平成21年度 第4回 医の倫理委員会 会議記録の概要

開催日時 平成21年10月28日(水) 17:00~20:10
開催場所 第3会議室
出席委員名 山形 専、山本 博、島村淳之輔、光藤和明、松下 睦、福岡敏雄、江尻美恵子、黒瀬正子、高栁和伸、富田秀男、森脇 正、安井昭夫
議事内容
【審議事項】
(1) Z-ステントを使用したステントグラフトによる胸部大動脈瘤治療
申請者: 心臓血管外科 坂口元一
研究実施計画等に基づき、器具の適応外使用の妥当性について審議した。
審議結果: 条件付き承認[Z-ステントを最初から使用する場合と、レスキュー的に使う場合の説明文書を作成すること](→ 承認 2010/2/1)
(2) 切除可能な消化管間質腫瘍(GIST)肝転移患者の治療方法に関する第Ⅱ相試験
申請者: 鶴田 淳
試験実施計画書等に基づき、試験実施の妥当性について審議した。
審議結果: 承認
(3) オキサリプラチン、ベバシズマブ既治療進行再発 大腸癌に対する2次治療ベバシズマブ併用FOLFIRI療法におけるベバシズマブ至適投与量の第Ⅲ相ランダム化比較試験
申請者: 外科 鶴田 淳
実施計画書等に基づき、試験実施の妥当性について審議した。
審議結果: 承認
(4) テトラヒドロビオプテリン(BH4)欠損症における5-hydroxy tryptophan (5-HTP)の使用 ・・・事後報告
申請者: 小児科 西田吉伸
治療のための未承認試薬緊急使用(1例のみ)について、委員長・委員(1名)による申請者・当該科主任部長へのヒアリングを実施(10/8)。未承認試薬使用の詳細およびヒアリング概要に基づき、試薬使用の妥当性について審議した。
審議結果: 条件付き承認[課題名と説明文書の修正、倫理委での報告](10/13) → 承認
(5) 切除不能大腸癌に対する 5-FU/l-LV/oxaliplatin (FOLFOX)+bevacizumabと TS-1/oxaliplatin(SOX)+ bevacizumabとのランダム化比較第Ⅲ相試験(実施計画書No.:01023028)
申請者: 外科 河本和幸、消化器内科 毛利裕一
研究主体がメーカーである臨床試験について、実施計画書等に基づき、試験実施の妥当性について審議した。
審議結果: 承認。当面、同様の事例については倫理委で審議する(山本委員は採決に不参加)
(6) ストーマ装具「センシュラ」のストーマ周囲皮膚およびQOLに関する非盲検、非比較、多国籍、市販後試験
申請者: 看護部 吉田松子
研究主体がメーカーである臨床試験について、試験実施計画書等に基づき、試験実施の妥当性について審議した。
審議結果: 承認。メーカー主体の試験の場合、公平な評価を行う第三者機関が必要ではないか等の意見があった(江尻委員、黒瀬委員は採決に不参加)
(7) ムコ多糖症2型の遺伝子診断
申請者: 小児科 渡部晋一 
患児の遺伝子診断を行うことによる、疾病の重症度診断と母親の間接的な保因者診断実施の倫理的妥当性について審議した。
審議結果: 不承認。各委員とも倫理的観点から可否を判断しかね、現時点において結論を出すに至らなかった。
【臨床研究審査委員会(8/4、8/18、9/1、9/15、9/29、10/13)審査報告】
(1) 承認相当:51件
  ①新規申請:45件
1) レミフェンタニルによる全身麻酔導入時至適プロポフォール投与量の検討
申請者: 麻酔科 吉田光剛
自主研究
修正の上再提出(5/26)→承認相当(8/4)
2) 新卒看護師のリアリティショックとそのプロセスの検討(入職時から6ヶ月までの変化)
申請者: 看護部 渡辺祝子
他施設共同研究
条件付き承認相当(6/23)→承認相当(9/2)
3) 腹腔鏡下腎部切除術の治療成績に関する多施設共同研究
申請者: 泌尿器科 寺井章人
医師主導型多施設研究(寺井委員は採決に不参加)
修正の上再提出(5/26)→条件付き承認相当[同意説明文書の修正](9/1)→承認相当(9/9)
4) 切除不能・再発結腸/直腸がん初回化学療法例に対する5-fluorouracil(5-FU)levofolinate
