患者さん向け広報誌「Kニュース」No.9

インタビュー

新院長に聞く 患者さんの視点を重視

院長 内田 璞

院長 内田 璞

自己紹介をお願いします

内田 福井県三国町の出身です。昭和35年に京都大学医学部を卒業、専門は眼科です。当時の京大眼科は網膜剥離などの網膜疾患と緑内障の診療・研究が盛んでしたので、その分野を中心に学びました。

倉敷中央病院は何時からですか

内田 昭和49年、元副院長の田中先生(小児科)と共に倉敷に来ました。田中先生は京都大学でも、当時は先進医療であった未熟児医療に取組んでおられましたので、当院でも未熟児網膜症の診療で先生のお手伝いを続けることになりました。

その頃の小規模な未熟児センターが、現在は総合周産期母子医療センターに発展しましたが、未熟児医療の黎明期の苦労を思うと感慨は一入(ひとしお)です。

当院は他の医療機関に先駆けて昭和47年にコンピューターを導入しました。平成元年には医療情報の一元化・患者サービスの向上を目指して、コンピューター・システム委員会が発足し、初代委員長として、総合的な医療情報システムの構築に携わってきました。

昨年8月に新システムに切り替え、IT技術を駆使した新医療情報システムが診療・教育・研究支援等に活用される日も遠くないと思っています。

倉敷に住まわれて長くなりますね

内田 東京で生まれ、静岡、群馬、福井、京都など転々としましたが、倉敷が一番長くなりました。倉敷は住みやすく、良い土地柄ですね。

これから、どのような病院にしていこうとお考えですか?

内田 医療の質については、各診療科・各部門の努力が実り、日本でも高い水準の医療が提供できていると自負しています。

一方、患者さんからは、安心できるまでゆっくり入院できない、待ち時間が長いなどのご不満が寄せられています。当院は創設以来「患者本位」を基本理念の第一に掲げ、その実現に努力をしてきましたが、まだまだ至らぬ点が多いと反省しています。そこで、患者さんの視点に立って、患者さんに満足して貰えるように、すべての業務を見直すことにしました。

医療の質の改善を目的として始まった小集団活動も、患者さんの視点を重視した業務改善へと活動範囲を広げることにしました。

昨今、医療界は改革の時代といわれていますが、倉敷中央病院としては、どのように対応していかれますか

内田 国家財政が危機的状況に ある中、医療費負担は平成13年で31兆円と膨大で、年々増加しています。このまま放置すれば「何時でも、どこでも平等に医療が受けられる」という、日本が世界に誇る医療保険制度も崩壊せざるを得ません。

限られた医療資源を有効に利用するには、地域の医療連携が益々重要になります。一つの病院が 医療のすべてを担当するのではなく、地域の病院・診療所が、それぞれの特色・機能を生かして、地域全体で患者さんの診療にあたるのが望ましいのです。

当院は、地域の中核病院として急性期医療を担っています。救急医療および専門的で高度な検査や手術などの治療を行います。そうした医療が必要な方を、何時でも受け入れることができる体制を整えておく必要があります。

そのためには、入院・外来共に急性期を過ぎて病状が安定された方は、その後の治療にふさわしい地域の医療機関に移っていただき、別の急性期の患者さんに治療の 機会を譲っていただかねばなりません。病室にも外来の診察室にも限りがあるからです。

それが、地域医療連携ということなのですね。

内田 そうですね。他の医療機関に移られたからといって、当院との関係が切れるのではありません。病状の安定した時期には、かかりつけの医師に診ていただいて、より専門的な検査や治療が必要な時に当院を紹介していただくことになっています。

当院では、「地域医療連携室」を整備し、かかりつけの医師との連携を密にするよう努めていますし、病状が急変した時に、適切な対応ができるような仕組みも漸次整えていますので、ご安心ください。

また、当院に登録された診療所の医師が、入院が必要な受持ちの患者さんを当院の医師と共同で 診療する「開放病床」という制度もあります。現在、131名の登録医がおられます。

旧倉敷市内には市民病院はありませんが、市内および近郊にはリハビリの専門病院、療養型病院など、特色のある優れた医療機関があります。密接に連携しあった医療機関全体を、機能的な市民病院と考えていただきたいと思います。

お知らせ

当日受診受付で待ち時間を短く -来院は、予約時間に合わせてお出でください-

受信日当日予約はコールセンターで 案内画像予約診療がなかなか時間どおりに進まず、皆さまに大変ご迷惑をおかけし、強いお叱りを受けています。誠に申し訳ございません。

予約が時間どおりに進まない理由の一つに、本号の院長インタビューにもありますように、予約をしないで受診される患者さんの多いことがあげられます。そうした場合は、決められた時間内に診療する患者さんの数が増えて、どうしても予約時間に遅れが生じます。

予約を時間どおりに進めるには、予約をして受診してくださる患者さんが増えることが何よりと考えます。当院では、次のような方は受診希望の当日でも電話で予約ができますのでぜひご利用ください。複数科を受診される場合もご利用ください。

当日受診受付の対象となる方は、小児科、外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、形成外科、皮膚科のいずれかの科の受診を希望される方で、当院に一度でも受診をされたことのある(カルテ番号をもたれている)方です

