産婦人科

婦人科

診療内容

悪性腫瘍の診療について

岡山県の地域がん診療拠点病院および、日本婦人科腫瘍学会指定修練施設Aに指定されており、悪性腫瘍に対して豊富な診療経験があります。常に最新の情報に基づいて、他科と連携してハイレベルな治療を提供いたします。当院は日本産科婦人科学会により、子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術を行うことのできる施設に認定されています。また、子宮体がんに対する腹腔鏡およびロボット支援手術の施設にも認定されています。

日本産婦人科腫瘍専門医と内視鏡技術認定医を擁し、安全で根治性の高い手術を実施します。

子宮頸癌に関しては、初期段階で発見されると予後は良好で、子宮を温存した治療も可能ですが、我が国では子宮頸癌検診の受診率はまだ十分とはいえず、時に進行した段階で発見されることもあります。ある程度進行した場合でも、広汎子宮全摘出術や同時化学放射線療法により、根治を目指して治療しています。広汎子宮全摘出術を行う場合には、根治性を損なわないように注意した上で神経温存術式を行っており、大半の患者で排尿機能は良好に保たれています。2019年より腹腔鏡下広汎子宮全摘出術※1 も一定の条件の下で導入しています。

子宮体癌は近年生活の欧米化に伴い、明らかに増加しています。若年発症で、一定の条件を満たしている場合には、ホルモン療法により妊孕性温存を図る治療も行っています。やや進行の見られる場合にも、腎静脈レベルまでの傍大動脈リンパ節郭清や術後の化学療法も含めた治療を行います。また、腹腔鏡およびロボット支援で行う子宮体癌手術および、腹腔鏡を用いた傍大動脈リンパ節郭清術※2 など侵襲の少ない手術も導入しています。(※1.2 2020年12月産婦人科高難度新規医療技術日本産科婦人科学会))

卵巣癌・卵管癌・腹膜癌はほかの癌腫に比べて、進行した状態で発見されることが多いという特徴があります。一方で、抗がん剤の効果も高いという特徴ももっており、進行した状態でも、その後の治療で根治にいたる場合もあります。手術でおなかに広がった病巣をできるだけ取り除くことが重要であるため、腹膜や腸管などの合併切除を要することがしばしばあります。治療にあたって、腫瘍内科放射線診断科放射線治療科遺伝診療部、内科、外科泌尿器科等のオンコロジーセンターと協力し手術、化学療法、放射線治療など集学的な治療が行える環境を整えています。他科との協力体制のもと、治療成績の向上に努めています。一方で若い患者さんでは、病気の種類や進行期に応じて子宮と健側卵巣を温存することも考慮します。

化学療法に関しては、患者さんの生活を考え、通院での化学療法を主体としています。
近年、悪性腫瘍に対して分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療が急速に進歩しており、病状にあわせてそれらの治療も積極的に行っております。

子宮筋腫は非常に頻度が高い疾患ですが、発生部位や発症年齢、増大のスピードなど千差万別であり、それぞれの患者さんの状態により治療戦略をたてています。閉経間近であったり、症状があまりない場合は、ホルモン療法や経過観察も可能ですが、手術が必要な場合には、腹腔鏡、子宮鏡あるいは開腹手術での子宮筋腫核出や、子宮全摘など、患者さんの状態にあわせて治療を行っています。

良性腫瘍・婦人科疾患の診療について

疾患の状態や患者さんの状況に応じて、最善の治療を提供するよう心がけています。手術を選択する際は、低侵襲手術を積極的に行っています。

子宮筋腫は非常に頻度が高い疾患ですが、発生部位や発症年齢、増大のスピードなど千差万別であり、それぞれの患者さんの状態により治療戦略をたてています。閉経間近であったり、症状があまりない場合は、ホルモン療法や経過観察も可能ですが、手術が必要な場合には、腹腔鏡、子宮鏡あるいは開腹手術での子宮筋腫核出や、子宮全摘など、患者さんの状態にあわせて治療を行っています。

引用元:World of Urology(https://www.worldofurology.in/sacrocolpopexy)

骨盤臓器脱は性器脱とも呼ばれ、中高年女性の快適な暮らしを妨げる病気です。加齢や出産により骨盤の底を支える筋肉や靱帯の緩みが原因といわれ、薬では治せません。患者さんの病状にあわせてペッサリー療法または手術を提案いたします。手術には従来から行われている腟式子宮全摘、前後腟壁縫縮術のほか、近年では腹腔鏡またはロボット支援で行う仙骨腟固定術(メッシュによる子宮吊り上げ手術)が広まっています。当院でも適応のある患者さんにはこの仙骨腟固定術をご提案し、手術を受けていただくことができます。

良性の卵巣腫瘍や子宮内膜症については腹腔鏡を用いた手術を行っています。また、子宮内膜症については低用量ピルや黄体ホルモン剤が奏功することが多く、積極的に利用しています。

多嚢胞性卵巣症候群、体重減少に関連する無月経、高プロラクチン血症、月経前症候群などをはじめとする若年婦人の月経異常症例、ホルモン異常症例に対する治療は、長期間の対応が必要となります。また、更年期障害をはじめとして、高齢婦人の増加に伴い、骨塩量測定を行いながらのホルモン補充療法(HRT)など、女性の一生を通じての健康管理も大きな課題となっています。
なお、婦人科における子宮がん検診は隣接する予防医療プラザで行っています。オプションでヒト・パピローマウィルス(HPV)検査もオプションで可能です。こちらのホームページをご参照ください。

低侵襲手術について

引用元:Applied Medical WEBサイト(https://www.appliedmedical.com/Products/Gelpoint/V-Path)

疼痛の軽減、入院期間や自宅療養期間の短縮が実現できる低侵襲手術が望ましいことは、言うまでもありません。腹腔鏡下手術、ロボット支援手術、腟式手術を行い、できる限り患者さんへの侵襲が少ない手術をご提案します。また、経腟的な腹腔鏡下手術(vNOTEs)を導入しています。これは、おなかに傷をつけず、腟を切開してそこから腹腔鏡のカメラや鉗子を挿入し、摘出組織を腟から回収する新しい手術です。おなかに傷がつかず、これまでの腹腔鏡手術よりもさらに痛みが軽減でき、より早く社会復帰できる可能性があります。日本産科婦人科内視鏡学会 認定研修施設に認定されており、技術認定医指導のもと安全に手術を行います。

 

臨床研究に関する情報公開
(子宮肉腫予後予測における治療前炎症性バイオマーカーの有用性に関する研究)