患者さん向け広報誌「Kニュース」No.2

インタビュー

21世紀の病院を考える

理事長 大原 謙一郎

理事長 大原 謙一郎

倉敷中央病院の成り立ちを教えてください。

大原 当院の創立者・大原孫三郎は、社会福祉の先達である石井十次の影響もあり、世の中から不幸な人々をなくしたいと、いろいろな事業を創設しました。

当院も、同じ心でつくられた病院で、その精神は、平等で治療本位の病院、完全な診療とていねいなやさしい看護で最新の医療を行う病院という意味の院是として引き継がれています。

病院のたたずまいの中にもその精神は現れて、赤い屋根、大きな窓からは明るい日差しとさわやかな風が入り、消毒薬のにおいなど感じられない、親しみやすい居心地の良い病院でした。その象徴が温室であり、その中の噴水だと思います。

最近でこそ患者さん本位、アメニティの重要性が声高に言われていますが、当院では創立当時から、そうしたものに配慮して医療が行われていました。

創立者の精神が今日まで受け継がれてきたのは、なぜでしょうか。

大原 当院をこれまで支えてこられた、多くの方々の努力の結果だと思います。創立者の精神と、それに共鳴して今日まで脈々と歴史を刻んできた人々、当院の兄弟である大原美術館や労働科学研究所、大原社会問題研究所などの機関、そして患者さんや地域の方々からも、あたたかいご支援をいただいていることを実感しています。

どういうところが支持されているのでしょうか。

大原 当院は、患者さんやご家族の皆さんが病と闘われるのを助け、自ら健康を取り戻されるのをお手伝いするために、患者さんと心を合わせて努力することを使命としています。そのため、何時の時代にも、世界のどこに出しても恥かしくない、最新最高の医療を提供できるように、プロの医療者を目指して研鑽を積んできました。

それと同時に、あたたかい雰囲気をもった、くつろいで医療を受けていただける病院にするために、環境整備はもちろん、患者さんへの応対に配慮してきました。

こうした努力が地域の皆さんに認められ、受け入れられているものと思います。これに甘んじることなく、厳しいまなざしにも耐えられる、質のよいサービスを提供していかなければならないと考えています。

そのためには、どのようなことをされていますか。

大原 これからの病院は、患者さんが健康を回復するお手伝いをするだけではなく、健康増進のためのアドバイスや、病気の予防・早期発見などを行う必要があります。そのため当院では、総合保健管理センターで人間ドックを行い、健康指導をしています。

また、高齢化時代に対応するために倉敷中央ケアセンターを設け、在宅医療、介護支援に力を入れています。これは、急性期の治療を終え、当院を退院された後の継続医療を考えてのことです。

21世紀は情報の時代と言われますが、それに関して何かアイデアを持たれていますか。

大原 新しい外来には、病気や健康に関する本やビデオを集め、そこでご自分の病気などについて学習できる、患者さんのための情報コーナーを作ります。また、病気や健康に関する講演会やイベントを行って、病気の時はもちろん、健康を維持するためのお手伝いなど、皆さんの健康生活のために、あらゆる面でサポートする病院を目指しています。

また、外来棟の増改築工事の完了後には、病棟の建て替えも考えています。今後ますます高度化する医療に対して、病院は一層やすらぎを求められると思います。

私は大原美術館の絵を眺めながら育ってきましたし、音楽が大好きです。絵や音楽には人の心を優しく慰めてくれたり、勇気づけてくれるものがあります。それらを生かした、二十一世紀にふさわしい病棟、病院づくりができたらと思っています。

私はかねてより、21世紀は地方の時代だと発言しています。倉敷から世界に向けて発信できる倉敷中央病院になるよう、力を注ぎたいと思っています。

トピックス

コールセンターをご利用ください

0120-336177 (県内の一般、公衆電話のみ可能)
086-422-5065 (県外または携帯、PHSの方)

業務内容と利用可能時間

当日受診の受付(整形外科・皮膚科のみ) 午前8時~午前11時
当日予約の取り消し 午前8時~午前11時
当日以外の予約の変更と予約メモを持たれている方の予約受付 午前11時~午後4時30分
お薬の予約(整形外科・脳神経外科・眼科のみ) 午前8時~午前11時

