麻酔科

診療内容

主任部長挨拶

主任部長 佐藤 健治

2026年7月より麻酔科主任部長を拝命しました、佐藤健治と申します。当院は手術室30室を有し、年間1万件(2025年実績)を超える手術を実施しています。2026年4月からは広さ98.15㎡の手術室と22.10㎡操作室を備えたハイブリッド手術室が稼働し、高度な血管外科手術が行われています。また、ロボット支援手術は泌尿器科、呼吸器外科、外科、産婦人科、頭頸部外科で実施しており、今後も適応手術が拡がっていく予定です。麻酔関連では、ロボット麻酔システムと呼ばれるAsisTIVAを民間病院として国内で最初に導入することを計画しています。

安全で安心な手術を実現するためには、外科、麻酔科をはじめ、手術に関わる多職種の協働が欠かせません。当院では、麻酔科術前診察外来手術室内での多職種による協働、特定行為実践看護師の配置、多職種間での情報共有システムなど、先進的な取り組みが構築されています。私がこれまでに取り組んできた周術期管理センターの理想に近い環境が、当院には備わっていると感じています。

当科では、柔軟な研修プログラムや勤務形態を提供しており、福利厚生も充実しています。各種専門医の取得もサポートします。さらに大学院へ進学して博士号を目指す方には、関係大学への紹介も行っております。

充実した施設と先進的な多職種協働システムを活用し、当院での治療を希望される患者さんに対して、安全で質の高い麻酔のもと安心して手術を受けられるような医療の提供を目指します。

 

概要

倉敷中央病院は、全国でもトップクラスの手術件数を誇ります。当院の手術室は30室を有し、2つの病棟に分かれて運営されています。ハイブリッド手術室は2室設置しており、心臓手術に対応可能な手術室は、ハイブリッド手術室を含めて計4室あります。
2025年4月から2026年3月までに当院で実施された全手術件数は10,767件です(主な対象疾患・診療実績ページを参照)。このうち、麻酔科管理手術症例は3,942件であり、その内訳は以下のとおりです。

《内訳》
A.全身麻酔(吸入) 2,281
B.全身麻酔(TIVA) 731
C.全身麻酔(吸入)+硬・脊、伝麻 459
D.全身麻酔(TIVA)+硬・脊、伝麻 87
E.脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔 150
F.硬膜外麻酔 1
G.脊髄くも膜下麻酔 93
H.伝達麻酔 0
X.その他 140

《手術部位分類》
10.開頭 180
15.開胸 353
20.心臓・大血管 524
25.開胸+開腹 13

30.開腹(除:帝王切開)

1,231
35.帝王切開 203
40.頭頸部・咽喉頭 377
45.胸壁・腹壁・会陰 176
50.脊椎 334
55.四肢(含:末梢血管) 452
99.その他 99
合計 3,942

当院は日本麻酔科学会の麻酔専門医研修基幹施設となっています。
2026年4月現在、麻酔科には週5日の常勤9名(うち専攻医4名)、週3-4日の常勤12名、月1-6日勤務の非常勤医師が16名在籍しています。麻酔科専門医は26名(非常勤含む)です。また週2-3日勤務常勤歯科麻酔科医師(医科麻酔研修)が3名、他科からの麻酔科研修医師が常時1-4名おります。初期研修医も2-4名研修を常時行っています。

 

心臓手術麻酔

心臓手術麻酔

心臓手術症例も大変多くストラクチャー症例を除いた心臓大血管手術は500例を超えています。手術成績は大変安定し、一例として大動脈弁 reimplantation 手術時間が5-6時間程度で終了します。また緊急の急性大動脈解離(2025年度16症例)も弓部置換症例が多い中で安定した手術成績を収めており、血液凝固分析装置(TEG)を用いて出血凝固系をモニターしながら出血量を減らす工夫を行い手術を行っています。低侵襲心臓手術も大動脈・弁僧帽弁ともに比較的多くの症例を経験できます。心臓大血管手術としては高度の麻酔管理を要求される胸腹部手術症例数も毎年増加しています(2025年度で4例)。

術式名 2023年度 2024年度 2025年度
大動脈瘤切除術 128 100 74
胸腹部大動脈瘤 13 10 10
ステントグラフト内挿術 89 83 85
弁置換術 56 57 59
不整脈手術 47 15 5
冠動脈、大動脈バイパス移植術
(人工心肺未使用)
38 30 29
弁形成術 33 53 27
冠動脈、大動脈バイパス移植術 31 16 9
胸腔鏡下弁形成術 29 14 13
総数 552 378 311

また循環器のストラクチャー手術症例も年々増加しています。当院の特徴として、TAVI症例の80%は局所麻酔の鎮静で行われています。その中で、大動脈や頸動脈アプローチなどの全身麻酔でのTAVI症例は2025年度で18症例行われました。

術式名 2023年度 2024年度 2025年度
経カテーテル大動脈弁置換術 TAVI 108 124 142
不整脈手術(左心耳閉鎖術)WATCHMAN 85 127 130
経皮的僧帽弁クリップ術 MitraClip 65 69 64
合計 277 320 336

ペースメーカリード抜去手術、小児のAmplatzer症例、全身麻酔のカテーテルアブレーション症例の麻酔も比較的多く経験することができます。
心臓大血管手術のみならず、これらの先進的な手術症例の麻酔の研鑽を当院では幅広く積むことができます。

 

ロボット支援手術

手術症例のうち、約20-25%が緊急準緊急手術で大変多く当院の特徴となっています。
また各科が先進医療への取り組みを積極的に行っています。ロボット支援手術症例数を下記に示しますが、泌尿器科で開始となったロボット支援手術は、外科、呼吸器外科、産婦人科、頭頸部外科まで広げて実施しており、2025年度末までで累計2,891例となりました。

胸部外科すなわち呼吸器外科の肺切除術も比較的多いのが当院の特徴となっています。高齢者の胸部外科症例が多く術後は集中治療室での管理となります。間質性肺炎合併症例の麻酔管理など麻酔管理に工夫が必要な症例も多く経験することができます。

 

周術期管理チーム(Perioperative Management Team: PMT)

当院では、2011年より周術期管理チーム(Perioperative Management Team:PMT)を導入し、看護師、薬剤師、歯科医師、医師事務作業補助者、管理栄養士など多職種が連携した術前評価および周術期管理を行っています。各職種が役割を分担することで、安全性の向上と麻酔科医の負担軽減の両立を図っています。
詳細は「チームで支える麻酔科医療」ページをご覧ください。

手術を受けられる方へ

 

ペインクリニック(疼痛外来)

ペインクリニックでは、慢性疼痛を中心とした診療を行っています。疾患としては、帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、腰痛、頚椎捻挫、頚椎症性神経根症などが中心となります。これらに対して薬物治療、神経ブロックなどを行っています。現在専属の医師が診療にあたっています。ペインクリニック専門医の一人が、緩和ケア科医師と共同し、癌性疼痛に対応しています。現時点では研修医や専攻医に対して、ペインクリニックの研修は行っていません。