リハビリテーション部
小児領域
紹介
さまざまな病気や発達の遅れ等を抱えた子どもたちに、発達の援助や生活の支援を行っています。子どもを育てていくご両親へ育児の指導や治療内容をお伝えし、家庭生活場面に活かしていただいています。
新生児集中治療室(NICU)では、赤ちゃんの環境適応能力の評価や神経学的評価などを行い、環境調整や発達の評価・支援を、外来まで継続して行っています。
小児科病棟では、肺炎などの呼吸器疾患の子どもには呼吸理学療法を、心疾患術後や中枢神経障害など小児特有のさまざまな疾患の子どもには運動療法や発達支援を行っています。また、人工呼吸器管理が必要な子どもが家族と一緒に家庭で過ごせるよう、在宅への移行支援や家族支援にも積極的に携わっています。
外来では、入院中から継続して関わっている子どもに加えて、脳性まひや発達遅滞、発達神経症をもった子どもの運動機能、生活能力、遊び、コミュニケーション能力向上のための支援、家庭療育指導を行っています。
構成
理学療法室6、作業療法室3で担当
所属学会
- 日本理学療法士協会
- 岡山県理学療法士会
- 日本作業療法士協会
- 岡山県作業療法士会
- 中国四国リハビリテーション医学研究会
※2024年4月1日現在
対象疾患
入院では新生児集中治療室(NICU)、一般病棟に入院治療中の子どもが対象となります。外来では発達(運動・遊び・言葉・食事など)の遅れや偏りを持った子どもが対象となります。
特徴
入院
新生児集中治療室(NICU)
新生児期には生命維持、脳・体の発達に多くのエネルギーが使われます。環境、介入ストレスを最小限にして、適応的で安定した行動を促すためのサポートが重要になります。
早く生まれられた、そしてさまざまな病気、合併症を持った赤ちゃんに対して、それぞれが持っている能力、運動特徴、感覚や環境刺激への応答、人への関わりなどの評価を行います。
それらをもとに、ポジショニングといって、子宮内にいるような身体を安定できるような姿勢保持のサポート、環境調整として、光や音等をなるべく遮ってあげることを行います。また、哺乳練習や相互作用の促進、ハンドリングやマッサージなどの直接的な介入も行います。
医師や看護師、臨床心理士と連携してそれらを行いながら、ご両親へ赤ちゃんの特徴を、そして関わり方をお伝えします。
赤ちゃんが退院されて外来へ移行してからも継続して発達のフォロー、発達の評価を行います。
一般小児科病棟
小児科病棟にはさまざまな疾患を持った子どもたちが入院しています。
喘息や肺炎などの呼吸器疾患で入院された子どもに対しては早期より、呼吸理学療法を行います。呼吸理学療法では、楽な呼吸ができるよう呼吸運動に合わせながら呼吸を介助し、分泌物が移動しやすい姿勢をとり痰の喀出を促します。さらに、子どもの回復状態に合わせて呼吸方法の指導や呼吸筋トレーニングも実施しています。
また、脳炎後後遺症、脳血管障害などの中枢性疾患、心疾患および手術後の子どもに対しては、できる限りの機能回復や改善を目指して、病棟内やリハビリテーションセンターにて毎日治療を行います。座位、歩行を含めた移動、食事、着替え、遊び、コミュニケーションなどができるだけ楽に行えるような工夫やサポートを行います。
そして、小児がん治療で入院している子どもに対し、運動能力・体力の評価、維持・増大を目的に、個別指導、レクリエーションを取り入れ行っています。
外来
外来では、発達の遅れや運動、認知、言語、食事面の発達にさまざまな特徴をもった子どもたちが対象になります。
診断がつく前の年齢の小さな子どもから、脳性まひ、神経筋疾患、整形外科的疾患、染色体異常、発達神経症(自閉症スペクトラム、学習症、注意欠陥・多動症など)、精神発達遅滞、言語発達遅滞、構音障害、摂食嚥下障害などを持っておられるさまざまな年齢の子どもたちです。
運動能力評価、発達検査・知能検査、感覚検査、社会性検査、言語発達検査、構音検査、摂食嚥下機能評価などを通して子どもの能力を評価します。その評価に基づいて、理学療法、作業療法、言語聴覚療法を開始します。
年齢の小さな時期には、身体感覚を通して、運動や遊びの獲得を、そして親子関係の援助を行います。少しずつ年齢が大きくなってくると、運動や遊びを通して身体や空間知覚、認知の発達を、セルフケアや生活習慣の学習を、そして、集団参加に必要な対人関係や役割の理解を、言語発達や学習態度の形成を図ります。
食べることが難しい子どもには、嚥下に適した食物形態の選定や食事介助方法などの指導・助言を行います。
また、子どもの持っている特徴に合わせ、必要に応じて、装具や靴、スプリント、ポジショニングのグッズ、姿勢保持具、移動器具、おもちゃの作成、紹介などを行っています。
子どもが小さな成功体験を通して自信をつけ、それらが、学習や行動への意欲につながっていくこと、本人が楽しめていることを大切にして、ご家族が少しでも子どもの理解を深められ、ご家族にとってさまざまなご心配が軽減されることがわれわれの目指すところです。