呼吸器外科

当科の概要

当呼吸器外科は、1982年に開設され、当初は「呼吸器科」として内科的疾患も含む呼吸器疾患全般に対しての診療を行っていましたが、現在は下記のような基本原則の下に呼吸器外科疾患に対して積極的に取り組んでいます。今後もこの原則に則り、他科との連携のもとに、高いレベルの医療を実践していきたいと考えています。

2026年2月から主任部長として京都大学より豊洋次郎が着任致しました。今まで、肺移植を含めた拡大手術、精密縮小手術に関して学んでまいりましたので、倉敷中央病院にて患者さんに最良の治療を提供できるように、地域医療の中核を担う呼吸器外科としての責務を果たしてまいりたいと存じます。

近年、肺癌治療は大きな転換期を迎えています。とくに小型肺癌に対しては、JCOG0802試験により区域切除の妥当性が示され、区域切除が標準的治療として位置づけられる時代となりました。根治性を担保しつつ肺機能をいかに温存するかが、これまで以上に重要となっています。一方で縮小手術を安全かつ再現性高く行うためには、腫瘍の正確な位置同定と十分な切除マージンの確保が不可欠です。私がこれまで取り組んできたRFIDマイクロチップを用いた腫瘍局在同定技術は、深部に存在する小型肺病変に対しても、術中の触知に依存することなく、腫瘍の三次元的位置関係を高精度に把握することを可能といたしました。本技術により、従来は困難であった病変に対しても、十分な切除マージンを確保しつつ、区域切除や部分切除を「肺実質の最大限温存を可能とする精密な縮小手術」として安全かつ再現性高く実現することができます。スリガラス陰影を呈する早期肺癌では経過観察が第一選択になることも多いですが、治療方針にお悩みの患者さんがおられましたら是非ご来院いただけましたら幸いです。

さらに、分子標的薬や、免疫チェックポイント阻害薬を含む薬物療法の発展により、肺癌治療は集学的治療の時代へと移行しました。導入療法や周術期免疫療法が一般化する中で、外科治療は単独で完結する治療ではなく、全身治療と連動する治療戦略の一要素として位置づけられています。そのような時代において外科医に求められるのは、外科的介入の最適なタイミングを的確に見極める判断力であると考えております。患者さんにとって最適な治療を提供するため、呼吸器内科、放射線治療科をはじめとする多職種と緊密に連携し、診療科の垣根を越えたチーム医療を大切にしていきたいと考えています。

基本原則

  1. 本院の理念および基本方針に基づいて診療を実践し、医療の質を高く保ちます。
  2. 患者の健康と安全を守ることをすべてに優先させ、その際、患者の人格を尊重し、個人の秘密を守ります。
  3. 医師、看護師、薬剤師など医療にかかわるスタッフ全員が、患者の権利を尊重し、安全かつ良質な医療を提供するために、協力して患者の診療にあたります。
  4. 患者の臨床的問題が複数の診療科にまたがる場合、必要に応じて他科紹介し、問題解決にあたります。
  5. 全てのスタッフは呼吸器外科のプロとして資質向上に研鑽し、習得した能力を社会に還元します。

診療留意点

  • 患者さんの便宜を図り、外来予約検査は通院日数を最小限にするよう計画します。
  • 悪性腫瘍の疑われる患者さんの診療にあたっては、治療(特に手術)が早期に開始できるように、検査・診断・入院がスムーズに運ぶべく配慮し、患者さんにとって最大限のメリットが享受できるよう行います。
  • 病状説明は可能な限り時間をかけ、わかりやすい言葉で説明し、十分理解され納得していただいた上で、最終的に患者さんの意思で治療方針を選択していただきます。
  • ご紹介していただいた患者さんに関しては紹介元へ迅速かつ詳細にご報告いたします。

診療圏

主に岡山県西部、すなわち倉敷市を中心に北は新見市、西は笠岡市、井原市など、さらに広島県東部、香川県・愛媛県の一部にも及んでいます。