コロナ禍でのケガ予防-救命救急センターより

病気の予防にはお薬の服用や運動療法などありますが、すぐに効果がでるものではありません。しかし、ケガは日頃の生活の上で、予防の意識があればケガをせずに済むケースが多いです。

2020年に重症のケガで当院の集中治療室に入室された患者さんは157名でした。重症のケガは病気に比べて、止血のための緊急手術などが必要なケースが多く、医療資源(病院スタッフ、薬剤、輸血、集中治療室ベッドなど)を多く必要とします。

現在、新型コロナウイルス感染症患者さんへの対応で医療資源が厳しい状況です。限りある医療資源を最大限使いながら地域の皆さまの健康に寄与できるように努め、私たちができる最善の医療サービスを提供しています。しかし、医療資源には限度があります。自粛などで身体的にも精神的にもお疲れのことと思いますが、地域の皆さまには今一度、ご自身の生命や生活を守るために、ケガ予防に関しても注意いただければと思います。

重症に至るケガを防ぐには?

次のような事故は重症に至るケガにつながります。

交通事故

交通事故は患者さんにかかるエネルギーが大きく、重症となるケースが多いです。
特に乗用車と接触した歩行者や自転車の方は大きなエネルギーが直接身体にかかり、頭、胸、腹部、骨盤、四肢の多岐にわたる重度のケガを負われ救急搬送されます。

 ドライバーの方は時間に余裕を持ち運転を心がけましょう。携帯電話などによるわき見運転はしないでください。
 夜間に徒歩・自転車でお出かけになる際は、螢光たすきの着用をお願いします。

警察庁の交通安全に関する情報

転落

屋根など高所からの転落です。頭、頚椎(首の骨)、四肢、骨盤などに重度の損傷を負い救急搬送されます。中には脊髄損傷で手足の動きに大きな障害を残す方もおられます。

 ハシゴなど使われるときはその安定性の確認をお願いします。また屋根の作業を行われる際は命綱の着用などもお願いします。

農作業

これから農繁期に入ると思いますが、農機具に手足を巻きこまれた、農機具ごと土手から転落したということで当院に救急搬送されます。農機具の歯は鋭く、また土などの汚染もあり、重度の手足の機能障害が残る方も多くおられます。

 農機具の安全な使用、服装、ヘルメットの着用などお気をつけください。

農林水産省の農作業事故の報告

屋内などでの転倒

高齢の方や骨粗鬆症の方は、軽微な転倒でも頭、頚椎、骨盤に重度の損傷を負い救急搬送される場合があります。高齢の方は若い方と比較して骨のまわりの支持組織が弱いため、同じ骨折でも出血量が多くなります。特に血をさらさらにするお薬を飲まれているとその傾向が顕著になります。

 電気コードや新聞、荷物など片付けて障害物を減らし、つまづくリスクを減らしましょう。
 寝起きや夜間のトイレなどで、ベッドから起き上がるときや体勢を変えるときは慎重にしましょう。

消費者庁の転倒に対する注意喚起