臨床工学部
集中治療技術室
集中治療技術室では、集中治療室以外にも、一般病棟や外来、在宅など多くの場面で働いています。業務の内容も、人工呼吸器や血液浄化をメインに点検・管理、トラブル時の対応など幅広いものとなっています。また、交替勤務を行い24時間体制で業務に当たっています。
① 血液浄化業務
~多様な血液浄化療法に対応~
血液浄化療法には人工透析以外にもたくさんの種類があり、各集中治療室・血液治療センターにて特殊血液浄化業務を行っています。 臨床工学技士の業務は主に以下の内容です。
- 各治療の回路作成(プライミング)
- 治療開始/終了/回路交換サポート
- 治療中の点検
- 治療中のトラブル対応
- 装置の定期点検
近年は新生児・小児領域の血液浄化が増加傾向にあります。
② 補助循環(ECMO、IMPELLA、IABP、VAD)
~集中治療領域で使われる心肺補助装置~
集中治療領域で施行される補助循環装置の使用中点検、使用後点検、トラブル対応などを臨床工学技士が行っています。 生命に直結する機器であり、慎重な管理が求められます。
③ 人工呼吸療法業務
~病棟から在宅まで幅広く対応~
人工呼吸器は、院内に91台(2015年12月末現在)保有しており、集中治療室・一般病棟から在宅まで幅広く使われています。生命維持のために欠かせない重要な医療機器であるため、病棟をラウンドし、装置の使用前/中/後点検、定期点検、迅速なトラブル対応を行っています。
~新生児領域の特殊治療(NO療法・低酸素療法)~
NICUでは新生児遷延性肺高血圧症、横隔膜ヘルニア等の重症例に対して一酸化窒素(NO)吸入療法が施行されており、回路作成や開始/終了時のサポート、装置の校正などの管理業務に携わっています。また、平成26年4月より低酸素療法にも携わっています。
~在宅人工呼吸器~
当院では、全国に先駆け1993年より在宅人工呼吸療法への取り組みを行っています。主に小児科、呼吸器内科などで導入し、自宅で人工呼吸器を使用している患者さんがいます(現在75名)。それらの機器管理も臨床工学技士が行い、緊急時には自宅を訪問し、トラブル対応をすることもあります。
また、在宅移行時には呼吸器の取扱い・トラブル対応についてご家族への勉強会を行い、人工呼吸器を装着した患者さんが、安全に自宅退院できるようにチーム医療で対応しています。
④ SAS業務
~睡眠時無呼吸症候群とCPAP治療~
近年、話題となっているSAS(睡眠時無呼吸症候群)に1996年から携わっています。この治療の一つにCPAP(持続陽圧呼吸療法)があり、CPAP装置という医療機器を使用し、睡眠中にマスクを装着して無呼吸・低呼吸の発生を抑えます。SAS患者は10代~80代と幅広い年代の方がいますが、60代以上の高齢者が多くを占めています。
臨床工学技士の業務
- CPAPタイトレーション
PSG装着下でのCPAP圧力調節 - CPAP導入時の取扱説明
- 外来対応
設定変更、マスクフィッティング、トラブル対応 等
初めて治療を受ける方への導入説明から日々の管理まで携わっています。毎日使用する医療機器でもあるため、導入説明時には丁寧で分かりやすい説明を心掛けています。
⑤在宅酸素療法(HOT)業務
当院では年間300名以上の患者に在宅酸素療法を導入しており、臨床工学技士は患者への装置取り扱い説明等、HOT導入時のサポートを実施しています。
臨床工学技士の業務
- メーカーへ装置手配の連絡
- 患者への装置取り扱い説明
- 機種変更のサポート
- 入退院のサポート
⑥交替業務体制
~交替勤務制を導入 24時間体制~
各集中治療室には、日勤帯に臨床工学技士が常駐しています。日勤以外の夜間・休日に発生する様々な依頼やトラブルに迅速に対応するため、2005年に当直制を導入し、2010年からは全国に先駆け3交替制を導入しました。2018年からはワーク・ライフ・バランスを考慮したシフト勤務に変更し、2020年からは夜間を2名体制に強化し24間体制で緊急対応にあたっています。
⑦機器管理(日常点検、定期点検、トラブル対応、稼働率調査など)
集中治療室では様々な装置が使用されており、日常点検だけでなく定期点検も年間計画を立て実施しています。人工呼吸器、IABP、保育器などのメーカー主催のメンテナンス講習会にも積極的に参加し、院内で定期点検及び定期部品交換を実施しています。
⑧その他
~他職種へ勉強会の実施 メーカー開催の勉強会で自己スキルアップ!~
集中治療支援室では、生命維持管理装置の取扱い・トラブル対応・管理の他に、他職種への勉強会を多数行っています。「新装置納品時」や「久しぶりに呼吸器を使用する病棟対象」、「新人対象」など様々です。私たちが定期的に開催している勉強会の他にも、病棟からの依頼を受けての少人数制の勉強会も開催しています。
また、自分たちのスキルアップのためにメーカーによる勉強会や講習会も企画・参加しています。