リハビリテーション部
World Confederation for Physical Therapy (WCPT) Congress 2015 参加記
- 演題
- The effect of perceived LLD on lower limb load characteristics during early postoperative static standing in patients who underwent THA.
- 演者
- リハビリテーション部 運動器リハ室 熊代 功児
【公開日】2015.8.10
初めての国際学会への挑戦
2015年5月1日から4日までシンガポールで開催されたWorld Confederation for Physical Therapy (WCPT) Congress 2015に参加させていただきました。WCPT Congressは、世界各国から5000人以上が参加し、2000を超える演題が発表される理学療法分野における世界最大規模の学会です。今回までは4年に1回開催されていましたが、次回からは2年に1回の開催となります。
当院リハビリテーション部運動器リハ室では、脊椎・脊椎疾患や大腿骨近位部骨折、変形性関節症などの患者さんに対する術前・術後のリハビリテーションを担当しています。今回の発表は、変形性股関節症によって人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty; THA)を施行された患者さんを対象にしたものです。私は今までにもTHA患者さんを対象にした臨床研究を行い、国内の学会では発表してきましたが、今回は大学院での研究の集大成として初めての国際学会に挑戦することになりました。
準備は英語との格闘
初めての国際学会への挑戦は英語での抄録作成から挫折しそうになりました。しかしGoogle翻訳と英語に堪能な周囲の方々の助けをお借りしてなんとか完成させました。次の関門は、演題登録でした。英語のホームページと格闘し、再びGoogle翻訳の偉大な力をお借りして登録を済ませました。演題登録はしたものの、心のどこかで演題採択されなければいいのに、、、という思いもありながら、無事に演題採択のメールを受け取りました。演題採択後よりポスターの作成に取り組み、予演会を経てシンガポールへ向かいました。
いざ、世界デビュー
私の演題は、THA患者さんの自覚的な脚長差が静止立位時の下肢荷重にどのような影響を及ぼすか、という内容でした。THA後に生じた実際の脚長差が立位姿勢に及ぼす影響についてはすでに報告されていますが、自覚的な脚長差の影響に関しては報告が少なく、患者立脚型のアウトカムが重要視されている昨今において有意義な研究になったと思います。発表は設定された時間内にポスター前に立ち、参加者とディスカッションするという形式でした。開始前は、まるでマーライオンの如く嘔吐してしまうのではないかと心配なほど緊張しましたが、海外の参加者の方と英検3級の語学力とオーバーなほどのボディーランゲージをいかんなく発揮し、Google翻訳の力を借りることなく有意義なディスカッションを行うことができました。終わってみれば設定された45分間はあっという間だったように思います。
学会を終えて
初めての国際学会で大変苦労しましたが、得られたことはとても多くまた挑戦したいと思います。患者さんのためになる臨床研究を行うために自己研鑚を継続するとともに、この経験を他のスタッフにも経験してもらえるよう、リハビリテーション部内の臨床研究に対するモチベーションをあげられるよう努めたいと思います。
最後になりましたが、今回の発表に際しご指導くださいました整形外科 塩出速雄主任部長、リハビリテーション科 伊勢眞樹主任部長、協力していただいた運動器リハ室の皆様に心より感謝いたします。