calcium(I-LV)+oxaliplatin(L-OHP)+bevacizumab(BEV)併用療法 対 5-FU/I-LV+irinotecan(CPT-11)+BEV
併用療法のランダム化比較第Ⅲ相試験
申請者: 外科 岡部道雄
医師主導型多施設研究(8/4)
5) ネクサバール錠特定使用成績調査-根治切除不能な肝細胞癌
申請者: 消化器内科 下村宏之
製造販売後調査(8/4)
6) 非ケトーシス型高グリシン血症に対する安息香酸ナトリウムの使用
申請者: 小児科 吉田吉伸
先天性代謝異常の治療
修正の上再提出[同意説明文書の提出](7/21)→承認相当(8/18)
7) 透析液カリウム濃度調整による低カリウム血症の治療
申請者: 人工透析センター 安藤 誠
適応外使用
条件付き承認相当[院内研究助成金を申請すること](8/4)→承認相当(8/17)
8) 外来で肺がん告知を受けた患者の入院までの思い
申請者: 看護部 真砂さおり
院内看護研究(8/4)
9) 汎発性血管内血液凝固症(DIC)に対するリコモジュリン点滴静注用12800の使用成績調査(全例調査)
申請者: 内分泌代謝・リウマチ内科 中澤 隆
製造販売後調査(8/4)
10) 同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)に対する抗CD20ヒトマウスキメラモノクロナール抗体(Rituximab)を用いた治療
申請者: 血液内科 上田恭典
適応外使用(8/4)(上田委員は採決に不参加)
11) アダカラム使用成績調査(クローン病)
申請者: 消化器内科 山本 博
製造販売後調査(8/18)
12) 仮)特定保健指導項目正常者の5年後の変化
申請者: 総合保健管理センター 岡田晃江
自主研究(8/18)
13) 小児細菌性髄膜炎及び全身性感染症調査に関する研究
申請者: 小児科 新垣義夫
医師主導型多施設研究(書面8/3)
14) 重症細菌性髄膜炎に対するバンコマイシン(VCM)髄腔内投与の有用性
申請者: 神経内科 後藤和也
適応外使用
条件付き承認相当[研究責任者を主任部長にすること](8/18)→承認相当(9/9)
15) 集中治療室での発熱および解熱処置に関する多施設研究(FACE Study)
申請者: 総合診療科 福岡敏雄
医師主導型多施設研究
修正の上再提出[同意説明文書を作成すること、主たる研究機関を明記すること](8/18)→承認相当(10/13)
16) FISH法(JAG1)によるAlagille症候群の確定診断
申請者: 小児科 桑門克治
遺伝子異常による疾患の診療
修正の上再提出[検体の二次利用および遺伝子解析法を明記すること](8/18)→承認相当[遺伝子シークエンスが必要となった場合改めて申請する](9/15)
17) 当院の歩行入室が患者にあたえる影響
申請者: 看護部 高橋明子
院内看護研究(9/1)
18) 線維筋痛症の疼痛緩和を目的とする塩酸ケタミン内服液の使用
申請者: 麻酔科 内田研一郎
適応外使用(8/18)
19) トリアムシノロンによる眼炎症治療及び硝子体可視化への応用(ケナコルト-A)
申請者: 眼科 岡田守生
適応外使用(8/18)
20) Catheter related bladder discomfort に対するケタミン術前投与の有効性
申請者: 麻酔科 大竹考尚
自主研究
修正の上再提出[選択基準・補償・麻酔方法・個人情報取扱いを修正すること](9/1)→条件付承認相当[同意説明文書に、コントロール群でのケタミン不使用による不利益、1時間後までの強い不快感に対する処置を明記すること](9/15)→承認相当(10/1)
21) 多列CTを用いた冠動脈プラークの性状判定と冠動脈イベント発症との関連についての多施設・前向き追跡調査
申請者: 循環器内科 山本浩之
医師主導型多施設研究(光藤委員は採決に不参加)
条件付承認相当[主たる研究機関の倫理委承認書提出](9/1)→承認相当(9/9)
