Knews No.47 Close-up

慢性腎臓病(CKD)をご存知ですか?

腎臓は腰の上の辺りのお腹の後ろ側に、ソラマメのような形をした、身体の左右対象にひとつずつある臓器です。腎臓は血液をろ過し老廃物として尿を作り、体外に出す働きをしています。
腎臓を悪くする病気は、慢性腎炎や糖尿病、嚢胞腎などさまざまですが、慢性腎臓病は1つの病名ではなく、血液から老廃物をろ過する力が弱くなり人工透析に近づくことを言います。
血液から尿を作るときに糸球体(フィルター)を通ります。そのフィルターがコラーゲンで固くなり、目詰まりすることで尿が作れなくなることで腎臓の状態が悪くなります。

腎臓の働きが悪くなったら…

身体に老廃物が溜まると倦怠感が生じます。塩分やカリウム、水分が溜まると高血圧やむくみが起こり、尿酸が溜まると痛風になります。また腎性貧血といって、階段を登るなど身体を動かすと酸欠のような貧血に見舞われます。骨の健康を保つビタミンDが減ることで骨が弱くなります。

腎臓の検査

尿検査

尿蛋白
糸球体の異常を示します。尿蛋白が多いと糸球体の負担も強く、腎機能が早く低下します。尿蛋白が特に多い腎臓病をネフローゼ症候群と言い、血液中の水分が皮下組織にたまってひどいむくみを起こします。

尿潜血
慢性腎炎など内科の病気で糸球体から赤血球が漏れている場合と、膀胱がんなど泌尿器科の病気により尿に出血している場合があります。尿潜血が強くても腎機能にあまり影響がない場合もあります。

血液検査

クレアチン
骨格筋から出る老廃物です。食事や飲水の影響を受けにくいので、腎機能を反映する血液検査として最も多く利用されています。

尿素窒素
クレアチンと同じく腎不全で溜まる老廃物ですが、食事や飲水の影響を受けやすく安定しません。

カリウム
不整脈や突然の心停止を起こす原因になり、数値が高い場合は危険です。

治療方法

腎臓の働きを肩代わりする治療法を腎代替療法といいます。
血液透析は、自身の腎臓の代わりに人工腎臓のフィルターを介し、血液から老廃物・余分な水分を取りのぞく治療法です。腹膜透析は自身のお腹の中のスペース(腹腔)を包んでいる膜(腹膜)にある毛細血管から老廃物・余分な水分を腹腔に注入した透析液の中に移行させて体の外に出す治療法です。そのほか腎移植があります。

慢性腎臓病で大事なこと

「慢性腎臓病」と幅広い名前にしたのは、患者さん自身が自分の腎臓について考える意識を高めてほしいからです。「あっと気が付いたら人工透析!」 にならないように、腎臓が尿を出して血液をきれいにする力がどれくらい残っているかを正しく知ることが大切です。慢性腎臓病で時間をかけて悪くなった腎臓は元に戻せません。検診などで腎臓の働きを確認し、異変があれば、がんと同じく早期発見・早期治療が重要です。
慢性腎臓病による透析療法は一度開始すると、永続的に続きます。日常生活の中で腎臓を大切にする気持ちを持ち続けましょう。