※検査予約については、このページの下段をご覧ください。
※土曜日、日曜日、祝日は業務を行っていませんのでご注意ください。

「Kニュース」第1号のインタビューで院長の高三が述べていましたとおり、「予約診療の患者さんをお待たせしない」ということは、当院の第一の課題です。そのため、関係部署でいろいろと対策を図っています。

その一つとして、昨年11月にコールセンターを開設しました。次の4つの業務を行っています。

① 当日受診の受付

整形外科、皮膚科受診を希望される方で、当院に一度でも受診されたことがある方(患者コードを持たれている方)は、電話で受診予約ができます。整形外科は10時以降、皮膚科は11時以降の受診予約をお取りします。

また、この二つの科については、3か月以内に受診された方は、お薬のみの受診予約もできます。お電話は午前8時から11時の間におかけください。

② 当日予約の取り消し

予約受診の当日、ご都合が悪くなって来院できなくなった場合は、コールセンターにお電話ください。予約日の変更をいたします。お電話は、午前8時から11時の間にお願いします。

③ 当日以外の予約の変更と、予約メモを持たれている方の予約の受付

コールセンターでは、当日以外の予約の変更も行っています。受診予約の日時にご都合が悪くなった場合は早めにお電話ください。ご相談のうえ、できる限りご都合のよい日に変更します。なお、予約変更は、予約日までお薬がある場合のみです。ご了承ください。

また、当院を受診された方で、次回の予約が半年以上先の方は、受診科より予約メモをもらわれていると思います。コールセンターにお電話くだされば、予約の受付をいたします。いずれもお電話は、午前11時から午後4時30分までの間にお願いします。

④ お薬の予約

整形外科、脳神経外科、眼科を受診された方で、次回の予約が2か月以上先で、医師よりお薬の指示があった方は、電話予約して診察のうえ、お薬をもらうことができます。

前日にコールセンターにお電話いただき、診察の時間を決めて来院していただくと、お薬ができています。待ち時間が少なくてすみますので、ぜひご利用ください。お電話は、午前8時から11時の間におかけください。

なお、次の科の予約変更は、直接、各診療科にお電話ください。

産婦人科 086-422-7095
心療内科 086-422-7096
歯科 086-422-7905

 

また、検査に関する予約の変更も、次の番号にお願いします。

CT、MR、心エコー等 086-422-8192
RI 086-422-8194
腹部エコー、脳波等 086-422-8792
内視鏡 086-422-8319

健康な毎日のために

鼻とアレルギー-まもなく花粉症の季節です

耳鼻咽喉科 主任部長 八木 伸也

耳鼻咽喉科 主任部長 八木 伸也

花粉が飛び始めるころとなってまいりました(図1)。花粉症をお持ちの方々にとっては、つらい季節の始まりと思われます。

花粉症はもともと、アレルギー体質を持つ方がかかる病気です。人間の体には、自分以外のもの(異物)が体内に入ると、それを体外に出そうとする働きが生じます。体内に入り込んだ異物、特に細菌やウィルスに対しては、防御反応のすべてを動員して反応し、細菌やウィルスを食い殺し、異物を体外に出そうとして嘔吐、下痢などが起こります。これをおおまかに免疫といい、免疫物質は生涯体内で産成されますが、一方、反応が異常にあらわれる場合をアレルギー(アレルギー性鼻炎など)といいます。

花粉飛散時期 画像

図1 花粉飛散時期

体内に入り込む異物は、細菌やウィルスだけではありません。杉、ブタクサ、カモガヤ、イネなどの花粉、ハウスダスト、ダニ、犬や猫の上皮も異物となります。アレルギー性鼻炎の方がこれらの異物を吸い込み、鼻で反応が起こると、異物を体外に出そうとして水のような鼻水が出たり、くしゃみを起こします。それに伴い、鼻の粘膜が肥大し、鼻がつまるという現象も起こります。

空中に飛散する花粉の量によっても、症状の出方は変わります。杉花粉の場合、花粉の飛散は一月下旬より五月中旬まで続きますが(図2)、ピークは三月初旬から中旬です。飛散量は前年夏の最高気温に比例するといわれており、年によって異なります(図3)。

倉敷地区の花粉飛散時期 画像

図2 倉敷地区の花粉飛散時期
(小山耳鼻咽喉科医院・小山恵三先生より)

