外科

当科の特色

主任部長 河本 和幸

  1. すべての外科患者の皆様の治療は外科全体がチームとして責任をもって行っています。当院は教育研修病院ですので、チームの中には初期研修医(ジュニアレジデント)、後期研修医(シニアレジデント)、専修医、指導医がいます。病状説明、外来対応は主治医が行いますが、治療方針の決定は主治医、指導医の話し合いのもと術前カンファアンスを通して決定されます。患者の皆様のその他の諸問題に対しては医師ばかりでなく、看護師、薬剤師などを含めたチーム医療の実践のなかで解決を図っています。
  2. 治療の実施に際しては説明同意書とクリニカルパスを使用し、治療内容、合併症、術前後の経過について説明させていただきます。各種学会などから発行されている標準治療を実践しています。合併症が発症したときは全力で回復に努めています。胃癌、大腸癌、乳癌については地域の医療機関と密接な連携をとって、地域内で患者さんを支えていく体制を採っています(地域連携パスは岡山県で当院が最初に施行し、現在はがん診療連携拠点病院に広がっています)。
  3. 乳腺以外の外科で扱うほぼすべての疾患に対して腹腔鏡下手術を導入しています。2021年度は全身麻酔で行った2,026例のうち1,311例(64.7%)に腹腔鏡下手術を行っています。また2018年からは胃・大腸手術でロボット(ダヴィンチ)を使用した手術も行っています。
  4. 当院は救命救急センターがあります。外科でも休日夜間は当番医1名、拘束医3名を配置して、救急疾患に24時間、365日対応しています。2021年度の外科緊急手術数は763例でした。

診療内容

食道癌の治療方針はcancer boardにて外科、消化器内科、放射線科、頭頸部外科、腫瘍内科と協議を行い最適と考えられる治療方針を決定します。術前化学療法を含む手術治療・化学放射線療法ともに、これらの科で密接な連携を取り、治療を実践していきます。ロボット支援下手術(ダヴィンチ手術)や3D内視鏡システムなど、飛び出す3D映像を用いた胸腔鏡、腹腔鏡手術などの低侵襲手術を基本術式と位置付け、治療を行っています。

胃癌は外科、消化器内科、腫瘍内科の3科が連携して治療を行います。食道癌と同様にロボット手術や3D内視鏡システムを用いた腹腔鏡手術を基本術式と位置づけ、最新の技術により精密な手術を受けていただくことができます。それぞれの患者さんに応じた術前化学療法、術後補助化学療法なども行っています。また地域連携パスを導入にして地域の医療機関とも密接な連携を取り、地域で患者さんを支える取り組みをしています。

大腸癌の手術は、傷が小さく術後の痛みも少ない低侵襲手術(腹腔鏡手術/ロボット手術)を中心に行っております。直腸癌、結腸癌ともにロボット手術を導入し、最新の技術でより精密な手術を受けていただくことができます。肛門に近い直腸癌でも可能な限り自己の肛門を温存する治療を提案させていただきます。また、病状によっては術前に化学療法や放射線治療を行いより強力に治療を行い治療成績の改善に務めております。

肝臓癌は消化器内科と協力して集学的治療の一環としての肝切除を行っています。転移性肝癌(大腸癌肝転移など)についても化学療法を交えての積極的な肝切除に努めています。低侵襲手術である腹腔鏡下肝切除術を積極的に導入しており、全国トップクラスの手術件数を行っています。出血量が少なく入院期間が短いなど、良好な成績が得られております。

膵臓癌は各々の患者さんの状態に応じて手術、抗癌剤、放射線などの集学的治療を行っております。切除可能な症例には積極的に膵頭十二指腸切除、膵全摘、膵体尾部切除を行っております。膵臓癌やその他の腫瘍に対して、低侵襲手術である腹腔鏡下膵切除術(膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除)を積極的に導入しており、出血量が少なく入院期間が短いなど、良好な成績が得られております。

乳癌は2003年の乳腺専門外来開設以来、患者さんの意向を踏まえ、可能な限り乳房を温存する手術治療に努めています。術前後の化学療法、ホルモン療法、放射線療法なども行っています。

虫垂炎はDPC導入病院の統計では全国1番の登録数があります。手術、薬物療法、待機的手術など適応を見ながら治療方針を立てています。腹腔鏡下手術を積極的に行っており、整容性に優れた単孔式腹腔鏡下手術も導入しております。

小児外科領域は鼠径ヘルニアや虫垂炎など症例の多い小児外科疾患から新生児外科疾患、小児泌尿器、小児婦人科疾患などこどもにおける外科疾患に幅広く対応しています。小児科NICU(未熟児新生児治療室)などとも連携し診療にあたっています。詳しくはこちらをご覧ください。
日帰り手術、術後当日短期入院

外来、入院を問わず化学療法緩和ケアなども外科として積極的に関与しています。緩和ケアを要する患者さんに対しては、患者さん本人、家族の納得のいく医療をチームとして提供しています。また当院の緩和病棟への転棟も可能です。

外科救急疾患に関しては当科主治医、救命救急センター外科指導医、当科指導医との間で密接な関係を保ち速やかに治療方針を決定して、手術さらに以後の治療(救急ICUも含め)にあたっています。

AYA世代乳がんの診断契機・診療内容に関する患者向けアンケート調査