患者さん向け広報誌「Kニュース」No.6
インタビュー
地域に密着した医療を
4月1日より、倉敷リバーサイド病院が誕生しましたね。
楠本 倉敷リバーサイド病院の前身である川鉄水島病院は、川鉄の職員の健康管理を中心に、地域の方々の医療に携わってきましたが、このたび財団法人倉敷中央病院に移譲されました。これを機会に、地域に密着した医療を行っていきたいと思っています。
具体的には、どのようにしていかれるおつもりですか
楠本 これまでは、川鉄さんの病院ということで、職員やその家族しか診てもらえないと思われている方がいらっしゃったようです。今後は、地域の皆さんの病院ということをお知らせして、より多くの患者さんに、気軽に来ていただける病院にしたいと思っています。
また、医療の分野では専門化・高度化が進み、一人の患者さんの発病から回復までを、一つの医療機関で診るということが難しくなってきています。医療機関が連携して、それぞれの特徴を生かした医療をすることが求められています。
倉敷リバーサイド病院では、近隣の開業の先生方や病院と連携をとりながら、地域の皆さまの健康管理を中心に、一次・二次の医療を行っていきます。そのために、職員が専門性を磨き、開業医の先生や近隣の病院から「この病気はリバーサイドの○○先生に」と言われるようになりたいと思います。
医療連携を行うことによって、医療の機会に恵まれない患者さんをなくすことも大切な任務だと思っています。
新しく診療サービスグループという部署ができたそうですが
楠本 患者さんに安心して、満足のいく診療を受けていただくシステムを作るために設置した部署です。患者さんに対する接遇はもちろん、予約制を取り入れて待ち時間をなくすなど、受診しやすい病院にしていきます。
また、玄関まわりや中央受付などを少し改修しましたが、居心地のよい病院にするための環境整備も、そこで検討します。
工場地帯からも離れていますし、院内もゆとりのある作りになっていて、療養環境としては恵まれています。引き続き、内科外来や病室の環境改善を行います。
システム、アメニティともに、倉敷中央病院を参考に、充実していきたいと考えています。
倉敷中央病院との関係はどうなっているのですか
楠本 倉敷中央病院とは、兄弟のような関係でしょうか、倉敷リバーサイド病院を受診するということは、倉敷中央病院に受診することと同じと考えていただきたいと思います。当院で対応できない患者さんには、倉敷中央病院を紹介します。また、中央病院で容体が落ち着かれた患者さんは、当院でゆっくり療養していただくことができます。
現在は、リバーサイド病院と倉敷中央病院の診察券は別々ですが、年内には統一する予定です。そうすれば、お互いに、一層、受診しやすくなると思います。
健診部門が充実していると聞きましたが・・・
楠本 工場に附属した病院ということと、水島という土地柄から、健康診断には力を入れています。これは、今後も大いに充実させたい分野です。
高齢社会・生活習慣の変化などから病気も変わってきていますので、企業に勤められている方だけでなく、一般の方々、退職された方々も健康診断をご利用くださることをお勧めします。
また一般診療の面から言いますと、現在は病気で治療されている方と、健康診断で二次検診が必要とされた方が一緒に受診されていますので、待ち時間等で、それぞれにご迷惑をおかけしているところがあるようです。健康診断後には十分な支援ができるようなシステムを作り、一般診療とは別にするなど、順次改善していきたいと思っています。
提案箱を設置していますので、新しい病院に対するあらゆる面での皆さまのご意見・ご要望をお聞かせいただきたいと思います。
詳しくは、倉敷リバーサイド病院ホームページをご覧ください。
ヘルシーリビング
診療のパートナーとしての検査
病院での検査は、一般的に病理検査と臨床検査に大きく分けられています。病理検査は病巣の組織や細胞を直接調べ、臨床検査は検体検査として血液や尿その他の体液の成分や細菌について調べ、また、生理機能検査としては超音波や電気信号を駆使して肝臓、心臓、肺、脳などの臓器の状態を体外から検知します。これらの検査は臨床検査技師が行っています。
さて、今や検査データは診療および病状経過を見ていく上でなくてはならない判断資料となっていますが、本院でオーダされる検体検査の種類は1400余に上り、その他生理検査や病理検査を合せるとさらに増えることになります。
これらの検体検査項目の中、日常的に利用され、また、患者さんにとっても馴染みの深い検査について、その検査の意義と参考値を簡単にまとめましたのでご覧ください。
参考値は大まかな指標ですので、この範囲を少し超えたからといって異常とはいえません。詳しくは、医師の意見を聞いてください。
肝臓の機能検査
HBs抗原 (HBsコウゲン) |
B型肝炎ウイルスの検査です! 【臨床参考値】 |
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HCV抗体 (HCVダイ2セダイコウタイ) |
C型肝炎ウイルスの検査です! C型肝炎を診断したり、治療の経過をみます。過去にC型肝炎ウイルス(HCV)に感染したことがあったり、現在感染していると陽性となります。 【臨床参考値】 |
ALP (アルカリフォスファターゼ) |
肝臓,胆道系をチェックする! 【臨床参考値】 |
GOT,GPT | 肝臓のSOSを探知する! 肝臓の細胞が障害をうけると上昇します。急性肝炎では初期以外はGPT>GOTとなりやすく、慢性肝炎では一般にGOT>GPTですが、活動型ではGPT>GOTとなります。 【臨床参考値】 |
γ-GTP | 飲酒による肝臓病を見逃さない! 肝臓病や胆道系の異常で上昇する酵素です。特にアルコールの飲みすぎで肝臓に異常が起こると急上昇します。 【臨床参考値】 |
