総合周産期母子医療センターNICU

症例数

2021年~2023年実績

2021年 2022年 2023年
NICU年間入院数 431例 393例 382例
超低出生体重児
(1,000g未満)
26例 27例 20例
極低出生体重児
(1,000g以上1,500g未満)
30例 24例 24例
先天性心疾患
(PDAやVSD etc.の単独例は除外)
42例 46例 43例
新生児外科症例 13例 11例 16例
新生児脳神経外科症例 3例 1例 5例

先天性心疾患は、左心低形成症候群(HLHS)のような重症心疾患の児の受け入れも多く、兵庫県西部地域、広島県東部地域からも搬送入院されます。新生児外科疾患・脳外科疾患は、ともに新生児期に手術を行い、術前後の管理をNICU内で行っています。これら心臓、外科、脳外科疾患は近年胎児診断されることが多く、産科、外科系医師との相互連携により児の娩出、治療方針を決定しています。また、当院に遺伝診療部が設立されています。先天性奇形症候群や染色体異常症の疑いのあるお子さんの出生もしくは胎児診断にあたっては、遺伝専門医の診察・カウンセリングを受けていただきます。

治療・技術

人工呼吸管理症例数は国内有数です。重度の胎便吸引症候群、新生児遷延性肺高血圧症、横隔膜ヘルニア等の重症例に対しては一酸化窒素(NO)吸入療法と「肺に優しい人工呼吸療法」を心がけており、以前ほど侵襲的な治療介入の機会は減っています。しかしながら、現在でも体外式膜型人工肺(ECMO)は、重症呼吸不全、心筋炎、心筋症等に対する最終手段として活躍しております。持続血液濾過透析(CHDF)、腹膜透析による腎不全の治療、重症感染時のポリミキシンB固相化カラム(PMX-DHP)によるエンドトキシン吸着、サイトカイン除去等の血液浄化法も手がけています。重症新生児仮死児に対する低体温療法も行っています。早産児の慢性肺疾患予防の為に横隔膜の動きに連動した神経調節補助換気(NAVA)や非侵襲的な経鼻的NAVA(NIV-NAVA)を積極的に活用しています。

2021年~2023年実績

2021年 2022年 2023年
体外式膜型人工肺(ECMO) 0例 1例 1例

持続血液濾過透析(CHDF)

0例

1例 1例
一酸化窒素吸入(iNO) 8例 10例 6例
低体温療法 4例 1例 1例
気管挿管下人工呼吸管理例(うちNAVA使用例) 158例(19例) 149例(20例) 162例(16例)

検査・装置・技術

エコー検査

NICU内に最新エコー診断装置を2台備えています。極低出生体重児では入院後1週間は毎日、心臓と頭部と腹部のエコー検査を行い、未熟児動脈管開存症(PDA)や心疾患、脳室内出血、腎疾患などの有無や各臓器の血流評価を行い、後遺症の少ない治療を心がけています。その後も1週間に2回以上は定期的にエコー検査を行い的確な診断と治療を心がけております。

また当科の小児循環器グループ医師により産婦人科外来において「胎児エコー外来」が開設されています。県内外から多くの母胎症例が紹介受診されております。年間50~80件の胎児エコー検査が行われ、その情報を元に、出生直後から患児に対して必要な治療が開始できるように万全な準備をして分娩に臨むことができています。

人工呼吸器

最新の人工呼吸器を設備しています。強制換気だけでなく、高頻度振幅換気(HFO)、患者同調性換気(Assist/Control、S-IMV、VG、NAVA)、吸気時間を可変させるflow termination、APRVなどの最新モードを備えています。またnasal CPAPやHFNCそしてNIV-NAVAも使用し、抜管後の無呼吸予防・治療や、呼吸障害の児の症状が重症化する前の治療に努めています。

体外式膜型人工肺(ECMO)

2003年より遠心ポンプ式ECMO装置を使用していましたが、2004年からより低流量でのコントロールが可能なローラー・ポンプ式ECMO装置(特注)を導入しました。現在でもECMO治療の経験値は高く維持されております。県外からの搬送・紹介も受け入れます。

一酸化窒素(NO)吸入療法

重度の新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)や先天性心疾患の術後の肺高血圧クライシスに対する治療として威力を発揮します。必要時には24時間院内常駐している臨床工学技士スタッフと協力して早期に開始できます。

低体温療法

重症新生児仮死でお生まれになった患児に対して、全身を軽度冷却し神経学的予後の改善を図るものです。生後数時間以内に治療開始できれば予後の改善が期待できます。患児の体温を下げることに不安を覚えるかも知れませんが、当院では1998年から症例を積み重ね、ほとんど合併症を伴わない管理を行うことができるように成っております。