ヘルシーリビング

禁煙の心構え

総合保健管理センター所長 土居偉瑳雄古今東西、大昔から酒とタバコは人とは縁の切れない嗜好品でありました。日本へは1543年、種子島に鉄砲伝来と共にタバコも上陸しました。

ところが20世紀に入って医学の発達により、タバコは体に有害であることが次第に明らかとなり、全世界で禁煙の傾向が一気に高まって来ました。

厚生労働省の推計によると、タバコで早死にする人は国内で年間10万5千人、肺癌で死亡する危険性は非喫煙者の2~4倍、心筋梗塞や脳卒中は1.7倍、肺気腫、喘息とも関係が指摘されています。妊婦では、胎児の発育障害や早産の危険性が高まり、喫煙者と同居する非喫煙者も肺癌などの危険性が高まることが知られ、受動喫煙対策も課題となって来ています。

日本での喫煙率は男性48.3%、女性13.6%程度、海外では男性喫煙率30%弱、女性喫煙率25%程度です。(2003年、タバコ産業調べ)

日本の男性は先進国の中でもっとも高く、子供を産む可能性の高い20代女性では20%に近づきつつあります。未成年者の喫煙率も高く、高校3年生で毎日喫煙する人が25%もいるのも問題です。

タバコの依存性は強いとも、弱いとも言われています。例えば体のだるさや頭痛、喉の痛みや息切れ、癌に対する不安、社会から受けるネガティブな評価、いつでもどこでも喫いたくなる自分への嫌悪感、等々、様々な理由から多くの喫煙者は一度は禁煙を思い立ちます。ところがタバコは「止めようと思っても中々止められない」。喫煙者はタバコに依存した状態なのです。

過去数十年も喫って来て、今更止めても効果がないのではないかと思われている方もおられると思いますが、例えば一年でも二年でも止められたらそれだけの効果があります。70歳でも、禁煙した人の方が喫い続けた人より長生きするというデータもあります。タバコを止めるのに遅すぎることはないのです。

禁煙で大事なのは心構えです。自分で止めるという強い気持ちを持たない限り、絶対に止められません。禁煙は人生の一大イベントと考え、人生をやり直すぐらいの心構えが必要なのです。具体的には「禁煙の五カ条」を参考にしてください。

禁煙の五箇条 画像

その他、禁煙に成功するための方法

  1. 禁煙補助剤を用いる方法
    ニコチンガムをかむ
    ニコチンパッチを貼る(医師の処方箋が必要です)
  2. 禁煙外来をインターネットで受ける方法
    まゆみ先生の禁煙外来」阿部まゆみ講師(東京女子医大)
  3. 禁煙マラソンに参加する方法(インターネットによる禁煙)
    kinen-inf@mua.biglobe.ne.jp

などの方法があります。これらを組合わせてもよいかと思います。
倉敷中央病院も平成16年4月1日より「建物内完全禁煙」としています。

QQ車 院内ニュース

QQ車は、皆さまに倉敷中央病院のできごとを運ぶ(お伝えする)コーナーです。

産科食の見直し

フルコースディナー 画像 倉敷中央病院の産科病棟では、出産後のお母さんに、2回のホテル食と退院前のフルコースディナーをお出ししています。食事の内容は定期的に見直しをしていて、昨年12月から新メニューが加わりました。

産科食(和食) 画像人気はビーフストロガノフや海の幸ご膳。地下のレストランでいただくフルコースディナーは、赤ちゃんを預けてお母さんだけの会食なので、慣れない育児で忙しいお母さんに、育児の情報交換などしながらも、楽しくゆっくりとした時間を過ごしていただいています。

ドイツの学生がコンサートを

ドイツ学生のコンサート  画像昨年10月、ザクセン・アンハルト州立アコーディオンアンサンブル学生親善団が当院を訪問し、演奏会を開催してくれました。会場の一つとなったセントラルパーラーでは、早くから車椅子の患者さんや点滴を持った患者さんが集まられていました。曲目は世界で親しまれているタンゴやワルツなどで、楽しい一時を過ごされました。

インターネットで授業

インターネットで授業 風景画像当院には、倉敷東小学校と倉敷東中学校の院内学級があり、常時、6~7人の子供たちが勉強しています。

昨年12月には院内学級とそれぞれの学校をインターネットで結んで、テレビ電話のように学校の授業をパソコンの画面を見ながら、双方向で質問・発表などができる「ライブ授業」ができるようになりました。これにより、入院中も学校との交流ができるので、退院後の学校復帰がスムーズに行われますし、中学生の教科別学習にも有効です。子供たちも楽しく勉強しています。

周産期のこころのケアを学ぶ

マリアンナ医科大学横浜西部病院周産期センター臨床心理士の橋本洋子先生による講演 画像当院の総合周産期母子医療センターは岡山県で唯一の指定を受けています。2月13日には県の要請を受けて、岡山県周産期医療従事者研修会を主催しました。この研修会は周産期医療に従事する医師・看護師・助産師などを対象として、周産期医療に必要な知識・技術を習得することによって、安心して子どもを産み育てることのできる環境作りの推進を図ることにあります。

内容は、聖マリアンナ医科大学横浜西部病院周産期センター臨床心理士の橋本洋子先生の「周産期のこころのケア」と題する講演でした。