ってきました。2006年より大幅にサーバ容量を拡大するとともに、生理・放射線情報システムとの連携を行っています。
  • 心臓超音波画像ファイリングシステム
    2007年より心臓超音波画像ファイリングシステムを導入し、検査時には、必ず前回データを参照しています。定期的な勉強会や循環器内科・心臓血管外科との合同カンファレンスにも活用しています。電子カルテには、MPEG1画像を参照画像として提供しています。また、2009年8月よりレポーティングシステムも導入しています。
  • ファイルメーカ・サーバを利用したシステム
    循環器領域で病棟や関連検査室を、ファイルメーカ・サーバを利用したネットワークで結び、相互に活用してます。

使用機器

装置 名称 台数
心電計 FCP-8800 [フクダ電子] など 4台
トレッドミル運動負荷装置 MLX-1000 [フクダ電子] 2台
血圧脈波計 VaSera VS-3000 [フクダ電子] 2台
ホルター心電計 Cardy301 [スズケン] 10台
Cardy302 Mini [スズケン] 10台
Cardy1201 [スズケン] 13台
Cardy302 Max [スズケン] 3台
12誘導ホルタ-心電図 Cardy1201 [スズケン] 1台
血圧ホルター AM300 [スズケン] 3台
携帯型発作時心電計 Spiderflash-t [日本ライフライン] 16台
心臓超音波診断装置 VividE95 [GE]、EPIQ[Philips] など 10台
携帯型心臓超音波装置 SonoSite MicroMaxx [ソノサイト] など 3台

心臓生理検査室・呼吸生理検査室 検査件数の年次別推移

※ 2014-2020年

心電図検査関連・肺機能検査

項目名/年 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
標準12誘導心電図 39309 37433 37178 37404 38134 36610 35566
マスター負荷心電図 702 616 685 583 642 553 488
平均加算心電図 57 57 49 52 20 45 33
トレッドミル負荷試験 1863 1610 1623 1633 1469 1419 1040
自律神経機能(R-R) 819 872 946 748 801 784 572
チルトテスト 79 66 68 50 47 39 21
血圧脈波 2757 2916 4052 4502 4456 3994 3300
肺気量分画 8548 8216 8401 8630 8400 8948 7247
尿素呼気試験 629 1031 910 809 880 683 432
ホルター心電図 (血圧、発作時含む) 3465 3339 3570 3698 3949 3913 3902

心臓、血管超音波検査

項目名/年 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
経胸壁心臓超音波 25656 25812 26360 27333 28126 20235 16048
経食道心臓超音波 618 613 663 647 772 888 704
腹部大動脈超音波 367 494 397 273 273 250 207
腎動脈超音波 402 348 245 210 228 170 153
頚動脈超音波 717 692 596 562 543 507 409
下肢静脈超音波 1242 1240 1347 1639 1726 1630 1537