持続血液濾過透析・血液浄化法

先天性腎疾患、腎不全だけでなくECMOとの併用で使用されます。また劇症型A群連鎖球菌感染症、先天性の肺炎球菌敗血症例では、PMX-DHP(ポリミキシンB固相化カラム)と併用することで、救命が難しい両疾患児の救命に成功しました。今後、PMMA膜の併用などによりサイトカイン除去に威力を発揮するものと思われます。
血液浄化法の詳細はこちら

新生児呼吸機能測定装置

静肺・動肺の呼吸機能測定装置を導入し、患児の呼吸機能を的確に把握し、病態解析、診断、治療に役立てています。湿度測定器(Moiscope)も2台所有し、人工呼吸管理の精度を飛躍的に向上することができ、人工呼吸管理中の児の換気状態の安定を図ることができました。

気管支ファイバースコープ

φ1.8mm、φ2.3mmの細径気管支ファイバーを複数所有しており、呼吸管理を安全に行いながら患児の気道を観察することができます。気道の出血や肉芽に対しては気管支ファイバー下の薬物治療も行っています。気道外来を2014年8月から開設しました。喉頭軟化症等の気道病変の患児に対して入院中もそして在宅でもCPAPによる治療・管理を行っています。気管支ファイバー検査は年間で延べ180~200例に成り、そのうち約3分の1がNICU内の慢性的な呼吸障害の患児に対して必要時に行われています。

心臓カテーテル検査

新生児の心臓カテーテル検査やカテーテル治療も積極的に行っています。早期に手術が必要な症例は岡山大学心臓外科に搬送し手術していただくとともに、同大学から心疾患術後の児の受け入れも行っています。

環境・その他

母乳栄養の促進

NICU入院のお子さんには、できるだけお母さんの母乳だけがあげられるように、入院時からその旨を説明し配慮しています。

ご両親の面会

当院の設定した面会時間はありますが、当NICUではできる限りお子さんに面会できるように24時間面会を行っています。

ファミリールーム

退院前の親子にかかわりを深めるために、ご家族でゆっくり過ごせるお部屋を備えています。また長期の入院の場合、ファミリールームを利用してのご兄弟、祖父母の方々の面会を行っています。1か月以上NICUに入院し、近々の退院のないお子さんのご兄弟・祖父母の方が対象となります。感染症の持ち込みを防ぐために、ご兄弟の場合に問診と診察が必要です。

カンガルーケア

母(父)児分離をできるだけ少なくし、健全なる親子関係を構築するために全入院児を対象として積極的にカンガルーケアを実施しています。

Terminal care(ターミナル・ケア)

上記のファミリールームを患者さんとご家族、親族の方々と最後のお時間をゆっくり過ごしていただける部屋として使っています。そのための人工呼吸器のための配管、配線も整備しています。

リハビリテーション

小児専属の作業療法士、理学療法士により、保育器内から積極的にリハビリテーションを行っています。退院後もハイリスクの児については、理学療法士、作業療法士によるリハビリ外来で継続フォローを行っています。また呼吸理学療法により無気肺の消失にも成果を上げています。

臨床心理士

当院の臨床心理士によりNICU入院中のご両親、特にお母さんの悩みなどについてカウンセリングを行っておりましたが、2005年4月よりNICU内に専従の臨床心理士を配置し、NICU内をラウンドしてカウンセリングを行っています(2008年11月より小児科・NICU常勤3名に増員)。

児の退院後も、臨床心理士によるサポートを得られます。また、児のフォローアップにおける発達検査、心理検査も行います。これからのNICUにおいては、ご両親、特にお母さんの心理面でのサポートは不可欠と思っています。

臨床工学技士

当院NICUは最先端の高度先進医療を行っています。数々の新しい医療器械や最新の人工呼吸器の使用に際しての専門的な知識が必要です。また器械のメンテナンスにも専門性が要求されます。このためにNICUに臨床工学技士を配置し、これら最新医療器械の稼働時のサポート、メンテナンスを行っています。

特に、体外式膜型人工肺、持続血液濾過透析などの最新医療機器使用時には不可欠なスタッフであり、大変頼りになる存在です。また疾患の重症化により人工呼吸器を付けたまま退院されるお子さんも増えています。退院後の在宅人工呼吸器のサポートも行っています。

NICU入院支援コーディネーター

2010年10月より、医療社会福祉士を1名、NICU専従といたしました。NICU入院児の福祉全般に関する相談、助言、地域医療機関、行政との連携に関して援助しています。

NICU 保育士

NICU・GCUに長期入院となったお子さんの健やかな発育のために、保育士が常勤しています。