麻酔科
チームで支える麻酔科医療
当院では、周術期管理チーム(PMT)を中心に、術前から術後まで切れ目のない管理体制を構築しています。看護師、薬剤師、臨床工学技士、管理栄養士、医師事務作業補助者など多職種が連携し、術前評価、麻酔管理支援、術後回復管理(PACU)まで一貫して支えることで、安全で質の高い周術期医療を実現しています。

周術期管理チーム(Perioperative Management Team: PMT)
高齢化社会を反映し、65歳以上の患者さんが約半数を占めています。心不全、虚血性心疾患、COPD、脳梗塞、腎不全、悪性疾患などの併存症をもつ患者さんの麻酔は特に難しく、高度の技術と幅広い知識が要求されます。
当院では、2011年の冬に周術期管理チーム(Perioperative Management Teamを略して"PMT"と呼んでいます)を立ち上げました。スタッフは、麻酔科医、手術室看護師(認定看護師を含む)、外来および入退院支援室看護師、薬剤師、歯科(歯科医、歯科衛生士)、管理栄養士、事務(手術室、外来、病棟)、医師診療支援課など、多くの職種から構成されています。
PMTの主な役割は、
- 病歴、既往歴のチェック
- 術前検査データと画像チェック
- 口腔衛生、関節可動域などの身体状況のチェック
- 手術オリエンテーション、休薬指導、禁煙指導、疼痛コントロールの指導
- 麻酔前の実際の診察と詳細な麻酔前評価の作成
- これらの情報を手術に関わるスタッフへ周知
などです。多用な患者さんが抱える個別的な問題を見落とすことなく、可能な限り安全な手術が行えるようにすること、服薬チェックができていなかったための手術延期を発生させないこと、患者さんの不安を取り除くことなどがPMTの目的です。
当院PMT外来では医師特に麻酔科医の負担軽減のため、一般的な全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、神経ブロックなどの患者への説明はドクターエイドが行っています。また、可能な限り外来での説明の理解を深めるために手術麻酔を受ける患者さんとその家族はあらかじめ麻酔の説明動画を自宅で閲覧できるように工夫しています。
術前外来

麻酔に関する基本的な説明の代行、診療記録の入力、同意書の準備、診察時の陪席入力、他科受診の予約調整など、診療補助を担当します。術前に必要な説明や事務作業の多くを担うことで、診察時に麻酔科医師が患者への個別対応や最終判断に集中できる体制を整えています。
多職種によって収集・整理された情報をもとに、最終的な術前評価を行い、麻酔計画を決定します。必要に応じて追加検査や専門診療科への紹介を判断し、安全な手術実施に向けた全体のリスクコントロールを担います。すでに情報が整理された状態で診察に臨めるため、限られた診察時間の中でも質の高い判断が可能な診療環境につながっています。多職種による麻酔業務支援
特定行為実践看護師による周術期管理
当院では、特定行為看護師が周術期管理チームの一員として、麻酔科医と連携しながら術前から術後までの患者管理に関わっています。術前・術後評価の一部、麻酔準備、術中の呼吸・循環管理の補助などを担当し、患者さんの状態に応じたきめ細かな管理を行っています。
また、一定の条件下では、あらかじめ定められた手順書に基づき、麻酔科医の包括的な指示のもとで術中の麻酔管理を特定行為看護師が単独で行う体制を整えています。
薬剤師による処方・調製支援
麻酔科医の負担軽減と医療安全の向上を目的に、薬剤師が手術室業務に参画しています。術中に使用する麻酔薬、筋弛緩薬、昇圧薬などの混合調製を担い、現在では全手術の約8割で薬剤師が薬剤準備を行っています。また、一定の条件下で麻酔関連薬剤のオーダ入力などの処方支援にも関与しており、約6割の症例で薬剤師が対応しています。これらの取り組みにより、手術当日の薬剤準備の効率化と医療安全の向上を図るとともに、麻酔科医が麻酔管理に専念できる環境を整えています。
臨床工学技士による麻酔補助

心臓外科手術麻酔準備

麻酔記録の代行入力
2024年1月より、周術期管理チーム認定臨床工学技士4名が麻酔科支援業務に携わっています。担当する業務は、麻酔準備における麻酔器・周辺機器の使用前点検、麻酔使用物品や投薬ルートの準備、術中に使用する薬剤の準備など多岐にわたります。心臓血管手術ではさらに、麻酔器やシリンジポンプの設定・操作、静脈路の確保、麻酔記録の代行入力といった高度な麻酔補助も行っています。また、必要に応じて緊急手術にも対応し、従来は医師2名で行っていた体制を「麻酔科医師+臨床工学技士」の2名体制へと移行するケースが増えています。
PACU(術後回復室)による周術期管理
当院では、術後早期の全身管理を強化するため、手術センター内にPACU(Post-Anesthesia Care Unit:術後回復室)6床を設置しています。患者数に応じて手術看護師を1~2名配置することで、術直後の状態変化に迅速に対応できる体制を整えています。
全身麻酔後の患者に対して、呼吸・循環・意識状態を継続的に監視し、安定した状態で一般病棟へ橋渡しを行います。PACUの導入により、従来課題としていた病棟の迎え対応による業務負担や手術室の非効率が改善され、安全性と効率性の両立を実現しています。さらに、術後の短時間(中央値約40分)の集中的な管理により、術後合併症の早期発見にも寄与しており、周術期全体の質向上につながっています。