22) Perfusion CTを用いた重症急性膵炎予後予測方法の確立、多施設前向きコホート研究
申請者: 消化器内科 菊池 理
医師主導型多施設研究
修正の上再提出[除外基準の追加、同意説明文書の修正](9/1)→承認相当(10/13)
23) ステロイド内服初回導入の患者の思い
申請者: 看護部 中川真理子
院内看護研究(9/1)
24) MRI冠動脈撮像検査での検査前処置におけるニトロールスプレーの使用
申請者: 放射線科 渡邉祐司
適応外使用(9/15)
25) エレンタール特定使用成績調査(慢性膵炎患者への投与に関する調査)
申請者: 消化器内科 山本 博
製造販売後調査(9/29)
26) 長期入院を余儀なくされた移植後患者の全人的苦痛へのアプローチ -皮膚の慢性GVHDを発症した1事例へのケアを通して-
申請者: 看護部 勘藤順子
出版公表原稿(9/15)
27) フリバス錠25mg・50mg・75mg、OD錠25mg・50mg・75mg使用成績調査
申請者: 泌尿器科 寺井章人
製造販売後調査(9/29)(寺井委員は採決に不参加)
28) フリバス錠25mg・50mg・75mg、OD錠25mg・50mg・75mg特定使用成績調査(長期使用に関する調査)
申請者: 泌尿器科 寺井章人
製造販売後調査(9/29)(寺井委員は採決に不参加)
29) 極低出生体重児の発達フォローアップ 運動発達の経過 自験例11例からの考察
申請者: リハビリテーション科 乗越沙緒利
自主研究(9/29 )
30) TKAクリティカルパスの整合性について
申請者: リハビリテーション科 小根田夏子
自主研究(9/29)
31) 当院における開心術後のリハビリテーションの現状 術前心機能が術後に及ぼす影響について
申請者: リハビリテーション科 花田真嘉
自主研究(9/29)
32) 倉敷地域における大腿骨頚部骨折患者の術後離床開始時期と在院日数との関連についてと本邦とのベンチマーキング
申請者: リハビリテーション科 橋本浩実
自主研究(9/29)
33) 脳血管疾患患者における肺合併症について
申請者: リハビリテーション科 小林慶子
自主研究(9/29)
34) 大腿骨頸部/転子部骨折患者の処方形式の違いによる術後成績比較
申請者: リハビリテーション科 熊代功児
自主研究(9/29)
35) リハビリテーションを施行した肺炎患者の離床期間について
申請者: リハビリテーション科 永田幸生
自主研究(9/29)
36) 当院におけるNST嚥下チーム摂食機能療法の有用性に関する検討(仮)
申請者: リハビリテーション科 佐野怜香
自主研究(9/29)
37) 閉塞性動脈硬化症バイパス手術後における急性期リハビリテーションプログラムの一考察-術前後での6分間歩行距離位下の原因に着目して-
申請者: リハビリテーション科 下雅意崇亨
自主研究(9/29)
38) 悪性黒色腫に対するDAC-Tam療法でのノルバデックス(TAM)の使用
申請者: 皮膚科 大西里佳
適応外使用(9/29)
39) レニン-アンギオテンシン系抑制薬投与中の慢性腎臓病(CKD)合併高血圧患者におけるベニジピンとヒドロクロロチアジドの腎機能に及ぼす影響についての比較
申請者: 腎臓内科 福島正樹
医師主導型多施設研究(9/29)(福島委員は採決に不参加)
40) IgG4 関連硬化性疾患に出現するマクロファージの検討
申請者: 病理検査科 能登原憲司
自主研究(10/13)
41) 慢性肝疾患から肝細胞がんへ移行する患者への患者教育・支援システムの構築
申請者: 看護部 橋本信子
看護師主導型多施設研究(10/13)
42) 当院における分娩想起の現状と褥婦の受け止め
申請者: 看護部 難波梓沙
院内看護研究(10/13)
43) ICUにおける限定的心肺蘇生(LCPR)に関する医師・看護師の意識
申請者: 看護部 長江久美子
出版公表原稿(10/13)
44) PET-CT検査を受ける患者の意識調査
申請者: 看護部 原田貴子
院内看護研究(10/13)
45) タイケルブ錠 使用成績調査
