Knews No.44 Close-up

当院はこのたび、手術用顕微鏡システムの「ORBEYE(オーブアイ)」を導入しました。このORBEYEはフルハイビジョンの4倍も高精細な画像を大型55型モニターに映し出すことで緻密な手術をサポートし、術者の疲労軽減にもつながることが期待される機器です。

◆顕微鏡と聞くと、小学生の授業などで使用した目でのぞき込む顕微鏡をイメージされるのではないでしょうか。細やかな神経や血管などを処置する手術でも、拡大して立体的に観察するための手術用顕微鏡が使われています。
 従来の顕微鏡手術は右の写真のように、接眼レンズに両眼を固定するため、“ 顕微鏡に縛られた”状態で手術を行うことがあり、病変の部位によっては顕微鏡と術者の首を大きく傾け、それでも難しい場合には患者さんを複雑な体位に設定して手術をする必要がありました。

◆当院が導入したORBEYEは、これまでにない新しい「顕微鏡システム」で顕微鏡をのぞく代わりに、カメラで撮影した映像を3Dモニターで見ながら手術をします。これは “head upsurgery”という新しい手術スタイルで、内視鏡や腹腔鏡で一般的となったモニターを見て行う手術を顕微鏡手術に応用したものです。

自由度の高さ

◆ORBEYEはカメラを自由に動かして治療する場所の拡大画像を確認できるため、術者・患者さんとも無理のない体位での手術が可能です。

チーム医療

◆従来の顕微鏡手術では立体的に観察できるのがメインの術者一人だけでしたが、ORBEYEでは手術室にいる全員が偏光レンズをかけることで4K 3Dの高精細で立体的な画像を共有できます。チーム全員で同じ映像を共有することで、複数の術者による同時執刀が可能となり、より複雑な作業が効率よくできます。

他の手術への応用

◆本体がコンパクトなため、開頭術(顕微鏡)と経鼻手術(内視鏡)の同時手術などにも応用できます。

より低侵襲な手術

◆特殊光を用いた術中血管撮影、蛍光色素による悪性腫瘍の可視化など、術者をサポートする先進的なデジタル技術が搭載され、これまで以上に安全で、より低侵襲な手術が期待できます。このORBEYEは脳神経外科領域だけではなく、顕微鏡手術を行う耳鼻咽喉科、整形外科、形成外科領域など、当院でもそれぞれの科で順次導入しています。当院ではいち早くhead upsurgeryを導入し、従来の顕微鏡手術以上に安全で低侵襲な手術を目指し、日々手術成績の向上に努めています。