貧血の検査
RBC(赤血球) |
貧血の診断に欠かせない! 【臨床参考値】 |
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Hct(ヘマトクリット) | 貧血の診断に欠かせない! 血液中に占める赤血球の割合をパーセント(%)で表したものです。 【臨床参考値】 |
Hgb(ヘモグロビン) | 貧血の診断に欠かせない! 赤血球中の大部分がヘモグロビンで、鉄を含み酸素を身体のすみずみに運びます。 【臨床参考値】 |
糖尿病の検査
BS(血糖) | 糖尿病かどうかわかる! インスリン不足や働きが悪くなると高くなります。放っておくと知らないうちに、全身の血管が傷んできます。 【臨床参考値】 |
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HbA1c(ヘモグロビンA1c・グリコヘモグロビン) |
1、2か月前の血糖がわかる! 【臨床参考値】 |
動脈硬化の指標となる検査
TCH(総コレステロ-ル) | 動脈硬化を進行させる張本人! 増えすぎると動脈硬化の原因になったり、心臓病や脳卒中を起こしやすくなります。 【臨床参考値】 |
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HDL―C (HDLコレステロール) |
動脈硬化を防ぐ善玉役! 動脈硬化を防ぐ役目をもっているので、高いほうが好ましい。低いと動脈硬化が進行しやすくなります。 【臨床参考値】 |
TG(中性脂肪) |
動脈硬化、肥満、糖尿病では高い! 【臨床参考値】 |
腎臓の機能検査
BUN(尿素窒素) クレアチニン |
故障の程度がわかる! 腎臓から排泄される老廃物です。腎臓の働きが悪くなると尿への排泄量が減り、血液中に増えてきます。高いと腎炎など腎臓の病気が疑われます。 【臨床参考値】 |
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UA(尿酸) | 痛風を見つけ出す! 尿酸が増えると、その結晶が足の股の関節などに溜まって、激痛を起こすことも。これが痛風。腎臓に溜まると結石の原因にもなります。 【臨床参考値】 |
K(カリウム) |
高すぎると心臓に悪い! 【臨床参考値】 |
黄疸の検査
T-Bil(総ビリルビン) D-Bil(直接ビリルビン) |
皮膚が黄色くなる! 肝臓や胆道の異常で上昇します。ビリルビンが高くなって、皮膚や白目が黄色くなることを黄疸といいます。 【臨床参考値】 |
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栄養状態の検査
TP(総タンパク) ALB(アルブミン),A/G比 |
回復度の鏡! アルブミン(A)は肝臓で作られる蛋白質です。肝臓の働きが悪くなるとアルブミンが低下し、グロブリン(G)が上昇するため、A/G比は低下します。 TP=A(アルブミン)+G(グロブリン) 【臨床参考値】 |
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QQ車 院内ニュース
QQ車は、皆さまに倉敷中央病院のできごとを運ぶ(お伝えする)コーナーです。
カンガルーケア・ミーティング開催される
3月1日に、第6回カンガルーケア・ミーティングが本院で開催されました。
カンガルーケアとは、1979年に南アメリカの小児科医が低出生体重児の救命のために始めた療法です。母(父)の胸の前を広げ、オムツだけの裸の赤ちゃんを抱き、その上を温かいタオルで覆って一緒にしばらく時間を過ごす方法です。この療法により発展途上国では、低出生体重児の死亡率の減少、母乳哺育の確立、早期退院が可能となりました。
日本ではNICU(新生児集中治療室)入室により、離れ離れになった母子の愛着形成や親子関係の定着のために始められました。
当日は全国から約240名の看護師・医師が参加し、講演・シンポジウム等、充実した会になりました。
不在者投票
統一地方選挙の不在者投票が4月、入院患者さんを対象に行われました。
この制度は、有権者にできるだけ投票の機会を確保するために設けられたもので、県選挙管理委員会が指定する病院等に入院している方はその施設で不在者投票ができるようになっています。
今回、岡山県議会議員選挙ではセントラルギャラリーに投票所を設け78名の方が、また市町村議会議員選挙では5町村7名の入院患者さんが投票されました。
看護の日
5月12日はナイチンゲール生誕の日で「看護の日」「病院の日」に制定されています。毎年この日の前後に本院では「看護の日記念行事」を開催しています。今年は5月17日に行いました。昨年から地域の皆さま方と直接かかわり、病院や看護について理解していただき、また皆さま方より忌憚のないご意見をいただける企画にしています。参加者は122名で、その8割近くが市内の方でした。
まず江尻看護部長が「看護の日」の由来や今回の企画の意図についてお話しした後、光藤和明・循環器内科主任部長より「かかりつけ医と専門医と」と題して、光藤医師の全人医療についての考えや、地域チーム医療などについてわかりやすい講演がありました。
その後看護師長による健康相談や血圧測定・体脂肪測定とそのデータをみての指導、健康運動指導士による足の裏診断を行いました。それぞれ行列ができるくらい関心が高く、また測定や指導の合間にと思い準備した軽食は大盛況で、賑やかな講演後の1時間でした。
アンケートによれば「かかりつけ医と基幹病院との連携の必要性や、かかりつけ医をもつことの意味がわかった」「地域医療のネットワークを心強く思う」や、待ち時間の問題、職員の医療に対する姿勢などについてのご意見もいただき、日常の診療・看護を振り返ることのできる貴重な半日でした。