外科

当科の特色

主任部長 増井 俊彦

  1. すべての外科患者さんの治療は、専門性の高い治療を臓器別チームにて責任をもって行います。
    当院は教育研修病院ですので、それぞれの臓器別チームの中には初期研修医(ジュニアレジデント)、後期研修医(シニアレジデント)、専修医、指導医がいます。主治医が病状説明、外来対応を行い、各臓器別チームで指導医とともに治療方針を決定します。患者の皆様のさまざまな問題に対して医師とともに看護師、薬剤師が協力してより良い方法を提案していきます。
  2. 腹腔鏡手術・ロボット支援手術により患者さんに優しい手術を行います。
    乳腺以外の外科で扱うすべての領域に対して腹腔鏡あるいはロボット支援手術を積極的に行っています。現在、腹部の全領域(食道、胃、大腸、肝臓、膵臓)でロボット(ダヴィンチ)を使用した手術を行っています。2024年度は全身麻酔で行った1,870例のうち1,216例(65.0%)に腹腔鏡あるいはロボット支援手術を行いました。開腹手術に比べて傷が小さく、出血量も少ないため、患者さんへメリットの大きい手術を提供しています。
  3. 全国学会などでの先端医療を積極的に取り入れ、ガイドラインに沿った標準治療を実践しています。
    治療の際には説明同意書とクリニカルパスにて、治療内容、合併症、術前後の経過について詳しく説明しています。合併症に対してはチーム全体で全力で治療を支えます。
    胃癌、大腸癌、乳癌については、岡山県で当院が初めて“地域連携パス”という名前で地域の医療機関と密接な連携を行い、地域全体で患者さんを診療しています。
  4. 当院には救命救急センターがあります。外科で何か困ったことがあった場合、救命救急センターを通じて診察を受けることができます。外科では休日夜間は当番医1名、拘束医3名を配置して、救急疾患に24時間365日対応しています。2024年度の外科緊急手術数は593例でした。

診療内容

食道がん
外科、消化器内科、放射線科、頭頸部外科、腫瘍内科と協議を行いキャンサーボードにて最適と考えられる治療方針を決定します。術前化学療法を含む手術治療・化学放射線療法ともに、これらの科で密接な連携を取り、治療を実践しています。ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)や3D内視鏡システムなど、飛び出す3D映像を用いた胸腔鏡、腹腔鏡手術などの低侵襲手術を基本として治療を行っています。

胃がん
外科、消化器内科、腫瘍内科の3科が連携して治療を行います。食道癌と同様にロボット支援手術や3D内視鏡システムを用いた腹腔鏡手術を基本とし、最新の技術により精密な手術を受けることができます。それぞれの患者さんに応じた術前化学療法、術後補助化学療法なども行っています。また地域連携パスを導入にして地域の医療機関とも密接な連携を取り、地域で患者さんを支える取り組みをしています。

手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci)による胃がん手術

大腸がん
傷が小さく術後の痛みも少ない低侵襲手術(腹腔鏡手術/ロボット支援手術)を中心に行っています。直腸癌、結腸癌ともにロボット支援手術を導入し、最新の技術でより精密な手術を受けていただくことができます。肛門に近い直腸癌でも可能な限り自己の肛門を温存する治療を提案させていただきます。また、病状によっては術前に化学療法や放射線治療を行って治療成績の改善に努めています。

手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci)による大腸(結腸、直腸)がん手術

肝臓がん
傷が小さく出血量が少ない精緻な低侵襲手術(腹腔鏡手術/ロボット支援手術)を中心に行い、低侵襲手術の手術件数は全国トップクラスです。肝臓がんに対しては消化器内科とカンファレンスを行い、適切な症例に肝切除を行っています。大腸がん肝転移は化学療法を交えて積極的な肝切除を行い、根治を目指しています。

膵臓がん、胆管がん
膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除では、傷が小さく出血量が少ない精緻な低侵襲手術(腹腔鏡手術/ロボット支援手術)を積極的に行っています。病気の状態に応じて手術、抗癌剤、放射線などを組み合わせ、積極的に膵頭十二指腸切除、膵全摘、膵体尾部切除による根治を目指しています。症例数が多いことを反映してチームでしっかり合併症管理の対応ができており、安全な手術に努めています。

乳がん
2003年の乳腺専門外来開設以来、患者さんの意向を踏まえて、可能な限り乳房を温存する手術治療を行っています。積極的に術前後の化学療法、ホルモン療法、放射線療法を組み合わせ、地域の医療機関と連携して、長期のフォローアップを行っています。

虫垂炎、胆のう炎
岡山県内でも有数の手術症例となっています。手術、薬物療法、待機的手術など適切にチームで適応を検討し、患者さんと相談して治療方針を立てています。ほとんどの手術を傷が小さく出血量が少ない腹腔鏡下手術で行っています。

小児外科領域
鼠径ヘルニアや虫垂炎など症例の多い小児外科疾患から新生児外科疾患、小児泌尿器、小児婦人科疾患など、子どもにおける外科疾患に幅広く対応しています。小児科NICU(未熟児新生児治療室)などとも連携して診療にあたっています。詳しくはこちらをご覧ください。
日帰り手術、術後当日短期入院

手術後の治療
腫瘍内科緩和ケア科と連携しながら、外科として化学療法や緩和ケアに積極的に関与しています。緩和ケアを要する患者さんに対しては、患者さん本人、家族の納得のいく医療をチームとして提供しています。また当院の緩和ケア病棟への転棟も可能です。

外科救急疾患
外科主治医、外科指導医、救命救急センター外科指導医との間で密接に連携しながら、速やかに治療方針を決定して手術治療にあたっています。

タモキシフェン投与中の肝障害に関する実態調査