循環器内科
当科の特色
1. 我々の目標
現代の基幹病院の目的は世界標準あるいはそれを超える最良質の医療を提供することでしょう。そもそも医療は極めて強い地域性を持っています。例えば遠方の都市に素晴らしい病院があったとしても地理的条件のために誰もがその病院で診療を受けることができるとは限りませんし、救急疾患に関しては近隣の病院にかかるしかありません。最良質の医療を倉敷という地域で実現すること、すなわち「最良質の地域医療」が30年来の我々の目標でありましたし、これからも変わることはありません。
2. 全人医療と地域チーム医療
具体的には最良質の医療とは疾患急性期あるいは増悪時における最先端医療技術を用いた効率的・低侵襲的治療と日常の継続的総合的管理とがバランスよく行われる全人医療と考えられます。全人医療の実現のためにはかかりつけ医の先生方と急性期基幹病院とがチームを組んでそれぞれの役割を分担しつつ1人の患者さんを支えることが不可欠です。我々はこれを地域チーム医療と呼んできましたが、病診連携・病病連携といわれる診療形態が地域チーム医療の基盤となっています。
3. 地域チーム医療を支えるツール
【西部循環器プライマリーケアの集い】
https://www.kchnet.or.jp/hdc/cardiovascular/about/primary.html
【モービルCCU=ドクターカー】
https://www.kchnet.or.jp/hdc/cardiovascular/about/mobile.html
4. インフラ
心臓病センター
2005年7月、倉敷中央病院心臓病センターが落成開設いたしました。
心臓病センターのコンセプトは、これからの心血管系疾患の治療は待期的・緊急を問わず、心臓カテーテル検査室でのインターベンション治療が主になることに主眼をおいています。モービルCCUの帰還場所は心臓病センター1階外来・検査室に隣接配置し、専用エレベーターで地階の心臓カテーテル室と直結しています。治療がすめば同じ専用エレベーターで2階のCCUに直結しています。そして外科的治療は2階の手術室で行われ、隣接の心臓血管外科専用のCCU-Sでの治療に引き継がれます。すぐ上階の9棟3階と9棟4階が一般病棟として診断・治療を支えています。
科内専門分野の拡充
冠動脈インターベンション治療を中心とする虚血性心疾患の専門家が主流を占めていますが、不整脈・電気生理部門の専門家も現在、4名となり一専門分野を形成するに足る陣容となり、カテーテルアブレーション、CRTなどの症例数も飛躍的に増加しています。
CCU管理においても2005年から、1名の専門家を配し、各主治医とともに、診療を行っています。
心エコー、冠動脈CT、心臓核医学的検査などの画像診断においても、専門家2名を中心に、レベルの高い診療を行っています。
臨床研究
2006年5月から倉敷中央病院臨床研究センターが立ち上がり、心臓病センターとしても多くの臨床研究が施行しやすくなり、地域医療ひいては患者さんへのフィードバックもよりスムースに行えるようになりました。2014年4月、公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構の関連組織、「臨床研究支援センター」として独立しました。
5. 将来構想
プロフェショナリズムの推進とコーディネーション
理想とする医療を目指して努力をしてはおりますが、多くの卑近な問題を抱えながら懸命に頑張っているというのが実際の姿であろうかと思います。地域医療のなかで、かかりつけの先生方、他院・当院の専門科の先生方と共に、患者さんへの役割を全うすべく頑張る所存ですので、よろしくお願いいたします。
6. 対象疾患と診療圏
対象疾患
循環器疾患すべて:狭心症、心筋梗塞(急性期、慢性期を問わず)などの虚血性心疾患、不整脈、心不全、弁膜症、成人の先天性心疾患、心筋疾患、心膜疾患、高血圧症、高血圧性心疾患、大動脈解離、大動脈瘤などの大動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、腎血管性高血圧等の末梢動脈疾患、肺塞栓、下肢深部静脈血栓症等、などほとんどの心血管系の疾患を診療対象にしています。
診療圏
急性心筋梗塞等の救急疾患は半径100kmくらいを考えています。モービルCCUで往復2時間位を目安にしています。急性心筋梗塞は治療開始までの時間が予後に大きな影響を与えるため、近傍に24時間体制の冠動脈再開通療法を行える施設があれば、そちらに搬送してもらった方が早期の治療を開始できるからです。慢性期あるいは安定期の場合は日本国内だけではなくアジア圏をも含めてあらゆる国、地域からの紹介を歓迎します。