倉敷地区の花粉飛散年度変化 画像

図3 倉敷地区の花粉飛散年度変化
(小山耳鼻咽喉科医院・小山恵三先生より)

症状

花粉シーズンには、くしゃみや鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、さらには、耳がかゆかったり、のどがかゆかったりする症状が現れます。アレルギー性鼻炎の場合、花粉シーズンでなくとも、温度差の激しいとき、たとえば、夏の冷房や冬の暖房などによる体温変化によって、同じような症状が起こることがあります。

また、布団の中に入ると咳が出て困り眠れない、などの症状が出ることもあります。これらもアレルギーのしわざです。

検査

アレルギーの原因を知る検査には、血液検査で原因物質を探す方法、鼻や皮膚に原因物質をあてて反応を見る方法などがあります。これらの方法によって、たいていの場合、原因物質が判明しますが、突き止められないこともあります。

予防

原因物質が分かれば、原因物質をできる限り避けるような生活をお勧めします。たとえば杉花粉の時期には、外出から帰ったらよく服を叩いたり、着替えるなどして花粉を家の中に持ち込まない、あるいは、外出時マスクや眼鏡をかけるなどです。

原因物質がダニアレルギーの場合には、晴れた日に窓を開けて部屋を掃除する、布団の天日ぼしなどをお勧めします。

治療

免疫反応がひどいときは鼻にヒスタミン等が出てきて、アレルギー症状を引き起こします。治療としては、抗ヒスタミン剤の内服があります。点鼻薬を差す場合もあります。

その他、レーザー治療、薬品塗布、手術療法などがありますが、半年から1年で再発するようです。

より基本的な治療として、減感作療法が行われることもあります。これは、アレルギーの原因物質を少量ずつ投与して、体にその異物に抵抗力のある免疫物質を作るものです。週二回、一年間通院しなければならず、時間と根気が必要ですし、原因物質を注射しますのでショックが起こる場合もあり、一般的な治療法として定着していません。

現在アメリカでは、内服治療による減感作療法が行われています。日本でも試験的に行われていますので、二‐三年のうちには内服治療ができるようになるかもしれません。

アレルギーは現代病、文明病といわれていますが、遺伝子治療も徐々に進歩していますので、数年後には、画期的な治療法が現れるかもしれません。

QQ車 院内ニュース

QQ車は、皆さまに倉敷中央病院のできごとを運ぶ(お伝えする)コーナーです。

看護の道へ、誓い新たに戴帽式行われる

昨年10月11日、倉敷中央看護専門学校の戴帽式が行われました。これは、4月に同校に入学した学生が、半年間の基礎学習の後、看護婦の象徴であるナースキャップを戴くことで、看護の道を歩むことを新たに決意する式です。

キャンドルにともされたナイチンゲールの灯を手に、真新しいナースキャップを戴いた学生たちの顔は、希望と緊張に輝いていました。

シクラメンとパンジーがお出迎え

QQ車 活動画像2冷たい北風に負けず、皆さま方をお迎えする玄関の花たち。今年はパンジーとともに、シクラメンを植えてみました。ピンクのバリエーションが美しいシクラメン、あたたかい窓辺の花と思われがちですが、このミニのシクラメンは、戸外に育つように改良されたものです。入院玄関前の黄緑の葉はベアグラスです。病院に入られる前に、ちょっと目をとめてください。

救急車が新しくなりました

QQ車 活動画像3当院には3台の救急車があり、未熟児・循環器内科の患者さんの受け入れ、および転院を中心に出動しています(昨年の出動総件数は943件でした)。このたび自転車振興会の補助をいただいて、1台を高規格の救急車に買い換えることができました。

新救急車は車内が広く、防振や発電機能があり、人工呼吸器や輸液ポンプ類もついています。皆さま方にはすでに、町中でサイレンをならしながら走っている姿を、ご覧いただいたことがあるかもしれません。

医療事故防止をテーマに小集団活動をしています

QQ車 活動画像4当院では患者さんへのサービスを目的に、職場の身近な問題をみんなで知恵を出し合って解決する、小集団活動を行っています。今年のテーマは、昨年に引き続いて医療事故防止です。人間違いや転倒・転落防止、間違いなくお薬を飲んでいただくためには、などをテーマに、現状を十分分析して対策を考え、実行に移して効果の確認をします。2月に行われる部門別発表会に向けて、各サークルとも最後の詰めに入っています。