歯科診療技術部
当部の特色
倉敷中央病院歯科は、開設当初から病院の歴史とともに歩み続け、100年近くの長きにわたり地域住民の口腔の健康のため歯科医療の提供を行って参りました。歯科医師を中心として歯科医療技術職である歯科技工士と歯科衛生士がお互いに密に協力し合いながら日々診療に従事しています。
さて、高度急性期医療においては多職種連携によるチーム医療が重要です。近年、国内で誤嚥性肺炎の予防における口腔ケアの効果が実証されてから、急性期医療の現場では口腔ケアは感染対策の一つとして位置付けられるようになりました。その背景があり、入院患者様への口腔ケア、がん治療等の周術期管理における医科歯科連携の必要性が認識され、病院内で歯科衛生士が活躍できる機会も増えてきました。また口腔外科領域の診療拡大に伴い、手術室における業務も増えました。
私たち歯科診療技術部は医療技術部に所属しフロントである歯科において紹介患者様の口腔外科、矯正歯科治療をはじめ、周術期の患者様や入院患者様の口腔管理を行っています。
また、歯科という診療科の枠に制約されず、幅広く院内のチーム医療に参加し、多職種との連携を図りながら業務拡大と積極的な臨床現場への進出を目指し日々邁進しております。
今後の目標として院内はもちろん、当院関連施設との連携、さらには地域連携も視野に入れた業務拡充、そしてそれらを支える良質なスタッフの育成にも尽力を欠かさない部署として安心安全医療をご提供したいと思います。
これからも歯科領域の専門知識を活かし、チーム医療・急性期医療に貢献していきたいと思います。
施設概要
歯科技工室・歯科衛生室の紹介
歯科技工室
病院歯科の歯科技工士としての私たちの業務内容は多岐にわたり一般歯科治療や、口腔インプラント治療、歯科矯正に用いる技工物や装置の製作・修理などの歯科技工業務に加え次のような製作物があります。
- 無呼吸症候群の治療に使用するスリープスプリント装置
- 顎関節治療に用いるスプリント装置
- 口唇口蓋裂のホッツ床、術前顎矯正装置
- 運動時に顎口腔領域の外傷を予防するスポーツマウスガード
- 全身麻酔の挿管時に歯牙や口腔粘膜を保護するマウスプロテクター
- 治療時の口腔管理中に起こる口腔粘膜症の予防・保護用のマウスプロテクター
- 手術や病気で舌の運動障害などがある場合に用いる舌接触補助床(PAP)
- 摂食・嚥下リハビリテーションの一環として軟口蓋挙上装置(PLP)
- 頭頸部領域における悪性腫瘍に対して放射線治療を行う際に、周囲の正常組織の防御を目的とする放射線治療補助装置
- 手術を補助する実物大 臓器立体モデル(3Dモデル)の製作支援
これらを5人の歯科技工士があらゆる知識・技能を駆使し製作しています。これからもさまざまな依頼に対応しチーム医療の中での役割を発揮できる対応能力を持った歯科技工室を目指しています。
歯科衛生室
当院における歯科衛生士としての主な業務内容は、病棟の口腔ケア往診、周術期口腔管理(手術前後の口腔ケア)(抗がん剤や放射線治療患者の口腔衛生管理)、口腔外科、矯正(口唇・口蓋裂・顎変形症・保険対象矯正)など他科との連携を深めながらチーム医療に積極的に介入し、患者様の口腔機能管理、合併症や偶発症の予防に貢献しています。
口腔ケアチ-ム
- 挿管中や誤嚥リスクのある患者様へ、肺炎発症予防のための口腔ケア
- 各病棟や他のボーダレス医療チームとの連携によって入院患者の口腔機能の維持・回復を図り、早期の経口摂取開始や早期退院に貢献することを目的とした口腔ケア
- 造血幹細胞移植前後等のクリ-ン管理中の患者様の口腔管理
- 小児がんの患者様の口腔管理
周術期口腔管理チ-ム
- 全身麻酔手術前,術後の専門的口腔管理(術後合併症予防、挿管時の口腔トラブルの予防)
- 化学療法、放射線治療における口腔有害事象予防目的の口腔管理
- 造血管細胞移植前後の口腔管理
- 緩和ケア患者の口腔ケア・管理
- 外来化学療法センターでの口腔内スクリーニング
口腔外科チ-ム
- 口腔癌や顎骨壊死、膿疱摘出術、外傷等の全身麻酔管理における手術、挿管の介助及び管理
- 静脈内鎮静法による処置の介助・鎮静管理
- 口腔粘膜疾患等の口腔衛生管理
- 難症例の抜歯・外科処置等の介助・管理
- インプラント埋入手術の介助、埋入後の口腔管理
- 骨吸収抑制剤薬剤使用前の口腔内精査・口腔管理
矯正チーム
- 顎変形症、口唇・口蓋裂児等の口腔管理・矯正の介助
- 小児・成人矯正の介助
- 外傷患者治療の介助・口腔管理
予防医療プラザ
- 検診業務(人間ドックのオプション)