手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinci)による
食道がん手術
食道は、心臓・肺・大動脈・気管といった重要な臓器に囲まれた場所にあります。このため、手術中や手術後に周囲の臓器への影響をできるだけ抑えるよう、慎重な手術計画と高度な技術が必要です。
当院の食道がんロボット支援手術の特長
当院では、ダヴィンチ(da Vinci)を用いたロボット支援下食道がん手術を行っています。そもそもの胸腔鏡手術の特長として、
・小さな切開で行えるため、身体への負担が少ない
・術後の呼吸機能への影響を抑えることができる
・その結果として術後の肺炎リスクを減らすことができる
などが挙げられ、広く実施されてきました。
さらに登場したのがロボット手術で、代表的なロボットがインテュイティブ・サージカルの「ダヴィンチ」になります。ダヴィンチには「手ぶれ防止機能」「高精細な3D画像」「人の手では難しい多関節の動き」があり、周囲の臓器や神経への影響を最小限に抑えながら、がんを正確に取り除くことができます。当院には日本食道学会認定の食道外科専門医 2名、食道科認定医 2名が在籍し、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。さらに、手術を支える助手や看護師、臨床工学技士も高い技術と十分なトレーニングを積んでいます。
当院では、特殊な電気設定を施したハサミ鉗子を用いることで、繊細に組織を切り分けていく手法を取り入れており、その有用性は大きく、食道手術のみならず、胃手術や直腸手術でも実践しています。手術適応となる食道がんの多くは手術前に抗がん剤治療(化学療法)を行うことが一般的で、その影響で腫瘍の周囲が硬くなることがあります。ロボットの「手ぶれ防止機能」や「高画質による立体的な視認性」によって、硬く変化した部分にも正確にアプローチでき、隣接臓器のダメージを最小限に抑えることができます。さらに、熱による神経への影響を避けることで、術後の声帯麻痺などの合併症リスクを減らすことが期待されます。