申請者: 外科 今井史郎
製造販売後調査(10/13)
  ②変更申請:6件
1) 日本CKDコホート(CKD-JAC)研究-慢性腎臓病患者を対象とした疫学研究-
申請者: 腎臓内科 福島正樹
実施計画書・調査票の軽微な変更(8/4)(福島委員は採決に不参加)
2) 低用量BCG膀胱腔内注入療法の有用性に関するランダム化比較実験
申請者: 泌尿器科 寺井章人
研究期間の延長(8/4)(寺井委員は採決に不参加)
3) 血液透析患者に対するSirolimus eluting stent とPaclitaxel eluting stent の臨床比較試験
申請者: 循環器内科 福 康志
自主研究から医師主導型多施設研究への変更(8/4)(光藤委員は採決に不参加)
4) 細網異形成症(reticular dysgenesis)の遺伝子診断
申請者: 小児科 桑門克治
S55死亡の保存検体使用について、家族が見出せず、被験者の同意を得ることが困難(8/4)
5) 糖尿病性腎症における腎機能悪化進展に対するミゾリビンの抑制効果及び安全性の検討 -クロスオーバー法による多施設共同研究
申請者: 腎臓内科 福島正樹
研究計画書・同意説明文書・調査票の軽微な変更、担当医の変更(9/1)(福島委員は採決に不参加)
6) 非ヘルペス性脳炎に対する血漿交換療法
申請者: 神経内科 森 仁
研究期間の延長
条件付き承認相当(4/14)→承認相当(8/26)
審査結果:51件すべて承認
(2) 条件付き承認相当:4件
  ①新規申請:4件
1) 関節リウマチ患者のアダリムマブ(ヒュミラ皮下注40mg)療法における抗アダリムマブ抗体発現と安全性・有効性に関する観察研究
申請者: 内分泌代謝・リウマチ内科 中澤 隆
医師主導型多施設研究
条件[研究計画書および説明文書の分かりにくい表現・不備の修正](9/29)
2) 視覚障害者が育児を自律的に行うための看護介入の検討-ある初産婦の育児練習の1事例を通して
申請者: 看護部 川崎豊恵
院内看護研究
条件[同意説明文書の保管期限を修正すること](10/13)
3) 遠隔転移を有する非小細胞肺癌患者における循環血液中腫瘍細胞数測定の臨床的意義
申請者: 呼吸器内科 吉岡弘鎮
医師主導型多施設研究
条件[同意説明文書に検査結果のお知らせを追記すること](10/13)
4) せん妄リスクのある患者への睡眠に対する介入の効果
申請者: 看護部 高橋順子
院内看護研究
条件[同意書に代諾者の欄を追加すること](10/13)
(3) 修正の上再提出:2件
  ①新規申請: 1件
1) コレステロール吸収制御の臨床的意義に関する研究
申請者: 循環器内科 山本浩之
自主研究(光藤委員は採決に不参加)
修正の上再提出(7/7)→修正の上再提出[実施計画書・同意説明文書の修正](8/4)
2) 胎児徐脈の胎児治療に関する現状調査
申請者: 小児科 脇 研自
医師主導型多施設研究
修正の上再提出[同意説明文書の作成](8/4)
【その他】
(1) 医の倫理委員会規定(改訂案)について
前回の審議を基に修正した規定が示された。
(2) 臨床研究審査委員会規定の改訂について
審査委員会委員長より、主な改訂点(審査委と倫理委の位置づけの明確化、臨床研究審査申請を必要とする適応外使用についての別項、未承認・適応外の緊急使用についての細則)について説明があった。
審議結果: 承認
(3) 臨床研究倫理指針改訂への当院の対応について
委員長より、臨床研究倫理指針改訂に伴う対応として必要な事項について説明があった。
会議記録の概要案が提示され、了承された。
今後順次整備していく。
(4) 「臨床研究倫理指針へ対応するためのセミナー」報告
事務局より、平成21年10月17日(土)に開催された(社)日本病院薬剤師会主催の「臨床研究倫理指針へ対応するためのセミナー」の報告があった。
(5) 次回開催日について
事務局より、次回から委員会開催を偶数月第2水曜日に定例化させていただきたいとの提案があり、了承された。
次回開催予定日 平成21年 12月9日(水) 17:00~