放射線診断科
部門紹介
画像診断部門
画像診断部門ではCT,MRの読影診断業務を1日約200―280件行っています。とくに救急患者の読影診断は迅速な対応を心がけています。
CT,MRの検査機器が高性能になるとともに検査内容が充実し、一件あたりの画像コマ数が飛躍的に増加しています。このため読影に要する所要時間が長くなりますが、密度濃く、丁寧に一つ一つの病変を拾い上げ、多種多様な病変の情報を詳細に記載し、質の高い画像診断を提供しています。
地域連携の放射線科紹介患者の診療では、地域医療機関の依頼に適切に応えるように、質の高い画像診断情報を提供してまいります。これまで画像診断センターと一体となって進めてきた検査内容をベースに検査を行っていますが、今後は検査の質を維持向上すべく検査内容をチェックしながら、地域医療機関の皆様の期待に添えるような画像診断業務を進めてまいります。
CTではマルチディテクター・ヘリカルCTによる薄いスライス画像のルーチン化を進めて参りましたので、頸部から腹部の一連の検査では1件あたり1000-2500コマの読影が必要となります。読影に要する時間は長くなりましたが、病変の拾い上げや診断精度が向上しています。
MRではこれまで、さまざまな領域で高画質の画像を提供するよう工夫を加えてきました。中枢神経系では、通常の画像に加え、出血を検出する画像、MRアンギオや、頸動脈プラークイメージングを加え、診断に必要な多彩な情報を得られるように検査内容のプロトコール化をすすめてきました。腹部領域ではMRCP(MR膵胆管造影)を高空間分解能で行い、膵・胆管系のスクリーニングに用い、肝臓では拡散強調像、ブラックブラッドT2強調像とダイナミックMR検査の組み合わせで肝細胞癌の早期発見に注力し、前立腺では癌検出のための高精細3D-T2強調像と拡散強調像-ADCをルーチン化しました。脳血管障害や精巣捻転などの救急疾患には迅速に対応できるようMR検査体制を組み立ててきました。これらの作業は診療のレベルに直結するものです。地域医療機関の紹介患者の診療レベルも維持向上できるようにしていきたいと考えています。
診断読影作業の中心となる読影室には21セットの読影端末を常設し、2007年5月から運用されている、検査画像を病院全体のモニター端末で閲覧できるシステム(PACS:画像保管転送コンピュータシステム)を利用して読影を行っています。
画像レポートシステムにも当院独自のさまざまな機能を盛り込み、緊急所見を見つけたときには主治医に迅速に連絡できる緊急メールシステムを稼働させています。レポート内容も新聞記事のように大見出し、小見出し、記事の形で構成し、見読性を高めています。
核医学部門
核医学部門は、PET-CT・SPECT-CTの発展に伴って近年大きなbreakthroughの時代となっています。当科では4名の核医学専門医・3名のPET核医学認定医(いずれも2013年9月現在)を中心として、放射線診断専門医から研修医まで幅広い立場の医師が参加して診療を行っています。岡山県下では4施設しかない核医学専門医教育病院の一つとして、研修医の教育にも重点的に取り組んでおり、当院での研修修了後に核医学をsubspecialityとする医師が伝統的に多数輩出されている点も特徴的と言えます。
核医学画像診断としてはPET-CT 13~22件、一般RI 25~30件の検査を行っています。PET-CTを2006年に1台導入、2011年に1台増設し、主としてがんの画像診断に威力を発揮しています。一般RI検査としては2011年にSPECT-CTを2台導入し、骨シンチグラフィーなどの全身検査や脳血流検査などに威力を発揮しています。またRI内用療法として、甲状腺癌やバセドウ病などに対する放射性ヨード治療のほか、放射性ストロンチウムによる骨転移疼痛緩和治療、悪性リンパ腫に対する放射免疫療法なども、それぞれ関連診療科と協力の下で施行しています。
診断・治療いずれにおいても、放射線科医師が施行の細部まで密接に携わり、放射性薬剤の安全な利用・放射線被曝の最適化などにも配慮しつつ、患者さん一人一人に適切な診療が行われるように努めております。
画像診断部門と同様に、地域連携の放射線科紹介患者さんの診療にもPET-CTや骨シンチグラフィーを中心として積極的に取り組んでおり、地域医療機関の依頼に適切に応えるように、質の高い画像診断情報を提供してまいります。
診断・読影においては画像診断部門と同様のPACS、レポートシステムを利用していますが、核医学部門においてはPET-CT・SPECT-CTなど形態画像と核医学画像の融合画像を利用する機会が多く、これに対応したワークステーションやPACSシステムの導入および改良も継続的に行っております。
血管造影・IVR部門
肝細胞癌の塞栓術や出血による塞栓術を中心として、血管内治療を年間250例前後行っています。IVR-CTや高精度DSAの導入、マイクロカテーテルの使用により、病変部分のみを狙った加療が可能となっています。非血管系のIVRも、CTガイド下の生検やドレナージを中心として、年間80例前後行っています。穿刺用の補助具の導入により危険な構造を避けた正確な穿刺が可能となっています。緊急症例にも極力対応したいと考えていますが、現在のところ担当医師が少なくすべての要請に応えることが困難な状況です。将来的に365日24時間の対応が可能となるようマンパワーの充実に期待しているところです。